17-269「ダンケルク」（イギリス・アメリカ・フランス）

いかなる犠牲を払おうとも
　1940年、フランス北端の港町ダンケルク。ドイツ軍に追い詰められた英仏連合軍40万の兵士たちは絶体絶命の状況を迎えていた。
　若き英国兵トミーが街中を必死で逃げ回り、ようやく辿り着いた海岸には、おびただしい数の兵士たちが救助の船を待っていた。しかし彼らに残された時間は限られていた。
　そこでドーバー海峡を挟んだ対岸のイギリスでは、民間の船までをも総動員した救出作戦が決行される。民間船の船長ミスター・ドーソンもそれに呼応し、息子とともに危険を顧みず同胞が待つダンケルクへ向け船を走らせる。
　そして最新鋭戦闘機スピットファイアのパイロット、ファリアーもまた、危険を承知の上で味方の撤退を援護すべくイギリスから飛び立つのだったが。（「allcinema」より）


　「インセプション」「インターステラー」のクリストファー・ノーラン監督が、初めて実話に挑戦したと宣伝している作品。

　第二次世界大戦の１９４０年、ドイツ軍によってフランスの港町、ダンケルクに追い詰められた英仏連合軍４０万人の兵士。
　そんな状況で、決死の脱出作戦、救出作戦を敢行しようとするイギリス軍の姿を描いている。


　物語は、陸、海、空、それぞれの視点で描かれた映像で綴られていく。

　最初に、防波堤、１週間。海、１日。空、１時間と出てくるので、どういう意味だろうと思っていたが、この物語で描かれたそれぞれの時間を表していたような感じ。

　そのため、３視点が交互に描かれるが、時間軸が多少ずれていたりして、同じシーンを別の視点で映し出したりしている。

　ここはノーラン監督らしい演出かな。

　
　陸では、若き兵士のトミーをメインに何とか故国へ戻るため決死の脱出を図ろうとする兵士たちの状況を描き、海では、ダンケルクに追い詰められた兵士を助けるため徴用された民間船の一隻で救出に向かうドーソンとその息子が描かれる。
　そして空では、救出作戦援護のため、ダンケルクへと向かう、戦闘機を操縦するファリアーたちの戦いが描かれる。

　ドイツ軍が姿を見せるのは、戦闘機ぐらいで、ファリアーたち空軍が対峙するのだが、あとは空爆や魚雷にさらされ、逃げ惑う兵士の姿が映され、戦いのシーンはほとんどなし。
　魚雷はどこから発射されたんだろうと思うシーンもあったな。

　それでも、戦闘機が迫り、攻撃を今にも受けるかというシーンは緊張感が高まるし、攻撃されて転覆してしまう船内のシーンも臨場感があったな。

　物語全体が奇跡のドラマであるが、内容としてはドラマ的な要素は少なめな感じで、脱出劇、救出劇を緊迫感もって綴っていく感じである。

　ファリアーの戦いとその運命はちょっとドラマティックではあったが。


　緊迫感のあるシーンの連続で、興味惹かれる展開。
　感動的とまではいかないが、最後まで惹き込まれる作品だった。

/５

監督：クリストファー・ノーラン
出演：フィオン・ホワイトヘッド、ハリー・スタイルズ、ケネス・ブラナー
　　　　キリアン・マーフィー、マーク・ライアンス、トム・ハーディー、トム・グリン＝カーニー
　　　　ジャック・ロウデン、アナイリン・バーナード、バリー・コーガン、ジェームズ・ダーシー
於：シネマサンシャイン池袋