愛してる、だからこそ殺してみたいんだ
江戸川乱歩を愛読する弓子は、生前の乱歩の「僕は殺人快楽症になりたい」という言葉を巡り、彼が実際に人を殺しているという話がネット上で語られているのを目にする。
殺されたのは美しい女で、乱歩はその女を、いまも表参道に面影が残る同潤会アパートの壁に埋め込んだという。
ある時、弓子は祖父の写真館で古い写真を見つけるが、そこに写る文子という女性と乱歩の接点が明らかになり。(「作品資料」より)
江戸川乱歩を愛読する弓子が、ネット上で語られる〝江戸川乱歩は人を殺している〟という言葉を目にする。
やがて、福島という人物が書いた本に書かれている、乱歩の友人である二山という人物のことを知り、調べていくうちに思いもよらぬ話を耳にする。
やがて弓子はある考えに憑かれていき、現実とも幻想ともつかぬものを目にするようになる。
現代を舞台にした話ではあるが、乱歩のことも描き、大正、昭和初期の雰囲気も醸し出している。
そして乱歩がご執心だった芙蓉という美しき女性が登場し、彼女が謎多き女性として描かれる。
彼女が踊る舞台の風景は、歌われる歌と共に、これまた当時の雰囲気を作り出していたな。
弓子は、そんな芙蓉の身に起こったことを想像し、ついには自らその真相を暴き出そうとする。
文豪、江戸川乱歩自身の謎を解き明かそうとするミステリーと、憑かれていくようになっていく弓子の姿を描くサスペンス性のある作品。
それに幻想とも幻影とも言える映像が映し出され、ファンタジックな要素もある話だった。
果たして乱歩は殺人を犯したのか。
その被害者は芙蓉なのか。
程良く幻想的で興味深い展開の作品だった。
/5
監督:秋山純
出演:結城モエ、高橋克典、山口大地、嘉島陸、小貫莉奈、高橋努、志摩大喜、高井敏弘、吉岡〝Ree〟りさ、加藤雅也、常盤貴子
於:池袋シネマ・ロサ
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