CINECHANが観た映画について

映画ブログ。感想というより記録のようなもの。
基本的にはネタバレに近いものがあります。

19-311「HUMAN LOST 人間失格」(日本)

2019年12月14日 00時42分08秒 | 日本映画
それでも君の空は青い
 昭和111年。医療革命により全国民が無病長寿となった日本は、長時間労働を強いる政策と環境問題を無視した経済活動によって、GDP世界1位、年金1億円支給を実現していた。しかし、その行き過ぎた社会システムによって貧富の差は拡大。東京首都圏では、大気汚染と貧困の広がる環状16号線外“アウトサイド”と、富裕層が住まう環状7号線内“インサイド”の二極化が進んでいた。
 アウトサイドで暮らす青年の大庭葉藏は、生きる意味を見出せずに薬物や酒や女に溺れる日々を送っていたが、ある日暴走集団によるインサイドへの突貫に参加し、激しい闘争に巻き込まれる。
 そこで葉藏は不思議な力を持つ女性の柊美子と出会い、自分もまた特別な力を持っていることを知る。だが同様の力を持った堀木正雄という男が、暴走集団に薬をばら撒いて異形の怪物“ロスト体”を生み出していた。(「allcinema」より)


 「人間失格 太宰治と3人の女たち」も先日公開されていたが、そのモチーフとなった太宰治の作品「人間失格」

 本作もその小説をモチーフとして製作されたアニメ作品。

 とは言え、舞台は東京ながら、全国民が無病長寿となった昭和111年が時代設定となるSFアニメ。

 しかし、時折、死を迎えた人間が異形の怪物、〝ロスト体〟となる。

 そして、無気力に過ごしていた大庭葉藏も巻き込まれると、思わぬ事態が発生してしまう。

 
 基本的には、人命をも管理された社会の中で、時折起こるヒューマン・ロスト現象を描き、それによって人類の未来を問う話となっている。

 120歳までの寿命が保証され、120歳になった人間は合格者と呼ばれるものとなる。

 そんな合格者と、それを作り出すネットワークに対し、人間は失格者だと言う男が現れる。

 大庭葉藏にも思わぬ秘密が隠されており、それによって争いに巻き込まれていく。

 主人公が思わぬ運命を持ち、争いに巻き込まれていくという話は、何となくこれまでにも観たような気はするな。

 堀木正雄という男が唱える〝人間失格〟は、このシステムに対する人類のことを言っているようで、かなり大きなくくりであったな。


 太宰の「人間失格」とはかけ離れている世界観であるが、主人公の大庭葉藏を始め、堀木正雄に美子というアンドロイド、そして竹一や恒子、そして澁田に、ネットワークを管理している機関名がヒラメなど、人物の名称等は原作に倣っていたな。

 人とは違う力を持っていることを知った大庭葉藏が、異なる人類の未来を提唱する者たちの間で争いに巻き込まれていく展開。

 どこかで観たような話だなとは感じたが、ちょっと哲学的な内容もあって、話の先行きと共に興味深い作品ではあった。

/5

監督:木﨑文智
声の出演:宮野真守、花澤香菜、櫻井孝宏、福山潤
     松田健一郎、小山力也、沢城みゆき、千菅春香
於:池袋HUMAX CINEMAS

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