風が冷たく、寒い一日でした。
正月ぶりに実家を訪問。
1月はなんだかんだと色々あって、
なかなか顔を出せなかったのですが、
少し一段落ついたので。
この頃ふと脳裏に浮かぶ絵本がありました。
「しんげつ」
原作・火野葦平/文・阪田寛夫/絵・川上四郎
幼稚園の頃、毎月配られた「キンダーおはなしえほん」という
薄い絵本の中の一冊。
***
人間にうっかり捕まった河童が、
「もしも逃がしてくれたなら、毎日魚を5匹届けます、
但し、家の周りに刃物は決して置かないで。」
と約束して自由を得ます。
河童にしてみれば、毎日5匹の魚なんて朝飯前。
簡単に守れる約束だったでしょう。
ところが、いつの頃からか、川の魚が減って
たった5匹の魚を捕まえるのも大変になって来ます。
それでも河童は苦労して、苦労して、その約束を守り続けるのでした。
人間の方は、そんな約束を最初は当てにはしていなかったのですが、
それでも、毎日魚が届くのですから儲けもの。
いつの間にかだんだんとあぐらをかくようになり。
そのうちに
「もう、この魚には飽きたな。」
なんて嘯く始末。
その陰で河童は精魂尽き果てるほどになりながらも、
魚を探し、人間との約束を守り続けます。
ところがある夜明け、
やっとの思いで見つけた魚を手に人間の家へ向かうと、
井戸端にはおかみさんがうっかり置き忘れた包丁が。
恐怖のあまり飛び上がって逃げた河童ですが、
これでやっと、約束から解放されたのです。
川底へ戻って昼も夜も眠り続けました。
***
・・・と、たったこれだけの話です。
何故か気になって気になって。
もう一度読んでみたいなぁと思い、ネットで調べてみましたが、
ほとんど情報がなく。
唯一閲覧可能そうだったのが、国会図書館のデジタル資料。
そのうち足を運んでみましょう、と思っていたのですが、
これがまたなかなか腰が重い(笑)。
何ヶ月も過ぎていました。
今日、実家で思い立って、まさかなぁ~と思いつつ、
物置の奥を調べてみました。
・・・そしたらなんと・・・
ありました、ありました
とってもとっても黄ばんでるけど、
確かにもう一度見たかった、あの本でした。
人間の記憶は不思議です。
この絵本を読んだのは、4~5歳の頃ですから、
もう何十年前?(笑)
特にお気に入りの一冊という訳でもなかったのですが、
数十年後の今になって、突然私の意識の表面に。
こういうお話は、ただただお話として読むのがいいですね。
下手に教訓を得ようとしたり、
我が身に置き換えてみたりするのは無粋というものでしょう。
でもね。
何だか泣ける、この話。
大きな記憶の海の底に沈んでいた、たった一冊のこの本を
わざわざ釣り上げたものは一体何だったんだろう?
思いがけぬお宝発掘です。
ジャンクの山に思える実家のモノたちとも
そろそろ丁寧に向き合ってやる時なのかもしれません。
でもまぁ、その前に自分の家だけどね。
正月ぶりに実家を訪問。
1月はなんだかんだと色々あって、
なかなか顔を出せなかったのですが、
少し一段落ついたので。
この頃ふと脳裏に浮かぶ絵本がありました。
「しんげつ」
原作・火野葦平/文・阪田寛夫/絵・川上四郎
幼稚園の頃、毎月配られた「キンダーおはなしえほん」という
薄い絵本の中の一冊。
***
人間にうっかり捕まった河童が、
「もしも逃がしてくれたなら、毎日魚を5匹届けます、
但し、家の周りに刃物は決して置かないで。」
と約束して自由を得ます。
河童にしてみれば、毎日5匹の魚なんて朝飯前。
簡単に守れる約束だったでしょう。
ところが、いつの頃からか、川の魚が減って
たった5匹の魚を捕まえるのも大変になって来ます。
それでも河童は苦労して、苦労して、その約束を守り続けるのでした。
人間の方は、そんな約束を最初は当てにはしていなかったのですが、
それでも、毎日魚が届くのですから儲けもの。
いつの間にかだんだんとあぐらをかくようになり。
そのうちに
「もう、この魚には飽きたな。」
なんて嘯く始末。
その陰で河童は精魂尽き果てるほどになりながらも、
魚を探し、人間との約束を守り続けます。
ところがある夜明け、
やっとの思いで見つけた魚を手に人間の家へ向かうと、
井戸端にはおかみさんがうっかり置き忘れた包丁が。
恐怖のあまり飛び上がって逃げた河童ですが、
これでやっと、約束から解放されたのです。
川底へ戻って昼も夜も眠り続けました。
***
・・・と、たったこれだけの話です。
何故か気になって気になって。
もう一度読んでみたいなぁと思い、ネットで調べてみましたが、
ほとんど情報がなく。
唯一閲覧可能そうだったのが、国会図書館のデジタル資料。
そのうち足を運んでみましょう、と思っていたのですが、
これがまたなかなか腰が重い(笑)。
何ヶ月も過ぎていました。
今日、実家で思い立って、まさかなぁ~と思いつつ、
物置の奥を調べてみました。
・・・そしたらなんと・・・
ありました、ありました
とってもとっても黄ばんでるけど、
確かにもう一度見たかった、あの本でした。
人間の記憶は不思議です。
この絵本を読んだのは、4~5歳の頃ですから、
もう何十年前?(笑)
特にお気に入りの一冊という訳でもなかったのですが、
数十年後の今になって、突然私の意識の表面に。
こういうお話は、ただただお話として読むのがいいですね。
下手に教訓を得ようとしたり、
我が身に置き換えてみたりするのは無粋というものでしょう。
でもね。
何だか泣ける、この話。
大きな記憶の海の底に沈んでいた、たった一冊のこの本を
わざわざ釣り上げたものは一体何だったんだろう?
思いがけぬお宝発掘です。
ジャンクの山に思える実家のモノたちとも
そろそろ丁寧に向き合ってやる時なのかもしれません。
でもまぁ、その前に自分の家だけどね。