中央本部の溝口です。
いよいよブログ当番も最後となりました。
中執、書記次長含め本部役員在任期間中3年にわたり、いつ炎上しやしまいかとビクビクしながら投稿を続けてきましたが、そもそもほぼ誰からも読まれないゆえ、炎上のしようがないような、救いようのない記事を投稿してきたことを恥じ入るばかりです。それもこれもこれで最後です。
最後というと、ついつい感動の超大作を書いてしまいたくなりますが、その衝動を抑え、淡々と筆を走らせていきたいと思います。
先日、国連の2019年「幸福度」ランキングが発表されましたが日本は主要7カ国(G7)中で最も低く58位。幸福度を構成する項目ごとの結果を見ると「他者への寛容さ」(92位)が最も幸福度を押し下げる要因となったようです。
5/15発行分のコラム「起翔転結」において「生き方、価値観は人それぞれ。大事なのは、多様な価値観を受け入れる他者への寛容さが社会全体を包み込むことである。」と結びましたが、日本社会というのは世界標準で俯瞰して見たとき、どうも他者に優しくない、自分本位なお国なのかもしれません。
「他者への寛容さ」とはどういうことなのか。。むしろ「他者への不寛容さ」なら分かりやすい例が日常に溢れています。
朝のニュースで毎日のようにSNSの炎上騒ぎが報じられていますが、「他者を叩いて正義に自己陶酔している人」、これが「他者への不寛容さ」の典型です。
正論を振りかざして、他人をやっつけて、自己陶酔に浸る肉食動物が少なからず生息しているこの社会で、草食系の代表、パイオニアとして最先端をひた走る私としては、只々途方に暮れるばかりでありますが、他者を叩いて正義に陶酔している人は、「共感」、つまり相手の立場に立って物事を考えたり、行動をとったりという日々の習慣を今からでも見つめ直すべきだと思いますし、そもそも共感する力は、幼少期から時間をかけて、教育の課程において涵養されるべき重要な資質であると思います。
ブログや起翔転結でたびたび引用させていただいているフランスのノーベル文学賞作家カミュの作品「ぺスト」では、第二次世界大戦という不条理をモチーフに、ペストと立ち向かう医者とその友との友情が描かれています。その主要な登場人物二人が語り合う場面で、二人は「神に依らずしていかにして聖者たりうるか」について語り合い、一方は「共感」というキーワードを提示し、もう一方は「理解」というキーワードを提示しています。カミュも含めて西洋の作家というのは自国の文化に根深く浸透しているキリスト教と向き合う中で、人間の生き方を模索・追求した、その足跡を作品として後世に残してくれていますが、そういう文学作品と出会う中で、私個人としても、他者を「理解」し、他者への「理解」が積み重なった結果として、「共感」(≒「他者への寛容さ」)が社会全体を包み込むことが、目指すべき人類の姿だろうと思う今日この頃であります。
と締めくくったかと見せかけて、話を少し転じまして、、、ヘイト・スピーチに代表されるような人種間の憎悪や敵意も「他者への寛容さ」を以って乗り越えなければならない人類の課題のひとつだと思うわけですが、先日「日本人が南京で“フリーハグ”警察に連行も...(その動画が)13万回再生」というニュースを見て感銘を受けました。
フリーハグってそもそもなんなんだって話なんですが、路上でヒッチハイクみたいなノリで、「フリーハグ」って書いた紙掲げて、その紙を見た道行く人と、ただただハグをするみたいな活動がきっかけとなって、共感した人がそれに追随するように一つのムーブメントになっているようです。
そのフリーハグを、とある日本人がわざわざ南京まで行って試みた動画が話題になっているようです。「日本と南京の間に悲しい歴史があって、そんなところでフリーハグをやったらボコられるんじゃないかと」そんな不安を抱きながらも、「中日友好」と書かれた看板を持って路上に立ってみると、、次々と南京の人がハグをしてくれた。。っていう動画みたいです。
この日本人がインタビューに答えて、こんなことを言ってました。
「僕がやっているのはただのハグなんで。目の前にいる人をただハグするだけ。本当にただその積み重ねで。目の前にいる一人の人を大切にすることがこの社会に変化をもたらしていくんじゃないかと信じています。」
私たちは悲しい過去を変えることはできませんけれども、人種は違えど同じ人間として、「共感」が社会全体を包み込む未来を思い描き、実現していくことができるんじゃないか。。少しそんな希望と勇気をくれたステキなニュースでした。
いやー、中央本部役員としての地方巡業では、全国の財務局職員と交流を深め、少なからぬステキな財務局職員と出会うことができて、ともに仕事をして、たくさんの共感・シンパシーみたいなやつを感じさせていただいて。。結果、良い2年を送ることができて。。一緒に仕事をした方々、仕事を作り上げた皆さまに感謝です。。と強引に締めくくり、永久に筆を置くことといたしたい。