ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

おじいさんと草原の小学校

2011-07-28 15:53:01 | あ行

世の中には
いい実話がまだまだあるんですねえ。

「おじいさんと草原の少学校」77点★★★★


内乱を経て独立したケニアで
2003年、国がようやく
「全ての国民に無償で教育を」をスタートさせる。


84歳の老人マルゲは
昔、ケニア独立のために戦った戦士で
当然、学校などに行っていない。

マルゲは「自分も文字を習いたい」と
小学校に通おうとする。


心ある女性校長は
その熱意に負けて入学を許すが、

思いがけない周囲の妬みが、
マルゲを壮絶な過去の体験へと引き戻してしまい――。


ロサンゼルスタイムズにも掲載され、
ニュースになった
「世界最高齢の小学生」マルゲの実話を
「ブーリン家の姉妹」の監督が映画化したものです。


真剣な目をして授業を受ける
ケニアのリアル・小学生たちの
生き生きとした表情、

そして
学ぶことをあきらめなかったマルゲの姿に

“教育”の重要さを
あらためてかみしめられる良作です。


美談に終わらず
ケニアがいまだ抱える問題や、
過去との向き合いかた、

それでも未来への進もう、という希望を
上手に含ませてるのもいい。


なにより
快活な女校長役のナオミ・ハリスが
見ていて気持ちいいですわ。


マルゲの過去の回想シーンは
表現は抑制されているものの、ちょっとキツい気もするけど
見れば必要だ とわかります。


部族間のわだかまりは
今も残る問題だけど、
そこで立ち止まってはならない。

子どもたちと、よき教育が
未来を照らすんだなあと、しみじみ感じました。

もっと勉強しないといかんなー。


★7/30から岩波ホールで公開。ほか全国順次公開。

「おじいさんと草原の小学校」公式サイト
コメント
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