山口敏太郎のK森探検
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山口敏太郎のK森探検
山口敏太郎
@過去の記事の蔵出し
ある夜、会社の独身寮でくつろいでいた私のところにTが突然やってきた。今から史跡めぐりに行こうというのだ。その日疲労困憊だった私は、”近場探検”を提案した。その時のコースが”八幡の藪知らず”と”K森”であった。以前この連載でも触れたのだが、心霊史上に残る暴挙!”八幡の藪知らず乱入事件”が起きたのもこの夜であった。まずTが私の制止も聞かず、”八幡の藪知らず”に乱入し、我々は次の目的地である”千葉県民の森”に向かった。
後に後悔するのだが、この”Kの森”が… やばかった。
現場に到着したときは真夜中になっていた。なんとも言えず無気味なムードである。森の横には心霊スポットとして有名なD神社が鎮座している。
まったく前が見えない闇とはこういうものか、我々は電池の切れかかった懐中電灯を頼りに中央部まで侵入した。
その時である、突如懐中電灯が消えた。
「あっ… ちぇっ消えちまったよ」
Tがつぶやく。
まったくの闇である。真っ黒に塗り潰したとはこの事を言うのであろう。当初は困惑した我々も、除々に”気配”というものが、感じられるようになった。
「……んっ」
-何かが周囲にいるのである。
まるで我々の動向を観察しているかのごとくである。
(視線?!……見られている)
この時、Tもそう思ったという。目が見えなくなることで 感覚が開いた…そして、人(ひと)ではないものの気配を周囲に感じたのだ。
「犬か、犬にしては数が多すぎる」
「確かに、変だ。後から後からわいてくるみたいだ」
私とTはお互いを確認しあうように、公園中央部から道路側に移動する事にした。だが、我々の動き同時に、周囲の気配もその包囲陣のまま移動するのだ。
(…やばい。あまりにもまずすぎる)
終いには、周囲の気配が形になって見え始めた。うごめく白い煙がうねうねと周囲をとりまいているのである。
「おい!!Tあれが見えるか」
「なんだあれは」
これが霊団なのか。緊急事態である。一刻を争う。我々は、周囲の白い煙の中で一番薄い場所に一気に駆け込んだ。
煙をつっきる瞬間に耳元で、無数の叫び声が聞こえた。
「ごーごー」
というのどの奥から絞り出すような声であった。そのまま、追ってくる煙を振り払いながら、車まで逃げ戻った我々は、無言のまま帰宅した。後にわかったことであるが、この場所はかつて首切り場であったらしい。
決して興味本位で心霊スポットに行ってはいけない。そう思いながら、今は取材という事
で行く運命を私は少々苦々しく思っているのだ(笑)
山口敏太郎
@過去の記事の蔵出し
ある夜、会社の独身寮でくつろいでいた私のところにTが突然やってきた。今から史跡めぐりに行こうというのだ。その日疲労困憊だった私は、”近場探検”を提案した。その時のコースが”八幡の藪知らず”と”K森”であった。以前この連載でも触れたのだが、心霊史上に残る暴挙!”八幡の藪知らず乱入事件”が起きたのもこの夜であった。まずTが私の制止も聞かず、”八幡の藪知らず”に乱入し、我々は次の目的地である”千葉県民の森”に向かった。
後に後悔するのだが、この”Kの森”が… やばかった。
現場に到着したときは真夜中になっていた。なんとも言えず無気味なムードである。森の横には心霊スポットとして有名なD神社が鎮座している。
まったく前が見えない闇とはこういうものか、我々は電池の切れかかった懐中電灯を頼りに中央部まで侵入した。
その時である、突如懐中電灯が消えた。
「あっ… ちぇっ消えちまったよ」
Tがつぶやく。
まったくの闇である。真っ黒に塗り潰したとはこの事を言うのであろう。当初は困惑した我々も、除々に”気配”というものが、感じられるようになった。
「……んっ」
-何かが周囲にいるのである。
まるで我々の動向を観察しているかのごとくである。
(視線?!……見られている)
この時、Tもそう思ったという。目が見えなくなることで 感覚が開いた…そして、人(ひと)ではないものの気配を周囲に感じたのだ。
「犬か、犬にしては数が多すぎる」
「確かに、変だ。後から後からわいてくるみたいだ」
私とTはお互いを確認しあうように、公園中央部から道路側に移動する事にした。だが、我々の動き同時に、周囲の気配もその包囲陣のまま移動するのだ。
(…やばい。あまりにもまずすぎる)
終いには、周囲の気配が形になって見え始めた。うごめく白い煙がうねうねと周囲をとりまいているのである。
「おい!!Tあれが見えるか」
「なんだあれは」
これが霊団なのか。緊急事態である。一刻を争う。我々は、周囲の白い煙の中で一番薄い場所に一気に駆け込んだ。
煙をつっきる瞬間に耳元で、無数の叫び声が聞こえた。
「ごーごー」
というのどの奥から絞り出すような声であった。そのまま、追ってくる煙を振り払いながら、車まで逃げ戻った我々は、無言のまま帰宅した。後にわかったことであるが、この場所はかつて首切り場であったらしい。
決して興味本位で心霊スポットに行ってはいけない。そう思いながら、今は取材という事
で行く運命を私は少々苦々しく思っているのだ(笑)
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