小下沢(こげさわ)に咲くハナネコノメ
ハナネコノメとアズマイチゲに出会えるのを期待して、高尾駅に降り立ったのは3連休2日目の日曜日。高尾までの中央線とそこから先の小仏までのバスが、震災以来通常通り運行されているのか不安だったのだが、意外とすんなり行って来ることができた。
裏高尾で一番早く花を咲かすハナネコノメは日影沢に至る途中にある。岩にへばりつくように咲いているのがハナネコノメ、ユキノシタ科の多年草だ。
ここのはまだ蕾がほころび始めたばかりで、花全体が長方形をしている。
そ少し先の岩に群生しているハナネコノメは随分咲き進んでいた。
白い花と紅紫色の葯がハナネコノメの特徴。花粉が落ちると黄色く、そして白色へと変わっていく。
同じ時期に花を咲かせているのだが、あまり人に注目されないコチャルメルソウ
小仏との分岐から森の図書館寄りに入った所はアズマイチゲの多い場所なのだが、今年から対岸の立ち入りが規制されていた。
それでも近くを探せばポツリポツリと咲きだしてはいる。
咲きだしばかりで薄桃色を帯びている花弁が初々しい。
日が差す所では見事に花弁を開いてくれる。
傍らにひっそりと咲くヨゴレネコノメ、よく見ると美しいのでこの名前は可愛そう。
場所を変えて小下沢の方へ向かった。暖かい日差しを浴びてツクシ、フキノトウ、オオイヌノフグリが咲いていた。
ちょうど見ごろの小下沢梅林。すぐ傍らを中央高速が走っている。震災のあおりで人出は疎ら、梅林の係り員が手持無沙汰そう。
その先を景信山の登山口分岐のある広場まで歩いた。
やっと見つけたスミレとヤマルリソウ
フユイチゴの真っ赤な実(後でネットで調べてみたら、結構おいしいとのこと。)
食べると幻覚症状をおこし、そこら中を走り回るところから名づけられたハシリドコロ。見た目はおいしそうで食べられそうに見える。
見上げるとフサザクラが花芽を綻ばせている。フサザクラは花弁のない珍しい木の花、サクラの名は付けられているものの桜の仲間ではない。
そのすぐ隣で咲いているのはアブラチャン
花だけではない、生き物も春の温かみを感じて活動を始めている。私の小さい図鑑では名の分からなかったチョウ
オタマジャクシも道端の水たまりで見られた。
岩から出てきたトカゲ
見事な囀りを聞かせてくれたミソサザイ
広場の所までやってきた。ここは日当たりが充分なせいか、再び咲きだしたハナネコノメに出会えた。
アズマイチゲ
日があたって暫くすると十数枚の白い花弁をいっぱいに開き切る。
傍らにはピンク色のニリンソウ、咲きだしたばかりは可憐なのだが……。
ハナアブも開花を嗅ぎつけて早速やってきた。
お終いは花数としては一番多く、至る所で見ることができたユリワサビ。アブラナ科特有の4弁の花びらをもつ。よく見ると充分可愛らしい花なのだが、沢山ありすぎると文字通り有難味が感じられないのが可哀そうだ。
早春の裏高尾通いは当分止められそうにもない。
>この辺で。