名ばかりではなく「本物の」障害年金専門社労士が増えてほしいです

2014年12月22日 | 日記

うつ病による障害年金専門の社労士・宮里竹織(みやざとたけし)さんが

障害年金社労士が急に増えた理由とその罪

というタイトルでブログ記事を書かれていました。

宮里さんによれば、近年障害年金専門の社会保険労務士が急増しているということです。

私そんなこと全然知りませんでした…

研修を受けた時は「すごい難しそうだな」「自分には縁がない仕事かもしれない」「専門性の高い一部の人が手掛ける仕事なのだろう」などと思っていました。

そんな私が障害年金の請求をすることになりました。なので、宮里さんの記事は真剣に読みました。

宮里さんは障害年金専門社労士の急増による弊害を2つ挙げていました。

1つは、セミナーなどでちょっと勉強した程度で障害年金専門と名乗る実務経験の乏しい社労士が増えていることです。これは依頼するお客さんだけではなく、他の社労士を紹介しなければならない専門外・新人社労士にとっても困ることです。

私が障害年金に関する電話相談を受けてまずお客さんに伝えたことは

今年1月に開業したばかりなこと、障害年金の経験は全くないこと、内容によっては他の社労士を紹介しなければならないかもしれない、ということでした。

とりあえず、次の日の夕方に会って話を聞くということにして、まっさきにやったことは、たまたま知っていた医療関係の資格を持つ障害年金専門社労士のサイト確認でした。この人に依頼しなければならないかもしれない。そう思いつつ、「他の社労士を紹介」と言ったときの、相手のがっかりした様子、途方に暮れたような気配を思い、とにかく話を聞こうと思いました。

医療でも法律でもその道の専門に頼らないとうまくいかない、というのはある種の人たちにとっては常識かもしれません。でもそんなことを知らない人、知っていてもどうやってアクセスしたらいいのかわからない人も多いと思います。近くの人、とにかく知っている人にまず聞いてみるという人も多いと思います。そして、聞かれた人は、やはり次につなげないといけません。なにをどうしていいのかわからず、意を決して近くの社労士に連絡してみるかもしれません。

なので、名ばかり専門社労士は大変困ります。

宮里さんが懸念されているもうひとつのことは、障害年金の請求が増えたことで、年金事務所の許容量を超え、審査にかかる時間が長くなってきていること、財政が悪化して審査基準に影響を与えていることです。

これについては、思うことがあります。

増えている障害年金の中身は精神障害が圧倒的に多いようですが、それだけ本来受けられるはずの人が、受けていなかったと考えられます。精神障害に関しては、今もって誤解や偏見が多いと思います。

私は保育士として児童養護施設・保育所に勤務したことがあります。介護士として特別養護老人ホームに勤務したこともあります。ケアマネ経験も少ないながらあります。どちらも救済の対象はそれぞれ子ども・高齢者です。家族の中に、精神疾患かな、と思える人がいても、どう支援していいのか施設の職員はわかりません。というか、目の前にいる子どもや老人で手いっぱいで「家族に関しては自分たちの仕事ではない」と思わなければ業務もままならないという状態です。助けを必要とする目の前にいる子どもや老人さえ助けられないなかで(虐待によって子どもが死亡した場合の児童相談所の叩かれぶりはよく知られています)潜在的な助けを求める人をどうやってすくい上げていくのか。障害年金を専門とする社労士の意義はここにあると思います。

高度経済成長が終わり、停滞期となったのですから分配の問題は必ず起きます。上層部がうるおい、そのおこぼれが下層部にまで広がるということは、いくら待っても期待できません。財政が厳しいのだから、基準が厳しくなるのは仕方がない、この考え方は敗北です。

精神障害の増加は経済のグローバリゼーションやそれに伴う成果主義的な働き方など、社会状況が大きな原因かと思いますが、それだけではなく、心療内科の増加、投薬量の増加という観点からも考察する必要があると思います。

本物の障がい年金専門社労士が多く誕生することを願います。

 

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