バレンタインデーが近い。
一昔前は、その日が近づくと、洋菓子屋さんの前にはうず高くチョコの箱が積まれていたものだ。
以前ほど騒がれないようになっている気がする。
現役を離れて久しい。
若い頃は、職場の女の子や、飲み屋のママさんから手渡された義理チョコに、目じりを下げていた。
それも、遠い昔のことになってしまった。
ふと思いついて、神戸・一番館さんのチョコレートを取り寄せた。
もともと甘いものはそれほど口にしないが、ここの「ポーム・ダムール」は好きなのである。
りんごを甘く煮て、苦味の強いチョコでコーティングしたものだ。
一粒ずつ包んであるが、その形は一様ではなく手作り感がある。
食べると、ほろ苦さの中にリンゴの甘酸っぱさがジワリと染み出してくる。
なかでも「ブランデー」が一番に気に入っている。
ただし、これは冬の間の限定商品である。
若い人たちにあやかり、陽だまりで、我らもチョコをつまむ。