自然はともだち ひともすき

おもいつくままきのむくままの 絵&文

コタツ

2009年01月21日 | 写真と文
 お正月休み、久しぶりに家族全員揃ったところで「コタツ」のリクエストが出た。
    ㅡㅡこれが無くなれば、部屋はすっきり、頭もすっきり、 
    動きは活発になって、どんなにか仕事の能率も上がるだろうㅡㅡ
 年配の人なら誰もが知っているこの思いが日々強くなって、部屋の改装を機に暖房器具を取り換えたのは、太郎の通学問題を境にひとり暮らしの生活に切り替えた時だった。

 部屋いっぱいスケッチブックや大下絵を広げる
 案ずることなくいくつもの絵皿を重ねる
 右にも左にも自由にパネルを移動させる
 疲れたらどこの空間にでもゴロンと寝転んで足を伸ばす

 そして炬燵の味は堪能されて忘れ去られ、暖房は隅々にまで行き届いて、子供たちの声も聞こえぬ静けさをさして淋しいとも思わず、白い天井に夢を描いていた。
 それから10年余も経っている。

 年末の整理時、処分に迷いながらひとまず残しておいた古い炬燵一式。
 押し入れの隅から引っ張り出して組み立て、下敷き、中敷きと、何やらタイムスリップする感覚のなかでスイッチをひねった…

 小さな歓声が上がった
 見るからにあったかそうな赤い光
 懐かしい
 覗き込むといくつもの足が窮屈そうに交差している
 


 穴の中で冬ごもりする一家のイメージ。
 窓ガラス一枚隔てた外に、たとえ物語の中のような雪の舞う別世界が広がっていたとしても。
 炬燵を囲んで冬眠するのもゆったり休暇を楽しむ1シーンであってふさわしい。
 最近になってようやくお正月を振り返る余裕が出てきた。気づくとみんながいなくなって、炬燵だけが残っている。
 一人の食卓を片づけて、いそいそもぐりこんだ。
 
    これが無くなれば、部屋はすっきり、頭もすっきり
    動きは活発になって、どんなにか仕事の能率も上がるだろうに。

 ・・・・ あれ?