私は渇いてしまった
男子禁制の“女の園”であり、重要な官僚機構でもある場所・大奥。この場所でキャリアアップを図ろうとする新人女中のアサと、同じく新人女中で大奥に夢を求めるカメは、着任早々、集団に染まるための“儀式”に参加させられる。御年寄の歌山は大奥の繁栄と永続を第一に考えて女中たちをまとめあげるが、無表情な顔の裏に何かを隠している。
そんな中、彼女たちを少しずつ“何か”が覆っていき、ある日決定的な悲劇が起こる。
モノノ怪を追って大奥の中心部まで足を踏み入れた薬売りは、やがて大奥に隠された恐ろしくも切ない真実にたどり着く。(「作品資料」より)
2007年にTVアニメシリーズとして放映されていた作品の劇場版。
モノノ怪が現れし所に姿を現す謎の薬売りが、モノノ怪を斬り祓う様を描いたファンタジー・ホラー。
江戸時代の大奥を舞台として、そこに渦巻く情念から引き起こされるモノノ怪の誕生。
和紙の上に描かれたような画で日本的な要素を強調しており、そこにカラフルな色使いで絢爛豪華な雰囲気を出している。
大奥に務めるため新人女中のアサとカメがやって来る。
2人にいきなり突きつけられるもの。
どこか怪しい雰囲気を見せる大奥の様子。
ナニモノかの情念がアヤカシと交わればモノノ怪になるというが、果たして誰の情念だったのか。
また薬売りが持つ退魔の剣は、この世で唯一モノノ怪を斬ることのできる存在であるが、三様が示されないと封印が解けない。
三様とはモノノ怪となりし妖の名前である〝形〟、事の有様である〝真〟、心の有様である〝理〟の3つ。
これらが展開上明らかになっていくようだが、捉え辛いところがあったな。
そんな中、モノノ怪が現れる様や薬売りがモノノ怪を追い退治しようとするスピード感溢れる様は興味深かった。
判り辛いながらも大奥の中で繰り広げられる思惑や、自分を殺してお努めするという様子も興味深かった。
面白いファンタジー・アニメであった。
ことは本作だけでは終わらなかったのか、しっかり最後に〝第二部火鼠に続く〟と出ていたので、続編があるのだろうな。
/5
監督:中村健治
声の出演:神谷浩史、黒沢ともよ、悠木碧、小山茉美、花澤香菜、ゆかな、甲斐田裕子、日笠陽子、戸松遥、梶裕貴、福山潤、細見大輔、入野自由、津田健次郎
於:グランドシネマサンシャイン池袋
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