公園の池のカップルのカルガモの一羽が姿をみせなくなっていた。
残された一羽は、悲しそうに泣いていたのだが、突然いなくなっていた一羽が戻ってきたのだった。
その様子から、ケンカ別れしたわけでもなさそうだった。
互いに何事もなかったように仲良く泳いでいたので、ホッとした。
しばらく見ていると、どちらからともなく陸に上がり、近くの水路に移動した。
泳ぎはうまく速いのだが、なんとも、水掻きのついた足で歩くのはぎこちなく見える。
それでも、池から水路迄は飛んで移動するほどはなく、歩ける距離である。
狭い水路ではあるが、この水路は毎年雛が誕生した後、親子でどこかに引っ越しをする際に使う水路である。
その中を泳ぎながら何かを探しては口にしていた。
その後、またまたこのカップルに変化があった。
その水路で泳いでいるのを見たのを最後に、パッタリと池にも姿を見せなくなったのである。
今度は、二羽が揃って来なくなった。
先だって、この池の周りの樹を伐採する工事が行われていた。
めったにあることではないが、池のそばへトラックが出入りしたり、チェーンソーの音や梯子を動かす音などがしていた。
ある人の意見であるが、カルガモに「ここは安心して子育てができるところではないぞ」と思わせてしまったのかもしれない。
その真偽はともかく、「人」と「野生の生き物」とのお付き合いは、思い通りにはいかないものである。
また、ひょっこり飛んでくるのを、公園に遊びに来る幼稚園の子らも、たっぷりと時間のあるお年寄りたちも、みんな楽しみに待っている。