モスキートの構造はバルサを芯にしたカバ合板で作られています。
ジェラルミン製のようにリベットの後がなく表面がスムーズですが、
これは合板の上に布を貼って、その上に塗料を塗ってつるつるにしているからです。
現代で言えば、グラスファイバーのガラス繊維の代わりに布を使ったと言うところでしょう。
日本で戦時中に木製飛行機を作ると言うと、そこまで追い込まれたかと思ってしまいますが、
デハビランド社の「木で作ると軽くて速い爆撃機ができるだろう」と言う発想。
さらに製造に関しては簡単で、その上、戦争中は開店休業状態の家具屋で作れるだろうと言う冷静な考え。
武器も含めて無駄を全部省いたらスピードが出るだろうと言う恐い合理思想。
それで実際に作ったら彼らの考えたとおり、
空力学的に優れた軽くてスマートな機体を強力なエンジンが引っ張っていくと言う形になりました。
変に凝った戦闘機や爆撃機の多いイギリスの中では際立って合理的でスマートな形状をしているのは、
合理的な構造にしないと強度が出ない木製だったからかもしれません。