雑にゃん日記<俺ってズレてる?>

いろいろな趣味や語りを書きたいと思いまーす。
私の頭の中、一般的と言うものとはズレているみたいです。

「神のロジック 次は誰の番ですか?」西澤保彦さん作 読みました

2025-01-26 00:35:01 | 読書
次の小説を物色している時です。
KaBosコレクション」という棚にありました。
2023年のおすすめ書籍です。
以前読んだ「文身」は2024年の受賞著書ですね。

タイトルは「神のロジック 次は誰の番ですか?」です。
「神のロジック 人間のマジック」の改題とのことです。

感想文ですが。。。
1ページ開いた時から、違和感がかなりありました。
なんとなく「矛盾」と「ダラダラ感」で進むんだろうな?という経験則があります。

主人公は、小学生ぐらいの年齢。
にもかかわらず、セリフ全体が丁寧すぎる言葉使い。
子供はそんな話し方はしないだろう?という違和感。
そして、文章自体も難しい言葉を使う違和感。
作者自体「言葉遊び」が好きで、難しい言葉、漢字を使う事が楽しい人なのかもしれないと。
文系さんには、良くあることなのかな?
ただ、この「丁寧な言葉」自体も伏線で、ラストで「なぜ丁寧な、難しい言葉を使うのか?」がわかります。
読み取りにくいですが、なかなかこういう「サラリとした」仕掛けは面白い。

当初は「そして誰もいなくなった」(アガサクリスティ作)をオマージュした作品か、急なSF風味になるのだろう?
なんて思って読み進めましたが、全然話が進まず。
途中途中で、何の事件も起こらず。
いや、小さな出来事は起こります。
そして、ただただ日常系が進む。
とはいえ最後の部分でビックリするような説明が怒涛に語られます。
この最後の説明には、これまでの日常で起きた違和感が全て1つに収束していき納得のエンドにつながります。。。
が、とにかくエンドに到達するまでが長い。

後から思えば、「伏線」は色々あります。
「あ~あの点は、あそこにつながるのか?」
という印象はあります。
ただ、ミステリーとしての印象はかなり薄い。
面白い作品だと思うので、少々残念。

とはいえ、この小説のキモは別にあると感じました。
それは「共同錯誤」というか「集団心理」について。
そう、現代の「集団で人をおとしめる」そんな危険な心理状態を「共同錯誤」現象として物語にした点です。
集団で「こうだ」と決めてしまえば、黒いものも白くなる。
多数決原理で「やってはいけないこと」も正しく思えてくる、今日におけるネット社会の危険性。
この危険性を、物語と言うフィールドの中で「実験」している。
そして、最後には、この「共同錯誤」の結果で崩壊する。
この話の流れ自体が、フィクションではありながらも現実と重ね合わせた時の恐怖が感じられます。
そう、私が常日頃言っている「民意は間違っている」と言っているのはこの点です。
社会性をもって考えるならまだしも、この「集団心理」・・・「共同錯誤」の中で考えると、よろしくない方向に突き進んでします。
なんだか私の「良くない想像」が突きつけらてしまっているかのような恐怖が、私の心をつかんでしまいました。
最初の違和感なんて、この時点で吹き飛んでしまい、「満足感」ではなく「恐怖」を感じずにはいられない。
そんな奇妙な感想を持った、言葉通りの「奇妙」な作品でした。

ちなみに、タイトルの副題「次は誰の番ですか?」も「人間のマジック」も不要な感じがします。
「神のロジック」
だけで、人間が持った・・・そして、今日、我々が侵されている社会認識の不思議、その結果残酷な現実。
そう、この「共同錯誤」自体が、神が準備した奇妙な「崩壊のロジック」。
それこそが
「神のロジック」
そんな意味合いで良かったと、読み終えた時、感じずにはいられませんでした。
それを意識させるには十分だったのに。。。
そう思います。
では、改題の「次は誰の番ですか?」には、どんな思いが込められているのだろう?
実際はわかりませんが。。。
「次はあなたです。あなたが共同錯誤の中で真実から目を背けていませんか?」
という意味合いがあるのではないでしょうか。
あくまでも想像です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする