ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

グッド・ハーブ

2011-07-20 23:31:35 | か行

主人公の女性が
沖縄に住む友人に似ていて(笑)

まあそれはともかく、
女性の地力というか“根”を思わせるところが
すごく印象的な映画でした。


「グッド・ハーブ」69点★★★☆


メキシコで唯一、
女性を主人公に撮り続けている
女性監督マリア・ノバロの、10年ぶりの新作です。


30代の主人公ダリアは
息子コスモと暮らすシングルマザー。

ダリアの母親は薬草の研究者として有名で、
植物園のような自宅に住んでいる。

そして彼女もまた
ダリアの父親とはすでに別れ、独り身だった。

ある日、母親がダリアを呼びつけ
「家の鍵がなくなった」と言う。


ダリアは母親の異変に気づき、
病院に連れていく。


その結果、母親は
アルツハイマー型認知症だとわかる。

「人に依存したくない」という母親の面倒を
みることになるダリアだが……。



世代を超えた女たちの
“治癒”をテーマにした映画です。


植物が豊富に登場する鮮やかな映像は
力強く、美しく

スペインともブラジルとも違う
独特の色彩と風土が実に興味深かった。


メキシコって男性優位社会で
女性監督そのものが、珍しいそう。

しかも中絶が認められていないので
シングルマザーがすごく多いんだそう。


そんな状況のなかでこそ、なのか
女性からの視点と感性が花開いたような
印象を受けました。


ダリアのアパートの
カラフルで若々しいインテリアと、

母親の住む植物園のような庭や
シックな調度の対比もおもしろいし、

全編を覆う
優しげなメロディの音楽もよかった。


それに女優たちに
なんともいえない魅力があります。

主演・ダリア役のウルスラ・プレネダは
メキシコ生まれの40歳で、
13本の映画に出演する人気女優。

母親役のオフィリア・メディーナは
晩年のヘプバーン似の美人!
しかも彼女は社会活動家としても有名な人なんですって。


さらに映画には
メキシコの社会状況も織り込まれている。

ただ特に声高な主張や説明はないので、
そのへんの状況を知りつつみると、
より深みが増すかもしれません。


★7/23からシネマート新宿で公開。ほか全国順次公開。

「グッド・ハーブ」公式サイト


余談。

この主人公に似てるという友人は
「魔女の宅急便」に出てくる
森に住んでいる画家志望の女の子にも似てるんですが、

あの女の子の名前はウルスラ、といい
そしてこの主演女優もウルスラ、という。

やっぱルーツ、一緒?!

……すいません、個人的な話で。
コメント (2)
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