CINECHANが観た映画について

映画ブログ。感想というより記録のようなもの。
基本的にはネタバレに近いものがあります。

20-129「人間の時間」(韓国)

2020年07月13日 07時32分58秒 | 韓国映画
野望が大きければ、欲望も大きい
 クルーズ旅行にきた女性と恋人・タカシ、有名な議員と息子、ギャングたちや謎の老人、休暇へ向かう者ら、年齢も職業も様々な人間たちを乗せ、退役した軍艦が出航。大海原へ出た船の上で、人々は酒、ドラッグ、セックスなど多様な人間の側面を見せていく。
 誰もが疲れて眠りについた夜、船は霧に包まれた未知の空間へと入っていった。あくる朝、自分たちがどこにいるのか、いつこの状況から抜け出せるかもわからず、人々は混乱。
 極限状態の中、取り残された人々は生き残りを賭け凄惨な事件を次々に起こしていく。(「KINENOTE」より)


 「殺されたミンジュ」「メビウス」等のキム・ギドク監督の最新作。

 主演は藤井美菜で、その恋人役にオダギリジョーも出演。
 2人は日本語で話すが、他の人々は韓国語。
 それで会話が通じるという「悲夢」のような設定もある。

 クルーズに出た元軍艦が、ある朝突然宙に浮かび、どことも知れず空間へと導かれる。

 極限の状況に置かれた人々は、やがて欲望を剥き出しにし、凄惨な事件を引き起こしていく。


 設定は特殊ではあるが、船内という限られた空間に置かれた人々が、徐々に狂気を宿し、欲望を剥き出しにしていくという展開は、王道的なものであったかな。

 議員とギャングたちは、食料を独占しようとし、乗客たちは彼らに押さえつけられながらも、やがて暴動を起こそうとする。

 そんな中、同乗していた謎の老人は、船内の土や砂を集め、それで作物を育てようとする。

 このアン・ソンギ演じる謎の男は一言も喋らず、黙々と作業をし、何かしら鍵を握っているような感じある。

 正直、この謎の老人は謎のままで終わってしまったな。

 果たして、極限の状況下、どのような結末を迎えるのか、何故に彼らは空間へと誘われたのか。

 凄惨な展開となっていくが、ある意味、人間の欲望を表したオーソドックスなテーマ。

 作中では語っていなかったと思うが、主演の藤井美菜はイヴ、そしてチャン・グンソク演じる議員の息子はアダムという名前か、そういう設定だったらしい。
 納得出来るような出来ないような。

 ハッキリとした結末の得られない悩ましさはあるが、人間の欲望を見せ付けられる作品であった。

/5

監督:キム・ギドク
出演:藤井美菜、チャン・グンソク、アン・ソンギ、イ・ソンジェ
   リュ・スンボム、ソン・ギユン、オダギリジョー
於:シネマート新宿

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