囚人道路の壱…

帝政ロシアの推し進める南下政策が
日本の北方を脅かし始めた頃
ロシアのシベリア鉄道計画に対する
軍用道路として
網走から北見峠までの全長165kmを
わずか八ヶ月間で開削…

その労働に囚人達を使役させる為
網走に収容所が建てられ
1,500人の受刑者が道路工事に出役…
四月から十二月という
短期間で突貫的な難工事のため
200人以上の囚人が倒れ亡くなった…

その道路は網走道路の呼称をもつが
別名「囚人道路」とも呼ばれた…

参百八拾円…

トイレを借りた北見駅の
待合室の自販機で缶珈琲を買ったところ
お釣りがなんと380円も多く出てきて
超クリビツのドンキー…

ネコババしようかと迷いましたが
駅の前に立派な交番が御在ましたもので
その前を音速で駆け抜け
風のように牛丼屋へ直行いたしました…

でも僕は見てしまったんです…
その日の夕方
高校生の男子が女子にフラれる現場を…

でもそれって
「誰かが幸せになれば誰かが不幸になる」
理論を見せつけられたようで
何だかもの凄く
後味の悪い牛丼になっちゃいましたね…

巡り廻って戻って来るんだろうなぁ
いつか自分が涙を流す時が…

類人猿の唄…

沙留(さるる)という街の響きは美しい…
「サル」にもうひとつ
「ル」をくっつけただけなのに
その名は僕の中へ驚く程に透き通っていく…

これがゴリラであれば「ゴリララ」
少しカワユくはなったが
相変わらずな骨太な強さを感じさせる…

更に「チンパンジジー」であれば
もうそれは近寄り難いただの変人扱いだ…

因みに
よく小学生達が喜んで歌っているあの唄は
どうやら北海道から沖縄の端々に至りつくまで
共有されているようです…
さぁ皆さん、大きな声でご一緒に～

「サル～　ゴリラ！チンパンジジ～」

語りべ…

湧別という街に泊まった夜
阪神淡路大震災で被災された方が
語りべとして招かれていた…

その街の川西という集落には
樹齢400年の楡の木が
開拓を象徴する守木として保存され
明治27年入植当時からの苦労を
今に物語っている…

伝えようとしなければ
事実も出来事も
あっという間に風に消えてしまう…

原発事故という巨大な暗闇の先では
津波に消えた300kmの街々が
更に掻き消されると泣いている…

岩手も宮城も
まだ何も終わってはいない…
放射能の汚染だけが
人々を苦しめているわけではない…