ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ラスト・ソング

2010-05-16 23:37:10 | ら行
いやーよくできた青春映画ですわ。

「ラスト・ソング」73点★★★


「ハンナ・モンタナ」の主人公として
またミュージシャンとしてもノリにノッてる
マイリー・サイリス。

番長もけっこうヘビーチューンしてますが
本作は彼女のために書き下ろされたという話で
まあこれが、うまく作ってあるんです。


主人公ロニー(マイリー・サイラス)は

夏休みを過ごすために
小さな弟とともに
父の住む海辺のコテージにやってくる。

ロニーは幼いころから音楽の才能に恵まれ
名門ジュリア―ド音楽院に入学を許可されたものの

両親の離婚に反抗して
もう何年もピアノから遠ざかっていた。

久しぶりに会った父に反抗的なロニーは
海で出会った青年ウィル(リアム・ヘムズワース)にも
とげとげしい態度を取る。

そんななか
ロニーは海辺でウミガメの卵を見つけ
卵を守るために奮闘を始める――というのは、ほんのさわり。


海に水族館デートにウミガメ、
さらに別れに事件に、誤解に病気
そして音楽がつなぐ親子の絆・・・・・・

よくまあ1時間47分に
ありとあらゆる要素を詰め込んで

うまくまとめたよなあと
感心してしまいます。


それこそ米テレビの青春ドラマの
1シーズン分はゆうにあるボリューム感。


ストーリーをよく考えてみれば
両親の離婚ごときでいまどきこんなにグレる娘っているか?とか
各所に穴はあるんだけど


そんなこと吹き飛ばしてくれるのが
やはりマイリー・サイラスのオーラ。


ミュージシャン血筋に生まれ
才能バリバリの彼女には
ホントに何か“ぶる”ところとか
“自分をよく見せよう”いうところがない。

あくまでも姿勢悪く
あくまでも機嫌悪く
ふてくされた10代をまるっと演じており
これはなかなかできることじゃないと思う。


その気にしなさ加減と
しゃがれた声がまた
肝っ玉母ちゃんを連想させるというか

よくいえば母性を感じさせて
なんだか「好き」になっちゃう魅力を持っているんですねえ。

なにより
歌のうまさ以上に
“音楽とひとつになっている人間”のリアリティを
いま、ここまで出せる俳優ってほかにいないと思う。

ぶっとい指でふっとピアノを弾き出す
本物の迫力にやられました。

ちなみにこの映画をきっかけに
実生活でも
リアム・ヘムズワーズとお付き合いをしているそうで

あ~なんかそういう話
オバチャン、ほのぼのしちゃいますわあ。


★6/12から全国で公開。

「ラストソング」公式サイト
コメント (2)
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