読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

あかりの湖畔

2011年04月30日 23時09分45秒 | ■読む
青山七恵著、読売新聞朝刊連載 主人公の灯子は、湖の湖畔の食堂を、引退した父に代わって叔母と二人で切り盛りしています。灯子には二人の妹がいますが、引退した父は、湖のある山から下った町で働いています。何となく屈託を秘めながら、灯子は、季節の移ろいにも縁遠い感情生活を過ごしています。 冒険小説のような起承転結のはっきりした作品以外のものを中々読む気がしないので、こうした微妙で繊細なニュアンスに満ちた作品 . . . 本文を読む
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英国王のスピーチ/劇場

2011年04月29日 20時25分50秒 | ■見る
評判の映画を観てきました。良かったです。学生時代に吃音の同級生がいました。確かにどもるのですが、私は気にしていませんでした。たまたま、彼のアパートで話を聞くことになりました。それは、自身の吃音に対する強い恐れとコンプレックスの物語でした。非常にナイーブな人がなる症状なのだと感じました。 私が社会人になって、(今考えても酷い職場でしたが)非常に精神的に追い詰められて、(今から考えると)突発性難聴にな . . . 本文を読む
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大洗にも星は降るなり/DVD

2011年04月28日 20時34分33秒 | ■見る
いやぁ~、くだらなくて、本当に楽しめました。本作は、大洗にある海の家が舞台です。そこの経営者(マスター)とバイトの若者、素性の知れない弁護士の7人が、一人の女の子を巡って、激しく口角泡飛ばしバトルを繰り広げます。登場人物が少なく、言葉の激しい遣り取りに終始しているので、もしやと思っていましたが、想像していた通りでした。若い友人に演劇にはまっている奴がいて、彼の脚本はメチャクチャです。私も、縁あって . . . 本文を読む
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人体 失敗の進化史

2011年04月27日 19時23分33秒 | ■読む
遠藤秀紀著、光文社新書258刊 特殊な進化を遂げた人体の不自然さを説明するのが、本書の狙いかと思います。そのようなタイトルですから。その話に至るまで、肩の骨や心臓の起源を、平明に解説しています。例えば、心臓は、誠に粗末な、器官とも呼べないようなモノから変化した様子を的確に説明しています。本当にビックリするような進化の過程が、いくつも挙げられています。例えば、ワニなどの地面に這いつくばっている生き物 . . . 本文を読む
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ノーカントリー/DVD

2011年04月26日 19時49分55秒 | ■見る
見応えのある映画でした。暴力のシーンが非常に多く、女性向きではないかもしれません。ただそれだけであれば、後味が悪いだけの映画であったかもしれません。 本作は、冒頭、主人公の保安官の独白から始まります。そして、終盤になって、保安官仲間(?)との会話から、アメリカが抱え込んだ闇の姿が浮かび上がってきます。こんな筈ではなかった、どうしてアメリカはこんなになってしまったのかと。 この映画の成功は、乾いた画 . . . 本文を読む
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普段に生かす日本の台所道具

2011年04月25日 19時33分08秒 | ■読む
吉田揚子取材・文、佐野絵里子絵、技術評論社刊 木製まな板、包丁、竹ザル・かご、シュロのたわし、すり鉢など、日本の伝統的な台所道具を取り上げています。私の世代は、取り上げているもののほとんどを実際に目にして使ったこともありますが、若い人達は目にしたことがないものが多いのではないでしょうか。鰹節削りは結婚後何年かした際に、美味しいお茶漬けを作りたくなって買いました。桐の米びつは、姉からもらったものを使 . . . 本文を読む
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ニクソン/DVD

2011年04月24日 20時59分14秒 | ■見る
1995年製作、オリバー・ストーン監督の映画です。アンソニーホプキンスがニクソンを演じており、複雑な性格を見事に演じています。またニクソンの妻役のジョアン・アレンは、「ボーン・シリーズ」でパメラ・ランディ役が印象的な女優さんでした。知的な雰囲気で、悩みながらもニクソンを終生支えた続けた妻の心境をリアルに演じていました。 --------------------------------------- . . . 本文を読む
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落日燃ゆ

2011年04月23日 14時44分01秒 | ■読む
城山三郎著、新潮文庫刊 城山さんの作品は、若い時分に何冊か読んだ記憶があります。抑制が効いた語り口ながら男の矜持を描いていて印象に残る作家でした。本作は、誠に久し振りに読んだ城山さんの代表作群の一つです。読んでいて胸が苦しくなりました。主人公の広田広毅の端正で毅然とした生き方は、日本人の一つの理想というべきものだと思います。 ------------------------------------ . . . 本文を読む
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新宿インシデント/DVD

2011年04月22日 22時07分46秒 | ■見る
ジャッキー・チェンの映画は、テレビで見るとピンと来ない。一度だけ映画館で見て、非常に感激したことがあり、それから注意してみましたが、吹き替えなし、トリックなしの生身のアクションは映画館での鑑賞が相応しいと感じていました。 本作は、そんなアクションスターのジャッキーが、シリアスな映画に取り組んでいる様子なので、鑑賞した次第です。下記URLによれば、正しくその通りの経過のようです。 --------- . . . 本文を読む
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母の遺産

2011年04月21日 20時14分32秒 | ■読む
読売新聞の土曜日に連載された小説です。2011年3月2日で終えました。下記のURLによれば、著者は欧米で、中等、高等教育を受けており、ネットで拝見する面差しも知的で凛とした風情があります。水村さんの作品は読んだことが無く、その略歴を知らなかったので、先入観無く読むことが出来ました。普通であれば、手にすることのない類の作品ですが、同じく読売新聞の朝刊に掲載されていた平野啓一郎さんの「形だけの愛」と同 . . . 本文を読む
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消されたヘッドライン/DVD

2011年04月20日 21時21分50秒 | ■見る
見応えのある作品でした。主演のラッセル・クロウが良かった。実はこの俳優は好みではないのですが、説得力のある演技に参りました。その他印象的だったのは、親友の妻役のロビン・ライト・ペンと新聞社の女性社長役のヘレン・ミレンでした。前者は、何処かで見た記憶があると思っていたら、フォレスト・ガンプで印象的なヒロインを演じた女優さん。後者は「ナショナル・トレジャー リンカーン暗殺者の日記」で主人庫運の母親役を . . . 本文を読む
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ロックンロールミシン

2011年04月19日 19時52分17秒 | ■読む
鈴木清剛著、新潮文庫刊 不思議な味わいの作品でした。普通だったら選ばない類の本でしたが、たまたま、三島賞受賞作品という解説を見て、読書の幅を広げようかなと思い、大分前に読書予備庫に入れて置いた本です。ごくフツーの青年が、何となく会社を辞め、友人が取り組んでいるインディーズブランドに関わって行きます。本作は1998年に出版されたので、14年前の作品との事ですが、半世紀余を生きてきた私には、今時の若者 . . . 本文を読む
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サブウェイ・パニック/DVD

2011年04月18日 19時53分12秒 | ■見る
「サブウェイ123 激突」は、中々面白い映画でしたが、旧作とは異なった作り方をしているとの事なので、興味を持ち本作を見ました。その結果、本作の方が完成度が高いと思いました。本作は、地下鉄を乗っ取る犯人達がそれぞれ描かれているのに対して、「サブウェイ123 激突」は、主演クラスに集中しており、よりハラハラドキドキ感を演出する事に重点が置かれすぎているように思います。また、本作の脚本も凝っいると同時に . . . 本文を読む
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図説 沖縄の戦い

2011年04月17日 20時57分50秒 | ■読む
太平洋戦争研究会編、森山康平著、河出書房新社刊 沖縄の戦後の有り様は、日本と韓国との和解とは異なった困難が在るように感じていました。具体的な理由は分からないながら、何年かに一度報道される内容で、沖縄の人々の苦痛に満ちた体験を垣間見る事があったからです。ひめゆりの塔など、沖縄の観光地には戦争末期の悲劇が語り継がれていますが、その詳細は、学校の歴史でも具体的には教えられませんでした。(そういえばアメリ . . . 本文を読む
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アウトレイジ/DVD

2011年04月16日 17時54分07秒 | ■見る
昨年公開された北野武監督の作品です。アウトレイジ「outrage」とは、不法、無法、非道、乱暴、暴行、憤激などの意味がありますが、本編は、全編が暴力と殺人で構成されています。しかし、不思議と残虐な感じはしません。それは恐らく、演じ良れているのだという印象を受けるからではないかと思います。淡々と暴力シーンを描きながらも、意図的にかどうか分かりませんが、どこかオカシミがあります。一種独特のシニカルな印 . . . 本文を読む
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