野に撃沈2

多摩地区在住の中年日帰り放浪者。(k10D→k7→k30→)k‐5Ⅱsを忍ばせ、人気のない野山や公園、路地裏を彷徨い歩く

奥秩父中津峡を歩く

2011-05-14 | ハイキング

 最近、大相撲で技量審査場所が開催されているが、いま一つ盛り上がっていないようだ。このままでは千年を超える伝統を持つ、国技?が廃れてしまうということで、新たな本場所の提案をしてみた。

 冬場所 、岡場所、 避難場所、 ラスベガス場所、原発場所等々いろいろ考えてみたのだが、やはり八百長鑑定場所が一番良いんじゃないだろうか。予め3,4番の取り組みごとに一番位八百長を仕組んでおいて、それを審判員や観客に鑑定してもらうのは如何だろうか。本気か八百長かを投票してもらって電光板に掲示し、見抜かれなかったら両者白星、見抜かれたらどちらも負けとしたら、結構盛り上がるのじゃないだろうか。ウニャムニゃ……。

 <閑話休題>

 天気がどうもすぐれないので、山登りはやめて奥秩父に石採りに出かけた。中津峡の出会いから志賀坂峠にかけてはトンネルの補修中で通行止め。仕方なく出合に停めて歩きだした。

 何時までも眺めていたくなるくらい新緑がきれいだ。

 

 

 早速河原に降りて石を探してみる。石灰石が多いが、まれには黄鉄鉱の結晶をふくんだ石もある。子供時代を思い出して結構楽しい。

 

 暫く河原で石と戯れていると、だんだんと雨が本降りになってきたので、石採りは中止。もう少し上流を溯って見た。小さいトンネルを三つ抜けた所で鉱山の建物が見えてきた。

 

 新緑と武骨な鉱山の建物の組み合わせは結構シュールに見える。

 

 そこを過ぎたら比較的距離の長いトンネルが見えてきた。

 

 

 ここが日窒鉱山。正式には(株)ニッチツの秩父事業所。後で知ったのだが廃墟や廃村マニアにとっては結構有名な場所のようだ。

 来る前までは閉山しているのだと思っていたのだが、今でも現役採掘中のようだ。

 

 

 昔風の建物の郵便局もある

 

 

 労働組合の「働」の字の略字は久しぶりに見た。

 

左側は煙をあげて稼働中、右は現在では使われてない坑道だろうか

 

 事業所中央に立つ鉄塔

 

 周囲には廃墟マニアが垂涎の光景が点在している。

 

 

 廃校になった小倉沢小学校。立ち入り禁止の警告が物々しくはられている。ネット上にはこの廃校に無断潜入した記録がたくさんある。

 

 

 採掘された鉱石を受け取るホッパー、今では使われていないようだ。

 

 もう少し溯ると慰霊碑が見えてきた。

 

 道端の崖のフデリンドウ

 

 昭和40年代の最盛期には従業員4000人を抱えていたという小倉沢地区。

公衆浴場跡が往時の生活を偲ばせる。

 

 

 購買所だった建物

 

 「歩行中禁煙」や「歩き煙草はやめましょう」の看板が随所に見られた。

 

 

 作業員たちの宿舎跡が山の斜面の中に夥しくある。

 

 

 

 

 

 打ち捨てられた廃墟にも年ごとにヤマブキやモモの花が咲く春が訪れる。

 

 

 

 

 電線の上でキセキレイが頻りに春を囀っていた。

 

 この辺で。

 

 

 

 

 

 


赤城自然園を訪ねて

2011-05-09 | 植物園

 

 

 連休の後半、群馬県の赤城山麓にある赤城自然園を訪ねた。開園9時とほぼ同時に入園。

 

 3つに分けられたゾーンの初めはセゾンガーデン。色とりどりの鮮やかな色彩が目に飛び込んでくる。

 

 

 

 

 

  これは控えめなフリルのついた花オオカメノキ

 

 イカリソウの園芸種

 

 ツルハナシノブに似た花

 

 これも名札にユキノシタ科のズダヤクシュとあったが、野にあるものとは随分趣が違うようだ。

 

 

 名札表示がなく、帰ってからネットで探したのだが、ギンサカズキイチゲという品種と似ていた。

 

 

 

 キバナカタクリ

 

 

 チューリップ

 

 バイモ

 

リュウキンカ

 

 

  芝生広場を抜け、ナナフシ橋を渡ると自然生態園のゾーン。こちらの方まで来ると入園者の数は随分少なくなる。木の根元に開花したてのツバメオモトを見つけた。

 

 野に咲く花としては非常に大きな花を咲かす、ヤマシャクヤクも開花し始めている。

 花弁の右に小さなハナグモがいる。

 

 エイザンスミレ

 

 桜色の花びらが美しいアケボノスミレ

 

 ロックガーデンからはイカリソウが目につくようになってきた。

 

 

 

 

 

 見上げると春の薄日に花弁を透かしたミドリザクラが目に飛び込んできた。

 

 カタクリの林。カタクリは一部が咲き残っているのみで、殆どは枯れ、実をつけていた。その中で一際色の濃い、スタイルのよい一株があった。

 

 大きな葉の下に隠れているウスバサイシンの花

 

 ミズスマシの池、カブトムシの森、チョウの原っぱにはまだ虫たちの姿は見えない。オキナグサ

 

 自然生態園をぐるりと一周して、再びナナフシ橋を渡った。アカマツ広場を過ぎると途端に鮮やかな黄色の花が見えてきた。ヤマブキソウだ。

 

 緑の広場からは炭焼き小屋の方へ向かう。ちょうど見ごろのシラネアオイの花に出会えた。5月にここを訪れたのは今回で三度目なのだが、初めてシラネアオイの最盛期に出会えたが何ともうれしい。

 

 

 こんな綺麗な花弁のシラネアオイに出会えたのは飯豊の山を歩いた時以来。蕊もこんなに美しい花だったとは再発見だ。シラネアオイはかつてはキンポウゲ科とされていたが,今はシラネアオイ科シラネアオイ属シラネアオイとされた。つまりは一属一種で日本固有の植物。別名の春芙蓉や山芙蓉の名にふさわしい美しい花だ。

 

 こちらも同じ山の花、サンカヨウ。蕗のような大きな葉っぱが特徴。

 

 緑色の品のある花を咲かすルイヨウボタン。まだ花の咲いていない株を自然生態園のほうで見てきたが、ここでは数輪蕾を開き始めていた。

 

 オオバナノエンレイソウ。ずっと園芸種だと思っていたが、本州北部や北海道では自生しているのだそうだ。

 

 芝生広場に戻って休憩。昼近くになってだいぶ入園者の数が増えてきたようだ。開園したての頃は、季節限定の開園だったせいもあるが、休日でも人の数は少なく静かな中ゆっくりと観察できたのだが、最近は雑誌などにも紹介されたせいで来園者が随分増えてきたようだ。ツツジの丘を通りぬけて出口へ向かった。アカヤシオやミツバツツジ、ヤマツツジ等と一緒に桜もまだ咲いていた。

 

 

 再び入口に戻ってきたのは午後一時近く在園4時間ということになる。いつもながら充実した時間を頂いた。今度は昆虫の飛び交う夏の時期に訪れたいものだ。

この辺で。

 

 

 

 


日光植物園

2011-05-07 | 探鳥

 春先4月から6月にかけての日光植物園詣では今年で5年連続となる。大震災の影響で人が少ないとのことで、連休後半になって一泊で出かけることに決めた。

実験室、背後の日光連山はガスに煙っている。

 

エントランスからの通路はアズマシャクナゲが両側で出迎えてくれた。

 

 

 林床はコミヤカタバミの白い清楚な花で一面覆われている。

 

 見上げるとモミジやカエデの花が咲き始めている。

 

 ハウチワカエデ

 

 ロックガーデンにはまだ花が少ない、この白い大きな花はタンチョウソウ

 

 タツタソウ。メギ科の花で中国東北部原産。自生種は見たことがない

 

 ミドリザクラ(緑萼桜)、名の通り花中央の星形をした緑色のガクが美しい桜

 

 今年もお目にかかれた黄色の水芭蕉、アメリカミズバショウ。

 

 

 園内には普通のミズバショウもあるのだが、標高の低いせいか時期的なせいか枯れかけているものが多いのが残念。

 

 苞のないミズバショウ

 

 ミツガシワ(リンドウ科)

 

 エンコウソウ(猿猴草)、名の由来は水面を長く這う茎の様子から。リュウキンカとよく似ている。

 

  

 実験室前から鳴虫山方面を見る。色とりどりの桜の競演には思わずため息が出てしまう。

 

 ショウドウザクラとあった

 

花の中心が赤いサクラ、ヤマザクラの一種だろうか

 

 つつじ科の花もこの時期は楽しみの一つ、アカヤシオがちょうど最盛期だった

 

 ミツバツツジ

 

 

 スイカズラ科のオオカメノキ

 

 

 残念ながらシロヤシオはまだ固い蕾のままだった。これはヒメウツギの蕾、まだ花が咲いていないのに十分美しい。

 

 通御橋(かよいみはし)を渡り田母沢(たもざわ)川を越えた先には、スミレやネコノメソウ等の山野草が多くみられる。

 コガネネコノメ

 

 ハルトラノオ

 

 ヤマエンごサク

 

エイザンスミレ

 

 ナツトウダイ

 

 フデリンドウ

 

 フモトスミレ

 

 田母沢川縁の桜

 

 左手に大谷川を垣間見ながらぐるりと一周して戻ってきた。新緑越しに化け地蔵が見える。

 

 この辺りの道では、ヒトリシズカとイカリソウがたくさん咲いていた。

 

 

 最後に園内で見かけた夏鳥のキビタキ

 

  在園3時間、充実した至福の時間を過ごすことが出来た。この辺で。

 

 

 

 

 

 

 

 


町田ぼたん園

2011-05-04 | 植物園

 中国では古来より花王と牡丹を呼ぶそうだ。華やかさと言い、存在感のある大きさといい花王の称号は確かに牡丹の花にはふさわしい。

 薬師池公園の駐車場に車を止めて、そこから坂を10分ほど登った所が町田ぼたん園。5月6日までは有料開園とされていて大人一人500円。

 

 今回は殆どメモをとってないので品種名は一部を除いて分からない。

 牡丹は何と言っても花が大きいこと、そして花の大きさのもたらす圧倒的な存在感、それが牡丹の全てを決めてしまう。

 

 

 

 中国では千数百年前の唐代から宋代にかけて最盛期を迎えた。唐代の詩人白居易の長詩では「華開き花落つ二十日、一城の人皆狂えるごとし」と都長安における人々の牡丹への熱狂を歌っている。

 

日本では江戸の時代にはすでに300を超える品種があったという。

 

 

 

 蕊も美しい

 

 

 

 

 紅白の花弁を持つこれだけは分かる、島錦というそう。西洋のバラと比べると東洋の牡丹は花の艶やかさでは優れているが、香りを楽しむという面では薔薇の香気にはかなわない。

 

 

 四季を艶やかに彩る二十四節季第三候は牡丹華(ぼたんはなさく)

 

 

 

 牡丹の花期は約3週間、それにちなんだ二十日草という異名もある。

 

園内の斜面の上は日本庭園風に創られていてモミジやカエデが多い

 

 

 また富貴草の異名もあるが、この名もやはり牡丹に相応しい。

 

 

 園内にはちょっとした広場があり、ちょうど鯉のぼりが風になびいていた。

 

 

 

 

 

 

 

 平安時代に、中国から薬用として渡来し、寺院に多く植えられたという牡丹、何といっても牡丹の名歌は「牡丹花は 咲き定まりて 静かなり 花の占めたる 位置のたしかさ」 木下利玄 

 

 

 

 クレマチス

 

 牡丹の花の間に多く植えられていたのは紅白のタイツリソウ

 

 

 藤を背景に

 

  この辺で。

 


ウワミズザクラ緑色幻夢

2011-05-02 | 野の花

  

 ウワミズザクラ(上溝桜)は谷合や沢の近くに自生し、ソメイヨシノが散ってしまった後に咲き始める。樹高は10m~15mと結構高いので山歩きの時などは気づかず通り過ぎてしまうことが多い。私の場合は山道に散り落ちた花穂で、上を見上げて、初めてああ咲いていたのかと知ることが殆どだ。

 

 

 

 私はこの木の名を初めウワズミザクラと間違って覚えていた。がそういう間違いは私だけで無いようで、他でも見かけることがあった。別名にハハカ(波々迦)というのがあるが、その謂われはここに。他にはコンゴウザクラなど。尚、日光山輪王寺内にある金剛桜は別種でヤマザクラの系統。

 

 

 初めて存在を知ったのは八王子高尾にある森林科学園でだった。その時はこれが桜かと驚いたものだ。その後、どうしてそれまで見つけられなかったのか不思議な位、春先の山歩きのたびに何度も出会った。良くあることだが、出会って初めて人はその存在に気付き、そしてそれが案外至る所にあったことを知るようだ。

 

  背の高い木なのでいつもは花の撮影に苦労するのだが、この時は嬉しいことに3、4mぐらいの手ごろな高さの木に出会えた。花の時期も折よく、ちょうど最盛期を迎えていて見事だった。

 

 

 

 

 何時の日か、食用にされるという花穂や未熟果、そして熟した実のジャムを食べてみたいものだ。どんな味がするのだろう。

 

 岡本かの子の歌に、「桜ばな いのち一ぱい 咲くからに 命をかけて われ眺めたり」というのがあった。 花を眺めるということを、花と我との二つの命の対峙と捉えたのだろうか。

 

 この辺で。