木・うんちく

木材と人間の関わりを考えて思うままに・・・

104. 父から子供達に伝える日本の歴史その3:日本があの無謀な戦争を始めたのはなぜか

2016-01-19 18:38:12 | ウッドデッキ
日本が太平洋戦争を始めた理由は、アメリカから石油の対日輸出禁止や在米日本資産の凍結と言う事実上の最後通告をされて戦争をするしかない状況に追い込まれたからと言うのが一般的な見方だ。しかしそのような状況に追い込まれることをなぜ回避できなかったのかと言うことについては、これまで日本陸軍の暴走だけで片付けることが多かったが、この前NHKで、日本が戦争を始めた理由を、日本陸軍、外務省、マスコミ、それから日本政府指導者と言う4つの切り口から分析したNHKスペシャル『日本人はなぜ戦争へと向かったのか』と言う番組があったが、この番組はそれぞれの組織の内情を調べて分析した非常によくできた番組だった。
つまりそれぞれの組織が、極めて日本人特有の性格の悪い面が出て、問題を先送りし、情報の分析をせず、それぞれのリーダーが責任逃れから、自分や自分達の組織にとって嫌な判断をしなかったために、事態がどんどん悪い方に転がっていったことが分かる。
これに対して、明治維新から日露戦争までは全く反対で、日本人特有の性格の良い面だけが出て、政府のリーダーは皆、自分達にとって嫌な判断でもそれが国のためだと思えば決断することに躊躇がなかったし、情報分析の重要性を太平洋戦争の時の軍部とは比べ物にならないぐらいに理解していたからね。これが同じ日本人は思えないぐらいだ。
結局のところ、日本に戦争に向かった理由は、そのような状況に日本が追い込まれてしまった外部要因からではあるが、それを回避できなかったのは日本人の考え方の中に弱点があった内部要因からだろう。ただ、お父さんの言う弱点と言うのは、お隣の国がよく言う「日本は元々侵略国家の性質がある。」とか言うことではない。それは日本人の特性の良いところはその裏返しがあると言うことなんだ。例えば「和」を大事にすると言うことは、責任が誰にあるか分からないことになるし、「周りの人に思いやりがある。」と言う長所は、「組織のために一生懸命働く。」と言うことになり、それが国のためにはマイナスになっていることに気づかないと言うことだ。これは今、問題になっている官僚体制の弊害と同じことだね。
戦後、東京裁判が行われ、戦争指導者として政府や軍部の高官が裁かれたが、あれは全くの茶番劇でしかない。勝者が敗者に仕返しをしただけの裁判だ。お父さんが問題だと思っているのは、そんな連合国の裁判よりも日本人がなぜ、当時の日本人が『日本人はなぜ戦争へと向かったのか』と言うことを裁判であれどんな形であれ総括しなかったのかと言うことだ。それをしておけば、自分達の国民性の弱点を日本人は分析でき、あのような事態を繰り返すことがなくなるだろうと言うことだ。
お父さんが心配するのは、あの時に総括をしなかったばっかりに、自分達の国を貶めることを生きがいにしている左翼的な新聞や、平和憲法護持だけを唱えて聞く耳を持たないインテリや、責任を負う気のない無責任な発言ばかりをしている野党なんかのように、日本を貶めることが、あの戦争を繰り返さない方法だと思ってしまわれることだ。
実際、これらの人の行動は、一見、戦争の反省から、戦前とは反対の方向に行っているように思われるが、歴史を注意深く見ると、これらの人は戦前の日本を悪くした人達と同じ類のことをしていることに気づくだろう。
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