自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆雪つりの値打ち

2005年11月30日 | ⇒トピック往来

  北陸にいよいよ寒波がやってきた。金沢の冬の風情と言えば「雪つり」だ。市民も兼六園や街路樹で雪つりが始まると冬の訪れを実感するのではないだろうか。

  この雪つりは自分でやるとなると結構技術がいる。造園業者に任せると金がかかる。暖冬が続き雪が降らないと、「庭税」のように忌々しく思えてきて、風情を楽しむどころではない。

  ところが、2004年の冬のように、50㌢を超す大雪となると、が然と雪つりはその威力を発揮する。上の写真は雪つりが施されたもの。同じ場所での下の写真をご覧いただければ分かるように、こんなに雪が積もると、何代にもわたって育ててきた五葉松(東日本では姫小松とも呼ぶ)も枝が折れてしまう。何しろ金沢の雪はパウダースノーではなく、たっぷりと湿気を含んだベタ雪なので重い。松の枝を一本一本支えている縄のおかげで、枝が折れずに済んでいる。

  「庭税だ」云々と言ってはみても、ドカ雪がやってくるか予想できないから雪つりはやめられない。金沢に住んでいる以上は仕方がない。これはもうスタッドレスタイヤやスコップと同じように「雪国の住民税」と考えるしかないのである。

  でも、こうして写真を眺めていると、金沢の先人の知恵というものが伝わってくる。一説にリンゴつりの応用で兼六園で使われた手法が広く伝わったともいわれるが、雪つりのルーツについては定かではない。

  ともあれ、ことしの冬は雪つりの値打ちを実感できるほど雪が降るのか、あるいは「庭税」と思ってしまうのか。

⇒30日(水)朝・金沢の天気   あめ

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★ブログの技術⑦

2005年11月28日 | ⇒ノウハウ検証

  一度書いた記事は何度でも生かそう、これが今回のテーマだ。記事というのはある意味で造形のようにブラッシュ・アップし、使い回し、そして作り変えていくことが可能だ。

             テーマ「記事をリフォームする」 

  以下の記事はテーマが一つなのに見出しはまったく違い、記事と写真は少しずつ違う。「軒下にダイコンつるして 冬が来る」を先に書き、翌日、これに縄文遺跡をネタと合わせて「DNAの騒ぎ」とした。ダイコンは風景描写として、DNAは心象風景を描いた。少々強引な手法かもしれないが、「作り変えブログ」なのである。これは2つのブログサイトを掛け持ちしたからできたことだ。

   同じサイトだと、少々手の込んだ作り変えが必要だ。「続々・ブログ選挙」「『ネット選挙』の読み方」は、インターネットの選挙利用がテーマながら、切り口を違わせた。前者をニュース解説風にストレートに取り上げ、後者はコラム風に斜めから切り込んだ。一度書いた記事を切り口を変えて何度でもリメイクすることもできる。また、自身の理解度も深まる。

   写真についても同じことが言える。同じ建物だが昼と夜の撮影でこれだけ違うのである。心象によってはまったく別物に見えたとしても不思議ではない。この建物は金沢大学の創立五十周年記念館「角間の里」。白山ろくの旧・白峰村にあった築280年の古民家である。何度もリフォームを繰り返し、その度に建物としての機能や建築美に磨きをかけてきた。

  記事にしても建物にしても、つまりソフトにしてもハードにしても手を入れることで命を吹き返すのである。

⇒29日(火)・朝  金沢の天気      あめ

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☆ブログの技術⑥

2005年11月28日 | ⇒ノウハウ検証

  ブログはメディアか否か、という論議がある。27年間、マスメディアに身を置いてきた私の判断では否である。ただし、極めて少数だが個人ジャーナリズムと言おうか、身銭を切って総選挙(9月)の現場をリポートしたり、自民党など各政党に取材を申し込み、政策を問うなどして、記事をブログにアップしている人がいる。応援したい気分になる。    

    テーマ「メディア化するブロガー像」

  私がブログはメディアにはなりえないと判断するのは、ブログでは客観的な事実関係の裏づけができない、と思うからだ。理由は簡単である、事実の裏づけ作業は複数でしなければならない。1人だとどうしても独断になってしまう。フリーのジャーナリストにしても原稿を出版社やマスコミに持ち込む場合、編集デスクの手を通る。ノーチェックでそのまま掲載することは稀だろう。

   ただし、ブログはブロガーをメディア化する、と思っている。説明しよう。ブログに目覚めた人はカメラを手放さないだろうし、ちょっとした思い付きでもネタ帳にメモをする癖ができているはずだ。「ブログの技術①」でも紹介したように新聞の切り抜きも日常になっていると思う。そして、職場や同好のサークルで聞き耳を立てて面白そうな話を探しているに違いない。逆にこのくらいのことをしないとブログは書けないし、続かないのだ。実は言うと、このような所作はマスメディアの記者たちが日常行っていることなのだ。熱心なブロガーは知らず知らずのうちにマスメディアの記者たちと同じベクトル上を歩いている。

  ことし9月14日に最高裁が判断した「在外選挙権訴訟」の違憲判決を受けて、インターネットの選挙利用が解禁になる見通しだ。早ければ来年の通常国会にも公選法改正案が議員立法で提出される。07年夏の参院選は「ネット選挙」あるいは「ブログ選挙」となることを視野に入れていた方がよい。2003年、日本にブログサイトが立ち上がって4年後である。この頃になれば、熟練し、高度にメディア化したブログの猛者たちが数多く存在していることだろう。こうしたブロガーたちが政治に対しても発言し、投票行動を大きく左右するようになって初めて「ブログはメディアになった」と新聞やテレビで評価を得るのかもしれない。

⇒28日(月)朝・金沢の天気   くもり          

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★DNAの騒ぎ

2005年11月27日 | ⇒キャンパス見聞

  金沢大学「角間の里山自然学校」はにぎやかだった(26日)。自然学校が拠点としている五十周年記念館「角間の里」の前の畑では、秋に植えたダイコンの収穫が行われた。市民ボランティア「里山メイト」が自主的に栽培したダイコン畑。雨上がりで土壌が軟らかかったこともあり、ダイコンは意外とすっぽりと抜けた。

  この作業を道路から見守っていたある市民がポツリと、「金沢大学に農学部ってあったの…」と。確かにこのにぎやかな光景を見れば、そう思うかもしれない。

   収穫されたダイコンは漬物用に「角間の里」の軒下につるされた。軒下のダイコンは古民家に似合う。この写真のアングルはぜひ撮影したいと前からイメージしていた。視覚だけではない。ダイコン干しは郷愁を誘う。

      軒下の ダイコン眩し 冬来る

               ◇   

  先日、石川県野々市町にある国指定史跡「御経塚遺跡(おきょうづかいせき)」を訪ねた。この遺跡は縄文時代後期-晩期(3500~2300年前)の大規模な集落遺跡で、昭和29年(1954年)に地元の中学生によって発見された。集落は、中心部に祀り(まつり)に使われた広場をもち、広場の周りには竪穴建物跡が並んでいた。復元された竪穴式住居をじっと見つめていると、「ヒトの営み」がイメージとして浮かぶ。

   古代人はヒトのDNAに組み込まれたプログラムに従って、自然の中で生をまっとうしたのだろう。労働し、収穫を分配し、子孫を残し…。自然の循環と歩調を合わせた永遠のサイクルのようにである。翻って現代人はどうか。資源を奪い合い、収穫を独り占めしようとする。子孫のことを考える余裕もなく、互いに競り合って生きにくくし、自殺者が年3万人もいる社会になった。

  竪穴式住居の中をのぞくと、焚き火のかすかなにおいが漂っているようにも感じられ、どこか懐かしい思いがした。DNAが騒いだのだろう。

⇒27日(日)午前・金沢の天気   くもり

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☆ブログの技術⑤

2005年11月26日 | ⇒ノウハウ検証

  文中に貼り付けた写真画像の横に文が流れると随分とすっきりする。ワード文章でそれをするには、画像を貼り付け、右クリックで「図の書式設定」、次いで「レイアウト」、その中から折り返しの種類と配置を選べば簡単に写真の横に文章が流れてくれる。サイト「gooブログ」でこの作業を行うには、編集画面の「画像を選択」をクリックして、予め登録しておいた画像を選択すると、画像の位置とサイズが固定されて貼り付く仕組みだ。ところが、文中に自由な大きさで気に入った位置で、しかも画像の横に文章を流すというマニュアル説明が十分ではない。

    テーマ「画像の回り込み」

  そこで、「自在コラム」ではちょっと工夫をした。画像の横に文章を流す方法はいろいろあると思うが、以下は「自在コラム」流である。ちなみに左の画像は私が金沢で一番うまいと信じてやまないある寿司屋の「さば寿し」である。

  まず、TEXTエディターで文章を作成する。次いで画像フォルダから予め登録しておいた画像の上を右クリック、画像のURLを表示させて、それをコピーする。文章画面に戻り、画像を入れたいところに、カーソルを合わせクリック、次いでイメージ挿入の「IMG」をクリック、「スクリプト プロンプト」のウィンドーにURLを貼り付けダブルクリックすると、画像貼り付けのスクリプトが挿入される。

  しかし、この作業では文章は横に流れない。で、どうするか。スクリプトはこうなっている(…は途中略)。

 <a href="http://"><imgsrc="http…….jpg"></a>

  このスクリプトのjpg"以下に画像の左の回り込みを指示するstyle="float:left; margin:5px;"を挿入する。5pxは画像と文字の間隔を空けるスクリプトなので数字を変えることができる。回り込みのスクリプトはこうなる。

 <a href="http://"><imgsrc="http…….jpg"style="float:left; margin:5px;"></a>

   この作業を終えたら一度「投稿」(下書きのまま保存)して、今度はHTMLエディターを開く。すると、TEXTエディターではスクリプト部分が実際の画像となって表れる。画像の上を左クリックすると伸縮の操作ができる。携帯電話カメラ(1メガ)で撮ったさば寿しでも、画像を縮小すればそれなりに見える。

  ちなみに、この画像のように青縁を除く場合は、スクリプトの頭の<a href="http://">を取ればよい。これも随分とすっきりとする。

⇒26日(土)朝・金沢の天気   くもり 

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★ブログの技術④

2005年11月24日 | ⇒ノウハウ検証

  ブログの語源は公開を前提として日誌を書くので、「Web」と「Log」(日誌)を一語にして「weblog」(ウェブログ)、略して「blog」(ブログ)となったというのが定説だ。ところが同じブログでも、日々の身の回りの出来事や交遊録を綴った日記風や、本ページ「自在コラム」のように時事問題やニュース、日常の出来事に感想や意見を盛り込み一話を完結させるコラム風などスタイルは様々である。

     テーマ「日記風かコラム風か」 

ブログの発祥地はアメリカと言われる。2003年のイラク戦争の時には現地から更新されるブログが話題となってその知名度が大きく上がった。2004年の米大統領選挙では民主党陣営が草の根的にブログを使い広がった。ブロガーは本名記載、コメントも本名投稿が原則である。これに対し、日本では「2ちゃんねる」に代表される掲示板というインターネット文化がブログ以前からあり、文章も一話完結ではなく、「日々綴る」風の日記形式が多い。そして、書き手は匿名あるいはハンドルネームが主流だ。大雑把に言えば、日本は匿名・日記風、アメリカは本名・コラム風と対比できるかもしれない。

   では、どんなスタイルを自分は選択したらよいのか、これは本人次第だ。もちろん交互にどちらのスタイルを取るもの自由なのだが、文章の形式というのはどうしてもパターン化してしまい、昨日は日記風(口語)、きょうはコラム風(文語)というふうに使いこなすのは結構難しい。

   どのスタイルであれ基準は一つだ。どちらが自分にとって持続可能か、だ。基本的に日誌なので続けなければ、「三日坊主」では意味がない。このように選択を迫られると、多くの人は「コラム風は文章が長く漢字も苦手だから、日記風の方が気軽に書けて楽かもしれない」と判断するだろう。ところが、これは逆である。日常生活はそれこそパターン化されていて、よほど活発に動かない限り書くネタはすぐ尽きてしまう。それに比べ、コラム風はネタが外にある。日々動く政治、経済、社会のニュースに独自の情報や見解をつけて文章をつくり上げるほうが楽なのである。

   いわば「ネタのマーケット」を日常で求めるか、社会で求めるか、である。面白い事例がある。それまで日記風に書いていたブロガー(私の知人)が8月の「小泉解散」、9月の総選挙をきっかけに政治ネタを書くようになった。それ以降、コラム風のブログに目覚めた彼の文章は切れ味がシャープになり、鮮度が格段によくなった。

⇒24日(木)午前・金沢の天気  くもり

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☆ブログの技術③

2005年11月23日 | ⇒ノウハウ検証

  新聞でも記事ばかりだと紙面全体のアクセントがなくなる。見た目で読む気がしなくなる。同じことがブログでも言える。テキストのみで構成されたブログはどこか味気ない。カット(小さい挿絵)や写真を入れて画面構成にアクセントをつけることはアクセス者(訪問者)を読む気にさせるという意味で大切なことである。

      テーマ「写真、カットの使用法」

   カットや写真がテキストの中身とマッチしていればなおよい。が、その場の雰囲気に合っていれば、必ずしもテキストの中身と関連した意味合いがなくてもよい場合もある。要は、趣(おもむき)を添える「あしらい」なのだから文面との意味づけをこだわる必要はない。

  写真は金沢大学角間キャンパスの回廊から見た紅葉である(22日撮影)。季節の写真が一枚あるだけで、文面にアクセントがつく。この写真についての感想は訪問者にお任せする。

  ところで、手元に写真はないが、どうしても文面に即した写真やカットが欲しいというときがある。この場合、インターネット中のフリー素材を探す。非営利目的であるならば自由に使用してよい(著作権フリー)との条件がついたものだ。「自在コラム」では、政治やマスメディアのことを取り上げるので国会議事堂やマスコミの東京本社の外観、あるいは内閣が広報として出している写真を重宝している。カットはマイクロ・ソフトの膨大なクリップアートの中から選んでいる。

  注意したいのは、自分で撮影した写真だからと言って、自由にブログで使ってよいかというとこれはNG(ノー・グッド=使えない)である。俳優や歌手には著作権、一般の人であっても肖像権が相手方にある。芸術作品の大写しは著作権の問題にひっかかる。また、特定の新聞記事の見出しなどをそのまま撮影して掲載することも著作権がありできない。この場合、何紙か並べて「○○事件を報じる各紙」といったふうに新聞を特定しないように工夫したい。また、友人の絵画だからといって、許可なく使用することも避けたい。

  使えるか、使えないかで迷った写真はまず使わないことだ。代替で使った著作権フリーのイメージカットの方がむしろ文意とマッチして意味深あるいは哲学的であったりする。

⇒23日(水)朝・金沢の天気  はれ   

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★ブログの技術②

2005年11月22日 | ⇒ノウハウ検証

  無料ブログのサービスが日本で始まって丸2年、ことし9月現在で総務省が調べたブログの利用登録数は473万人にもなっている。一方、不特定多数に制限をかけ、会員による招待を参加条件とした交流サイトSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サイト)も399万人にのぼっている。SNSの日本での草分けとなったのは「MIXI(ミクシィ)」で2004年3月に開設された。

     テーマ「ブログサイトの選び方」

  ブログにしろ、SNSにしろ無料のサービスが多い。では、同じ無料という条件のなのに、あまたあるブログのサイトの中から、私の場合なぜ「goo」のサイトを選んだのか、である。確かにライブドアは2003年12月にブログサイトを開設した「老舗」である。その老舗を選ばなかった理由は…。

   実は、前回述べた秋田の友人Y・M氏から影響を受けて、ブログに手を染めることになったのだが、彼はライブドアのサイトを利用していた。そのブログが私には眩(まば)ゆいくらいに羨ましく感じられた。が、一点だけ気に入らないことがあった。彼のブログ(いまは故あって閉鎖)の右だったか左だったかのサイドにライブドアが運営する出会い系サイトのバナーが貼ってあった。出会い系サイトのバナーを貼ったのはY・M氏ではもちろんない。ブログサイトの運営者であるライブドアの裁量による。「無料で使わせてあげるから、君のブログには広告を貼らせてもらうよ」ということだ。しかも、そのバナーはギャルが微笑む「いかにも」といったデザインで、友人の書くブログの内容と随分と違和感を感じたものだ。

   私の場合、ブログはコラム風の「堅め」の内容を当初から思い描いていたので、出会い系のバナーが貼られそうなサイトは避けた。そんな基準から、最終的にNTT系の「goo」を選んだというわけだ。もし、このサイトがその手のバナーを貼り始めたらさっさと撤収しようと思っている。 150編にもなっているブログを引っ越すとなるとそれはそれで大変なのだが…。

⇒22日(火)午前・金沢の天気   くもり時々あめ

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☆ブログの技術①

2005年11月20日 | ⇒ノウハウ検証

  ブログ「自在コラム」をスタートさせて8カ月になる。アクセスIP数(訪問者数)を気にするわけではないが、これまで積算で8000カウントになっている。アクセスカウントのことよりむしろ、ブログという概念が思考や生活に定着し始め、いろいろなことが変化したことに気づかされることがままある。中には、ブログをめぐる思考術や生活術といったノウハウ化したものもある。折に触れて、そうしたノウハウをまとめてみたい。

        テーマ「ネタを集める方法」 

  もともとブログを始めたのは秋田市に住む友人Y・M氏の影響だ。ブログそのものは2003年12月にニフティとライブドアが無料ブログのサービスを開始してから、気にはなっていた。Y・M氏のメールの署名にブログのURLが付けてあり、クリックするとアート展の話題や美術館めぐりの感想、交遊録などが綴られ、そのうちに「アクセスIP数6000突破!」などと、いかにも本来のブログ(日記風)を楽しんでいるといった様子が目に浮かんだ。彼も私ももともとライターを生業(なりわい)としていた時期があって、書くことの楽しさというものを感覚と共有している。有り体に言えば、彼がちょっと羨ましくなったのである。

   同じころ金沢大学での就職が決まり、心機一転で何か新しいことを始めたいという思いがあった。ブログをそんなタイミングでスタートさせた。ことし4月28日が記念すべきその日である。

  生活習慣で変わったことと言えば、新聞の切り抜きをするようになったこと。なぜ切り抜きかと言うと、ブログのネタ帳をつくるためだ。新聞を読んでいて、ブログを書くヒントのようなものがあると切り抜き、スクラップをしておく。糊(のり)付けのスクラップではなく、ビニールに記事を挟み込むクリアファイルの方が便利だ。「100円ショップ」のダイソーでは一冊60ポケット(A4版)、つまり60枚で100円(税込み105円)で売っている。新聞一面の大きさでも折りたためば1ポケットに入る。1ポケット1記事がちょうどいい。

  新聞記事というのは不思議なもので、自分が書きたいと意識した記事ほど目に留まる。逆に言えば、何気なく新聞を読んでいても自分なりのテーマ設定がなければ脳裏に焼きつかないということだろう。その意味で、切り抜きを始めて、新聞の読み方が変わったと言ってもいいだろう。ブログの相乗効果(シナジー)かもしれない。

   生活の動線が変われば習慣が代わる。習慣が変われば日常が変わる。日常が変われば思考が変わる。思考が変われば生き方が変わる。要は、ブログというものを前向きに考えればいいのである。

⇒ 21日(月)午前・金沢の天気   はれ

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★「理は利に勝る」

2005年11月19日 | ⇒ドキュメント回廊

   「山眠る」という言葉がある。季節が冬に移ろい、枯れ枯れとして精彩を失った山の様はまるで眠りこけたような静寂、との意味だろう。人の眠りは「死」と同意語だ。先日、人生の大先輩、Y・Sさんの訃報を受けた。

   前職のテレビ局時代、2年間にわたりY・Sさんから薫陶を受けた。酒は嗜まなかったが、部下の宴席によく顔を出し面倒見のよい人だった。ゴルフの腕前は全盛期のころはシングルの実力と他の人から聞いた。クラシックに造詣が深く、骨董もかなりの目利きと推察した。若いころ在阪のテレビ局の営業マンとして鳴らし、日清食品のカップヌードルをテレビCMという側面からメジャーに押し上げたアイデアマンだった。もはや「世界の日清」なので本来なら営業マン冥利に尽きる話である。その自慢話の一つもしたくなるだろうが、それを語ることはなく、ゴルフの腕前と同様に他の人から伝説の数々を聞いた。

   Y・Sさんから私が直接教えられた言葉が今でも忘れられない。「理は利に勝る」だ。山一証券や日本長期銀行の破綻が表面化した1990年代後半、テレビCMの売上は伸びず、ローカル局の営業マンは悪戦苦闘していた。薬事法などの法律に抵触しそうなものは論外として、公序良俗の面ではどうかと思われる物件がスポンサーから持ち込まれることもあった。その度にY・Sさんは「理に合わん」とそれらのCMの放送を却下した。テレビ局の収入部門を統括する立場にあったので、売上数字は喉から手が出るくらい欲しかったはずだ。しかし、「利を優先させたら、理が立たない。理が立たなければ会社も人も立たない」と譲らなかった。

   その後、他のテレビ局ではCMの間引きなどCMにまつわる事件が相次ぎ発覚する。コンプライアンス(法令遵守)という概念を今では各テレビ局が競うように取り入れるようになった。一般常識で考えておかしいと思うことを企業はしてはならないというは当たり前のことなのだが、利益を追求する企業の中でその当たり前が時として通用しにくい場合もある。それを全部飲み込んでY・Sさんは一途を通した。

   役員定年後に関西に戻り、ゴルフを存分に楽しんだようだ。ヤフーでそのお名前を検索すると、自宅近くのゴルフ場の運営委員にその名があった。享年69歳。

⇒20日(日)朝・金沢の天気   くもり

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