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死は迫ってみて、初めて判る
ある最新技術を用いた延命治療が国家により推進されるようになった近未来。裕福な家庭で育った新次は妻との間に娘も生まれ理想的な家庭を築いていたが、重い病に冒され病院で療養している。
手術を控えて不安にさいなまれる新次は、臨床心理士まほろの提案で自身の過去についての記憶をたどりはじめ、海辺で知りあった謎の女性や、幼い頃に母からかけられた言葉を思い出していく。記憶がよみがえったことでさらに不安を募らせた新次は、“それ”という存在に会わせてほしいとまほろに懇願。
“それ”とは、上流階級の人間が病に冒された際に身代わりとして提供される、全く同じ見た目の“もう1人の自分”であった。(「作品資料」より)
近未来を舞台としたヒューマン・ミステリー。
重い病を患った新次は、延命措置の手術を受けることになる。
〝それ〟と呼ばれる自分のクローンを使用した手術。
その詳しい内容は判らなかったが、手術をするとそれの命は失われる模様。
死が身近に迫る新次に対し、臨床心理士のまほろが彼のケアにあたる。
まほろの提案によって自分の過去を思い起こす新次。
現在の新次と、彼が思い出す過去の姿が交錯して描かれる。
少し幻想的な雰囲気がある。
やがて新次はそれと会わせてほしいと言う。
それと会うことは禁止されているが、どうやら新次はその病院の院長の息子らしく、そんな新次の言うことには従わざるを得ないよう。
そして対面したそれは、見た目はそっくりであるが、内面は全く違い、環境のためか、穏やかで知的であった。
それと話していくうちに、それを犠牲にしてもいいものか悩むようになる新次。
果たして、新次の決断は。
自分が生きるために、もう1人の自分を殺してもいいのか。
そして、記憶にも言及した話。
大きな波のある話ではないが、ゆったりとした雰囲気の中で進んでいく話。
倫理的な問題も提起しているようで、興味深い話であった。
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監督:甲斐さやか
出演:井浦新、水原希子、三浦透子、甲田益也子、板谷由夏、原日出子、斉藤由貴、永瀬正敏
於:テアトル新宿
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