デフレで失われたものはなんだったのか

2014年02月21日 | 日記
先日FP(ファイナンシャル・プランナー)継続教育研修会に行って来ました。
今回は「金融資産運用設計」で、私のもっとも不得意とする分野でした。
(じゃあ、得意な分野はどこなんだと聞かれたら、ないんですが…)
内容もよく確かめないまま、研修後の食事会を目当てに参加しました。
講師はセゾン投信株式会社・代表取締役の
中野晴啓(はるひろ)さんでした。
私はリーマンショックの年に、生まれて初めて投資信託を購入しました。
数十万円という少ない金額でしたが、当時メディアがさかんに株価が最低値とかなんとかいって大騒ぎしていたので、少し投資の本を読んでETF(上場投資信託)を購入したのです。
ですが、その後うまい具合に?ピアノが欲しくなったり、事故で車が廃車になったり、だんなにカネ出せと脅されたりして(ウソ)
全部売却してしまいました。
買ったのが最低値のときですから、損はしていないのですが、保有期間が短く、得したというかんじもしませんでした。
その後は出費ばかりがかさみ、投資どころではなく、関心も薄れてきました。そんな私ですから、きっと難しい内容でわからないだろうな…食事の後眠くならないように、先に寝ておこうか…などと考えていたのです。
ですが、寝ている場合ではありませんでした。
講師の中野さんはすごく熱い人でした。
じゃあ、冷たい投資会社の社長を知っているのか?
と聞かれそうですが(聞きませんか…)、少なくともこのFP研修で、
特に金融資産運用設計なんて分野で、汗や涙という言葉を使う人はいませんでした。
だって、縁がなさそうじゃないですか。
汗とか涙とかと縁遠いのが投資じゃないの?
ちょちょいとクリックして何百万、何千万動かすのが投資なんじゃないの?
ってな印象でした。
でも中野さんはそれは違う!!と言うのです。
欲や感情で値が動き、その相場を見極めて短期で売買する…
これは投機・ギャンブルであって投資ではないと言うのです。
では投資とは?
中野さんはなにはなくとも長期、
しかも容赦なく長期でいくのが投資なのだと言います。相場をみるのではなく、実体経済をみて、成長する企業に投資するのだそうです。
成長する企業は汗と涙と英知と努力によって生まれ、
それを支えるのが長期投資だというのです。
知りませんでした。
私は中野さんの話を聞いて、合点のいくことがありました。
バブル崩壊後の10~20年間はよく
「失われた」という言葉で表現されています。
でも私はバブルの恩恵も受けていないかわりに被害も受けていない、
つまり何も失っていないと思っていました。
お金も有利な就職も、はなっから自分には関係のないものでしたから。
景気が悪くてもあまり気になりませんでした。
低価格のものが気軽に手に入るようになり、
便利な世の中になったもんだなぁとぼんやり思っていたぐらいです
。小さい頃は海の向こうの世界にすごく関心があり、
中学・高校時代はシンガポールの女の子と文通していました。
英語への意欲もちょっとありました。
でも、世の中の景気低迷にいつしか同化し、
英語だの海の向こうの人のことなどすっかり忘れ去り、
身の回りの小さな世界でさして不便も感じずそこそこ満足していました。
そんな生活に違和感を覚えるようになったのはここ5年ほどのことです。
私は何も失っていないと思っていましたが、
「なにかをする、したい」という意欲をすっかりなくしてしまっていたことに、
あらためて気づいたのです。
100円ショップで必要なものも欲しいものも手に入るような生活では意欲など生まれるわけがないのです。
中野さんはデフレは病気だ。成長がないというのは恐ろしい憂える事態なのだと言います。そこそこの生活に満足している若い人たちは、自分たちが犠牲者であるとは夢にも思わないかもしれません。でも「やりたいこと」や「なすべきこと」がない人生は、やるべきことに忙殺される人生よりもむしろ不幸なのではないかと思いました
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする