【実話現代奇談】きつつきやま(上)

とある西の農家で住み込みしていた時の話。
いつもは農家さんの周辺で住み込みをしながら働いているんだが、今回は住込みが出来ないので短期で部屋を探すことになった。ただ、ここの農業の給料では普通にウイークリーマンションの家賃を賄えるほどの余裕はなかったので、農家さんに相談してみた。するとその農家さんの妹が隣町に住んでおり、使っていない空き家があるそうなんで借りれるか聞いてもらえることになった。
数日後に返事もらい、この家はもう2年は人が住んでない、掃除もしていないのでそれでも良ければという回答だった。
家賃もかなり割安で、しかもお米やらおかずも時々差し入れますんで、というありがたいお話。断る理由はなくなったので、さっそく現地に向かった。
農家さんと一緒に最寄駅で待ち合わせをして、大家さん宅にご挨拶をしにいった。
大家さんはその家族の次女で、貸してくれる家の説明をしてくれた。前に親類が住んでいたという場所で、永らく使用していなかったのこともあり、あそこ使ってもらうのはこちらもありがたいと、言ってくれた。なかなかいいところに来たな、と素直に思った。
じゃ、家へ行きましょうかとなったので、その街を車で案内してもらうことになった。丘陵地区っていうのか、アップダウンが多い土地だが、田んぼや畑も多く、のどかな田舎の風景が続いている。しばらく走ると、車一台ギリギリ通る狭い街路を入っていくと、その空き家の敷地が見えてきた。
敷地に入ると正面に住居があり、左側に車三台ぐらい止まれる駐車場とその前に廃屋のような納屋があった。荒れた庭には、周りに生えている樹木がうっそうとしており、納屋の周りを薄暗く感じた。
家に入ると、物が片づけてあり、掃除道具とごみの入ったポリ袋が、玄関に寄せられていた。奥に進むと、少し湿ったカビの臭いがするものの、家の中はかなり広く、きれいに掃除していただいたので、あまり気にしなかった。
とりあえず家の鍵を預かり、大屋さんと別れ、仕事でお世話になる農家さんの方に向かった。その日は業務の初日だったので、わりと早め上りとなった・・・(この続きはこちらから)

