ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ぼくのエリ 200歳の少女

2010-05-23 03:00:46 | は行
血まみれの衝撃よりも
最後に“切なさ”が勝つかどうかが、この映画の鍵。

私には、切なさが勝ちました。


「ぼくのエリ 200歳の少女」70点★★★



主人公は12歳の少年オスカー。

いじめられっ子で友達のいない彼は
ある夜、隣に引っ越してきた
同い年の少女エリと
次第に心を通わせるようになる。

が、そのころ町では
おぞましい殺人事件が起こり始める。

被害者はいずれも逆さ吊りにされ
のどを掻き切られ、血を抜かれていた・・・・・・

そしてある日
オスカーはついに
エリの正体を知ることになる――。


スウェーデンのスティーブン・キングといわれる作家の
ベストセラー小説が原作だそう。

まあストーリーのモチーフ自体は
さほど目新しいものではありませんが


北欧という舞台装置
少年少女のピュアな恋・・・という世界に

相当にあっけらかんと
残酷な血まみれシーンを同居させた
その斬新な表現方法が
すごく目をひきます。


同じ血でも
純白でフカフカな毛布の上に飛び散る鮮血は
より生々しさとエグさが際立つわけで

そんなふうに終始、心臓を揺さぶってくる
新しい感覚のホラーです。


まあかくいう私も相当に血に弱い部類。

しかし
物語の冒頭で
エリと一緒に暮らしている年配の男がおりまして

物語が進むにつれ彼の役割がわかってきて

そこにオスカー少年の未来が
ループすることが見えたとき

その切なさが
すべての血みどろを凌駕しました。


最近スウェーデンのミステリー界は
映画化された「ミレニアム」を始め「キテる」と評判。

その勢いを感じさせる
“恐るべき映画”ですね。

ちなみに
「クローバーフィールド」の監督による
ハリウッドリメイクもすでに決定。
今年10月上旬米公開予定だそうです。


★7月上旬から、銀座テアトルシネマほか全国順次公開。

「ぼくのエリ 200歳の少女」公式サイト(coming soon)
コメント (6)
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