ガイドブックには、北海道産のワインやビールを紹介するページも少なくない。
そんな中で見つけたのが、「道産ワイン応援団」を名乗るワインカフェ「veraison(ヴェレゾン)」さんだった。
ワインの瓶の丸であろう、ブドウの色の赤と白、黒で描いた北海道を形どったロゴが面白い。
お店に入って、事前の予想とは全く違った店内の様子に驚いた。
とにかく所狭しとワインボトルが置かれていて、調度にコストをかけた気取った雰囲気ではない。
いかにオーナーがワイン好きか、そしてワインにかける情熱がどれほどすごいものかは、話をお聞きしてすぐに分かった。
横浜生まれのオーナーは、「北海道産ワイン」がその存在を知られ始めたころ、ご主人の仕事の都合で札幌に移られたという。
北海道好き、ワイン好きが高じて「道産ワイン応援団」を立ち上げ、多くのワイナリーを知り尽くし、「北海道ワインの生き字引」というあだ名もついているとか・・・。
さらに、多くに人に北海道のワインのことを知ってほしいという思いから、2011年に「veraison」を開店された。
この辺のことは、オーナーの著書「北海道のワインに恋をして」に詳しく紹介されている。
ワイナリーの場所や、産み出されるワインの特徴などをお聞きしながら、お薦めのワインを。
生産者のワインに対する思いや、ワイナリーの状況までも伝わってくる。
生産量の少ないものは「これ、美味しいですよね!」などと、愛おしそうに注いでいただくと一段とおいしくなる。
さらに、岩見沢で女性の生産者が協働者と丁寧に育てるピノ・ノワールの「IRENKA」を奨められる。
生産量が限られていてすぐに売り切れになってしまうそうである。
この豊かな香りを持つワインを味わうことができる貴重なチャンスだったと言えよう。
もう一つは、オーナー自らが造る「VER ARA R MIX」をいただく。
このちょっと変わった名前の意味も説明していただいたが、もともとは仕込みの時タンクに貼られていた中身を識別する記号とのことである。
ちょっと酸味を感じるしっかりとした辛口に仕上がっているように感じた。
「veraison」さんのオーナーはワイナリーに直接足を運び、ブドウ畑や醸造所で生産者と接するのがほぼ日課のようなものらしい。
氏の著書のサブタイトルには、”魅せられて、歩いて、話して6000日”とある。
そんなオーナーの豊富な経験、知識をお聞きしながら、美味しいワインとともに楽しく過ごさせていただいた。
すすきののホテルまで10分ほど、ネオンの洪水の中を気持ちよく歩いた。