ぶきっちょハンドメイド 改 セキララ造影CT

ほぼ毎週、主に大人の童話を書いています。それは私にとってストリップよりストリップ。そして造影剤の排出にも似ています。

Aの物語-前進-

2019-07-19 00:00:00 | 大人の童話
白い壁に青いタイルが嵌められた部屋には、二十人を越えてもゆったりと座れる、長いテーブルが置かれていた。
王が貴族達や専門家を集めて、話を聴くのはいつもここだった。
今日は十二人の貴族達が席に着き、右手のカップにはハーブティーが、横のトレイには小麦粉と木の実を使った焼き菓子が乗っている。

貴族達は其々に、話を交わしたり、考え事をしたりしていたが、皆、この場に呼ばれた誇らしさを、肌に滲ませていた。
衛兵が王の入室を告げられて、一斉に立ち上がった貴族達に座るように促し、いつものように穏やかに、王は言った。
「この国を民主制にする手立てについて、忌憚のない意見を聞きたい」
息を飲む音。
そして強ばった静けさが全員を縛る。
その糸を切ったのは、炎の様な赤毛を頭頂近くで束ねて下ろした、異国の血を引く女だった。「それで上手くいっている国を、3つ存じております。けれど全て町程の小さな国。我が国なら、かなりの工夫が必要ではありますまいか」
長い口ひげを蓄えた初老の男が、大きく頷いて話し出した。
「西の国では愚かな王の専横に、民が怒って始めましたが、国は乱れ続けております。代々賢き王が治めるこの国に、何の必要がありましょう」
微かに甘い香りを纏った、若い男が同意した。
「そうですとも。長きに亘って教育に力を注ぎ、他国にない発展を遂げた我が国。その王家のお血筋であれば、傍系であろうとも、繁栄は続きましょうぞ」
隣の男が太い胴回りに相応しい声で続けた。
「加えて人は、与えられた役割に添って育つもの」
発言者を順に眺めていた豊満な女性が左目を細めて言った。
「王は我らに手立てについて尋ねておられる。ならばまず、色々と考えてみようではありませんか」
「何を呑気な」
「いや、もっともです。我々は落ち着いて意見を交わすべきです」
「今まで何の疑いも抱かずにいられたことを、幸せに思います。そしてそれに甘えていた、自分を恥じております」
「その国で長く議員をしている義弟が申しますには…」
議論は昼食を挟んで続き、日を改め、人を替えながら、何度も繰り返し行われた。
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赤毛の婦人の髪飾り

彼女は元船乗りで、ナイフの扱いはお手のもの。
たまに木片を削って遊びます。
それを通した組紐で、真っ赤な癖毛をぎゅぎゅっと縛り上げるのが、彼女のスタンダードです。


組み紐用プレート(ダイソー)
好みの刺繍糸3色
ウッドビーズ
ピン


説明書通りに刺繍糸を組む
ピンをS字形に曲げ、片方をウッドビーズに着け、もう一方を組み紐に通す。