各地に史跡が残る江戸時代の都市伝説「皿屋敷怪談」
皿屋敷怪談は、江戸時代に流布された日本でもよく知られる古典的怪談の一つある。
特定地域に存在した怪談がもととなって全国各地に類話が広がったと考えられており、現代風に言えば都市伝説と言っても良いだろう。お菊の亡霊が井戸から現れ夜な夜な「いちまーい…にまーい…」と皿を数えるシーンはあまりにも有名だ。
各地で語られる内容に差異はあるが、大まかなあらすじは次の通り。武家で働くお菊という女性が家宝の皿で不始末を起こしてしまい、主人の手打ちによって命を落とした後亡霊となって皿を数え続ける。皿については紛失あるいは割ってしまった、井戸については殺害後に遺棄もしくは折檻を恐れ自ら飛び込んだ、などのバリエーションが存在する。
有名なものとしては、播磨(はりま)国姫路に伝わる「播州(ばんしゅう)皿屋敷」、江戸番長に伝わる「番町皿屋敷」、この他尼崎に異聞として伝わる「尼崎お菊伝説」などがある。(なお尼崎の異聞は、お菊を追放しようと目論んだ主人の妻の企みにより、食事に針を仕込んだ罪をでっち上げられ殺害される、という内容となっている)…(続く)