馬鹿も一心!

表題を変えました。
人生要領良く生きられず、騙されても騙されも
懸命に働いています。

ふるさとは遠きにありて思うもの。

2016-03-25 20:20:07 | 日記

3月20日(日)

親父の墓参りをして、弟の車で実家に向かった。

 14時 実家に着いた。

弟が車庫入れをしている時、裏隣を見た。

う~ん ?家が無い。

地面だけ。

更地だ。

弟が言った。

10日程前 家宅を取り壊した。

更地の道路際に若者が折りたたみ椅子に座り

現地販売会開催中の立て札があった。

「突然の事だった」と弟が言った。

かねてから、聞いていた。

隣の旦那は介護施設に入った。

一人暮らしになった奥さんは

杖を突いていた。

その奥さんも同じ施設に入ったので

誰も住んでいなかった。

 

走馬灯のように60年間が巡る。

親父は60年前に、ここに小さな家を建てた。

周辺の家は立派だったが、我が家は一番見すぼらしかった。

今は更地の家は当時としては、オシャレで

クリーム色の2階建て、立派な応接間が

台所から見えた。

屋根には、太陽光で湯を沸かすパネルがあった。

当時 自家用車など殆んどサラリーマンには持てない時代だったが

日産ブルーバードを所有。

ビッグ企業に勤める旦那はマイカー通勤。

庭は芝生が敷き詰められ

中央にはレンガ作りのバーベキュー台があった。

犬はシェパードを犬小屋ではなくネットで囲った住まい。

兄 妹の子供がいて

旦那は小学校のPTA会長。

長男は後に中高一貫校のトップ校に通学。

羨むような暮らし。

昼間 その家が留守だと

荷物が届くと、しょっちゅう預かった。

殆んどが、中元、歳暮類で豪華な贅沢品。

若い割には頭髪が薄く割腹が良かった。

私が高校生の頃、隣の旦那は

ビッグ企業のエンジニアだったが

突然退職した。

取引先との癒着が原因だと噂された。

その後、東北の小企業の役員となり

留守が多くなった。

歳月は過ぎて、息子、娘は家を出た。

 

私自身も結婚して実家を離れたので

隣家がどのような状況なのか、知る由もなかった。

 

2年前 弟が言った。

隣の旦那は、昔割腹良く貫禄があったが

見る影もなくヨボヨボで杖を突き

奥さんの助けで歩いていた。

去年 弟が自治会長になったが

本来は隣家が持ち回りで会長なるのだが

高齢なので引き受けた。

 

静かな緑豊かな住宅地だが

今年正月には殺人事件が起きた。

 

なぜ子供達が同居しないのか等は

分からないが

自営業、農家なら引き継ぐことも

可能だが、勤め人は所詮根無し草。

横浜の外れではあるが、100坪余りの

敷地を購入して家屋を建てるのは

かなりの収入がなければ無理。

分割分譲されるのだろう?

 

室尾犀星のふるさとは遠きにありて

 

思うもの。

野兎がいた時代は過ぎて

 

グローバル時代は、土地へのセンチメンタルも消失して

コンクリートの空間だけで形骸化する。

 

およそこの世のことで、いつまでも変わらぬものはなにもない。

道があり、通りがあり、曲がり角があり、路地があり路地裏があり

人々が歩いていく。

どこへいくのか、誰もほんとのことはわからない。

 

人はいつか死ぬ。

死ぬことに失敗はないのだ。

  

 

森田 公一とトップギャラン - 青春時代