新潟への旅行の初日の宿は直江津(上越市)にとった。
佐渡沖をはじめこの近くで獲れた新鮮な魚を食べるのが、今回の旅行の楽しみでもある。
JR直江津駅に着いて観光案内所に立ち寄り、地元の人ならではの情報を入手する。
いくつかのお店を推薦していただいた中で、ホテルにも近い「魚料り かさはら」さんに決めた。
お店は、間口の割には驚くほど奥行きが深く、5時過ぎ、すでにチビチビやっているお客さんがいた。
常連さんの邪魔にならないように、長いカウンターの一番端っこに席を設けてもらった。
まずは、お通しに出たホタテの入った茶碗蒸しでビールで喉を潤す。
事前に「これは食べたい」と目星を付けていたものに「一夜干しのイカの天ぷら」がある。
ビールにも会いそうである。
このお店のメニューには、「上越名物 する天」と書かれてあった。
するめのような堅さはないが、しっかりした歯ごたえでイカの旨味が味わえる。
揚げ物をもうひとつ、カニのクリームコロッケ。
揚げたてのアツアツがビールによく合う。
次は、地元の日本酒(山間 やんま)に替えるとともに、お刺身の盛り合わせを注文する。
このお店では、魚を地元の能生漁港から直接仕入れると言うことである。
おまかせの魚は、チカメキントキ、レンコダイ、フクラギ、マトウダイ、ヒラメ、カワハギ、タコの7種である。
港はすぐそこにあり、そこで揚がる魚は新鮮に決まっている。
しかも、一切れ一切れは大きくカットされていて、このボリューム感は半端ではない。
お酒やお料理をそこそこに楽しんだ後は、〆に寿司をいただく。
何を握ってもらうかは「おまかせ」。
マグロ・あじ・ヒラメのえんがわ・チカメキントキ・マトウダイ・カナガシラの6種に、のり巻きが載って一人前。
米どころ越後のおいしい寿司米と佐渡沖の新鮮地魚のコラボ、ここでこそ味わえる贅沢である。
カウンター越しに、忙しそうにしている板前さんに、めずらしい魚のことなどを質問してみる。
イヤな顔一つしないで教えてくれる。
おいしい地魚と地酒は、翌日以降の越後路の旅への期待を膨らませてくれるものになった。