ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

サンザシの樹の下で

2011-07-08 23:43:32 | さ行

原点回帰、大成功。
よっ、胸キュンの巨匠!

「サンザシの樹の下で」70点★★★☆


1970年代初頭、文化大革命下の中国。

知識人などを下位とし、
農民や労働者、軍人を上位とする教えのもと、

女子高生ジンチュウ(チョウ・ドンユイ)は
農村で研修に参加し
年上の青年(ショーン・ドウ)に出会う。

お互いに好意を抱く二人。

だが、ジンチュウの両親は
反革命分子として、迫害を受けており
一家は貧窮していた。

そんななか一家の頼みの綱は
ジンチュウの就職。

もし彼女が恋愛にうつつを抜かしていることが知れれば、
幼い姉弟を含む一家は路頭に迷ってしまう……。

ゆえに二人の恋は
決して許されぬものだった……。


コン・リー、チャン・ツィイーを発掘し、世に出した
チャン・イーモウ監督が
新たなヒロインを見出して描く最新作。


汚れなきおさげ髪の乙女に、笑顔爽やかな青年、
美しい農村の風景、
そして過酷な運命――と、
詩情豊かな映像にのった
ある種、様式美に構築されつくした世界なんです。

なんですが、

それでも確かに
指先がしびれるような
初恋の切なさを確かに堪能できるんですよねえ。

いやーさすが、胸キュンの名匠!


主人公チャウ・ドンユイの
果てしない精錬、清涼さが、
“クサさ”を凌駕してるし、


話もウソみたいにドラマチックなんですが、
原作者の女性の
友人の実体験に基づいているそう。


まあホントかどうかはどっちでもよく
「キュンと来たでしょ?」という
職人技に身をゆだねるの、悪くないですよ。


文化大革命、という背景を知りつつ見ると
よりグッとくるかもしれません。

最近、胸キュンから遠い方の心にも
きっと響くと思うんですが、どうでしょう。


★7/9から新宿ピカデリーほか全国順次公開。

「サンザシの樹の下で」公式サイト
コメント
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