ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ふたりのヌーヴェルヴァーグ ゴダールとトリュフォー

2011-07-29 23:30:39 | は行

ヌーヴェルヴァーグ、
知ってるつもりだったんですが、
けっこう知らないことだらけでした(笑)。


「ふたりのヌーヴェルヴァーグ ゴダールとトリュフォー」73点★★★☆


1959年、フランスで起こった
映画の新しい波=ヌーヴェルヴァーグ。

その旗手であった
フランソワーズ・トリュフォーと
ジャン=リュック・ゴダールを中心に

「ヌーヴェルヴァーグとはなんだったのか」を
てきぱきと明瞭な解説で
丁寧に教えてくれる
実にうまいドキュメンタリーです。


「大人は判ってくれない」「勝手にしやがれ」に始まる
二人の代表作の名シーンを挿入しつつ、
インタビュー映像や
当時の背景をコンパクトにまとめ、

ヌーヴェルヴァーグを知らない人にも
とても優しいし

「勝手にしやがれ」がマイベスト5に入る人も
へえ、とおもしろがれる。


「新しい波」がもとは社会学の用語だったことなんて
知らなかったですねえ。


二人ともに映画狂で
雑誌に映画批評を書いたりしてて、
そこから映画製作に至ったというのも
おもしろいですし、

トリュフォー本人が
「演出によってどう役者を動かし、
それがこういう効果として画面に残るんだ」なんて

自ら「大人は判ってくれない」を例に解説してくれる。

なんと贅沢な映画!

“映画の教科書”としても使えるし、
批評家を目指す人、
映画を目指す人、必見!ですね。


なかでも番長が一番ウケたのは
当時「勝手にしやがれ」を観た観客の反応。

「こういう若者が現実にいるから怖いねえ」という紳士や
「バカにしてるわ」と憤慨するご婦人。

そうだったんだ、やっぱり(笑)


そんなこんなで見ながら
あらためて

ドキュメンタリーに出る人ってみんな
気の効いたいいコメント残すよねえ、と感心。

インタビューアーのくせに
モゴモゴしゃべると評判の番長(最悪やな。笑)

ちょっと練習しとこうかな……。(なにを?)


★7/30から新宿K's cinemaで公開。ほか全国順次公開。

「ふたりのヌーヴェルヴァーグ ゴダールとトリュフォー」公式サイト


現在発売中の『週刊朝日』(8/5号)ツウの一見で
菊地成孔さんに本作について
お話を伺ってます。

「20世紀はすでに古典」という
菊地さんさすがの切れ味でおもしろい!

まだ書店にありますんで、ぜひ!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする