棚からぼた餅--岩淵龍王丸

信州の山郷での暮らしと、絵本と無縁になってしまった大人に向けた創作絵本や、芸術活動をお話します。

チベット寺院内を描く-新春美術展

2010-01-07 08:26:14 | 山郷の暮し
私はチベット仏画の、血が沸き立ってくるようなエネルギーの発散に魅せられてしまいます。古今の他地域における仏教ではみられない、独特な空間です。
特に壁画の巨大な曼荼羅の数々は、正に宇宙のエネルギーが凝縮し、爆発せんばかりの生命力に溢れたものばかりです。
中には現代アートを観るような斬新な図形に、曼荼羅絵の不可思議な力を感じます。
私がラマ教の仏画に魅せられていったのは、ヒマラヤの奥地に点在する廃寺や、新旧大伽藍の壁画の踏査からでした。
ヒマラヤ山中の古い寺院(ゴンパ)が崩壊してゆくなか、新たに寺院が建設され、見事な壁画制作がなされていることを観てまいりました。
我々がチベットの寺院を観ることが出来るようになったのは、中国の文化革命の狂気的な時代が過ぎ、かなりたってからでした。
それでも、人間の犯した愚考は隠し切れず、無残に強奪・破壊されたゴンパ(寺院)を観るたびに、腹のそこから怒りがこみ上げてきた経験があります。

この度の作品は、ラマ教寺院の壁画模写をベースに、時が創り上げた自然崩壊と、人間の愚考からなる人為破壊。そして、一切の事々を超越した信仰の光ある世界を描き出しました。
なによりも、尊崇するダライ・ラマ法王のお言葉の数々が、製作にかりたてました。
それ故に壁画模写にとどまらず、現在のチベットが抱えている国際問題を思い、チベットの平和を願っています。

皆様方が現実のチベット寺院内に立っているように、実物大で描いてみました。(仏画は「造像量度経」にしたがって描きましたが、仏の配列は別な意図があり異なっています)

松本市美術館-五味画龍展-1-11まで
       1-10 南インド舞踏公演

ryusun

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