木・うんちく

木材と人間の関わりを考えて思うままに・・・

49. 合成木材(人工木材)とハードウッドの経年変化を比較する。

2013-11-28 10:21:10 | ウッドデッキ






7年前に設置した合成木材(人工木材)とハードウッドのウリン材のデッキの写真です。
一番上の写真は日本の大手メーカーの合成木材のデッキで、中は空洞です。
社内に試験として設置しているものですが、汚れがこびりついてしまっているので、
真ん中の写真は、同じデッキをブラシで水洗いをした後の写真です。

こうしてみると色あせ自体は、少ないと言えます。
それに対して一番下は、ハードウッドです。細かいひび割れもあり、かなり色あせて濃いグレーになっています。
これらを社内で検討した結果。次のとおりでした。

■両方とも同じ条件下の試験だが、合成木材は静電気が起きるのか、汚れが付着しやすい。
だから、定期的にデッキブラシ、もしくは洗浄機での水洗いが必要。
確かに水洗いすると汚れは取れるが、かなり力を入れてこすらねばならない。
耐久性的にはメンテナンスフリーでも、日常使用に関してはメンテナンスをしてもらう必要がある。

■ハードウッドの場合は、退色は激しい。
しかし合成木材のような汚れがデッキに付着することはない。
だから長所・短所を比較した個人的な好みの問題と考える。
しかし、写真のようなひび割れが木材の場合は設置後一月以内に発生することが問題(クレームになる)。
それに対して合成木材は設置後1月以内の色あせやひび割れはないので、営業的には楽なところがある。

■退色を嫌がるお客様に対してはやはり合成木材は営業上やりやすいが
(7年でこれだけの色が残っているのであれば上出来)。
ただ、合成木材の場合は、汚れの付着が激しく、デッキの上で、くつろごうと言う気にはなれない。
雰囲気を重視する住宅や、大規模なデッキには合成木材は不向きと言える。
しかし、木材のようにひび割れやささくれがないことを考えると、
幼稚園や保育園のようなとげのクレームになるところにはベターと思える

■合成木材の割れが発生しているところは、試験のデッキを駐車場に設置していたので、
何か重いものを上に乗せて割れた可能性がある
(合成木材の場合は中が空洞なので)、住宅の場合は、ここまでの荷重はかかることはないので問題ないが、
公共建築の場合は、色んな使い方をされるので、合成木材は適さないと思われる。

結果は従来どおり、ケースバイケースで、
合成木材とハードウッドは使い分けていこうと言うことになりました。
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48. ストラジバリウスを超えるバイオリンを作るために

2013-11-20 18:02:25 | ウッドデッキ

Photo from Wikipedia
先日NHKでバイオリンの名器ストラジバリウスの特集があり、
その音色の謎を解き明かす色々の分析をされていました。
しかし使われている木材については、あっさりと簡単に説明されただけでしたので、
この部分が最も大切ではないかと思っていた私は、ちょっと残念な思いをしました。

それはストラジバリウスの音の良さの大きな要因は、
木材の年月を経た乾燥ではないかと思っているからです。

昔、楽器の音色と木材の乾燥について確認したくなった時に、
私の持っていたドイツ製の木製のリコーダーを、
キッチンの電子レンジで軽くチンをして強制乾燥をさせたことがあり、
その結果、画期的に音がよくなった経験がありましたが
(でも、これは実験としてやったもので、絶対にマネをしないで下さい)、
電子レンジで急速に乾燥させた場合は、
すぐに元に戻ってしまうので、
300年かけて平均化して乾燥をさせた場合は、良い音が出るであろうと思っていました。

それで、この部分について番組でつっこんだ分析があればと思っていましたが、
そこまでの分析はされていませんでした。

以前、京都大学の先生のレポートを読んだ時に、
バイオリンに使われる表板のトウヒも裏板のカエデも、
音響性能(与えたエネルギーに対して音に変換する効率)はベストの材料ではなく、
試験の結果は、木材の中で最も音響特性の良い木はカナダのウェスタンレッドシダーであった。
と言うことが書いてありました。

同じ弦楽器でもギターのように、加える運動エネルギーが小さい楽器ではなく、
バイオリンのように弓でもって、かなりのエネルギーを与えることのできる楽器は、
トウヒやカエデのような音響性能がベストではない木材の方が良いのだろう。
と言う推測がされていました。
実際、私が若い時に当時の初任給ぐらいの価格で購入したヤマハのクラシックギターは表の板は、
ウェスタンレッドシダーで作られています。
これがヨーロッパ製のフラメンコギターになると松系統の木材(トウヒやスブルース)が使われ、
音としてはもっと硬い音になり、
ウェスタンレッドシダーのように繊細な指のタッチでも柔らかく、それでいて大きい音は出せません。

ウェスタンレッドシダーでバイオリンを作る作家がいれば、
新作でありながらストラジバリウスを超えるパワフルなものができるのではないかと思っています。
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47. 車の座席マナー(ビジネスマナー:車の座席順位、上座はどこか)

2013-11-19 12:49:31 | ウッドデッキ


会社で、ビジネスマナーを確認しようと言うことになり、一人の若手の社員が車に乗る場合の席順について
「車の最上席は、後ろの席の右側である。これは運転手の後ろが最も安全な席になるからである。」
と言う発表をしました。
しかし、私は、「それはおかしいだろう。お客様が車に乗った後、奥につめてもらうことになる。
しかも降りる時には最後になり、タクシーであればお客様が支払をしなければならないことになるぞ。
私であれば先にお客様を左側に乗せ、自分は右側に廻って右側の席に座る。」
と言いましたが、ネットのどのマナーに関するサイトも、運転席の後ろが最上席と記載されているとのこと。

どうも納得がいかず、後日、自分で調べましたが、確かにどのサイトにもそう書いています。
しかし写真を色々検索すると次のことが分かりました。

■ケネディ大統領が暗殺された時の写真では、ケネディは右側に座っていてジャクリーン夫人は左側でした。
さらにアメリカは右側通行なので運転手はジャクリーンの前、
すると最も偉いのはジャクリーン夫人かと言うことになりますが、
レディファーストだと言う反論もあり。

■それでは、日本で最も公式な場合と言うことで、皇太子ご成婚の馬車パレードを確認すると、
皇太子は右側で皇太子妃は左側。しかし運転手いませんが、馭者は4頭立ての馬の内、左側の馬に乗っています。
・・・どうも運転手の後ろだから安全と言うのは関係がなさそうです。

日本の皇室の方が車に乗る時のルールは、どうなっているのかと、調べましたが、
宮内庁の見解は、車での席順については、特に決めていないと書かれていました。
皇室の方が車に乗っておられている写真を検索すると確かにケースバイケースのようです。

しかし悪戦苦闘の結果、決定的な原則が分かりました。
それは「公式の場では右側優位」と言うフォーマルなルールの存在です。
つまり、皇室や海外の王族が公式な場で写真を撮るとかパレードする場合は、優位な人が右側に位置すると言うことです。
ですから、ケネディはオープンカーの右側に座っていて狙撃され、
皇太子ご成婚のパレードでは皇太子は右に座っていたと言うことになります。
しかし、これが欧米のように右側通行であれば、偉い方は歩道からすぐ車に乗り、
次席の人は反対側から乗り、お見送りをする人には窓をあけて右に座っている偉い人が、挨拶をすると言うことでうまくいきますが、
日本のように、左側通行であれば、例えば皇太子様が小学生の愛子様と一緒に車に乗る時に、
皇太子様が右に座って、愛子様が左側に座ると、
お見送りをしてくれている人にお言葉をかけるのに愛子様がする訳にもいかないので、
こんな場合は、あえて皇太子様は左側に座って、ご挨拶をされているようです。
故に宮内庁としても座席の席順は決めていませんとしているのだろうと思います。

マナー本に書かれている「運転席の後ろで安全だから、右の後ろが最上席」と言うのは、
右側優位の法則を、無理にこじつけた結果で、お客様とパレードに出る確率がゼロに近い一般の人間にとっては、接待マナーとしては間違いと言えます。
実際に調べてみると、上場企業の社長や国会議員もすべて助手席の後ろに座っていますし、
トヨタの最高級車センチュリーも後席の助手席側が一番豪華に作られているぐらいですから、
普段は左側つまり助手席の後ろに優位の人が乗る方が正しい選択と言えます。


以上のことから、正しい会社の接待マナーとしては、早く座ることができて、早く降りることができる、
車の後ろの左側が最も上席とすべきと言う判断となりましたが、
お客様によっては右側が上位と言うマナー本が正しいと信じておられる方もいらっしゃるので、
お客様を左に座って頂いた場合は、このマナーについての解説をしながらタクシーに乗ると言うのが無難かもしれません。
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46. 針葉樹も会社で考えるとどうなるか

2013-11-09 10:06:24 | ウッドデッキ

広葉樹を会社で考えると
優秀な社員をかかえた収益性の高い会社と言うことができますが、
これが針葉樹の場合は、
営業成績は良くないものの、経営者から社員まで質素な考えをもった我慢強い会社と言うことになります。

太陽エネルギーを集めて光合成をする能力は低いものの、
給料が安いので(維持費がかからない)、冬の収入がない季節も会社は社員をリストラすることはしません。
会社と社員は一致団結して、冬を乗り切ります。

この団結力のおかけで、シベリヤのような普通の広葉樹企業では倒産してしまうような厳しい環境でも、生きていくことができます。

そのかわり、広葉樹のような派手さはなく、
果実を作って、それを動物にあちこち種を運んで広告宣伝しようと言うような出費もできません。

針葉樹としてはお金がかけられないだけに組織も単純で、柔らかくてまっすぐに育つので、
人間が簡単に加工できることから、人間に愛され、日本の山は杉やヒノキの針葉樹だらけとなりました。

やはりまっとうに生きていると世間は認めてくれるものです。
しかし中には、その安い人件費の葉っぱさえ冬の季節は落葉しようとする「カラ松」のような針葉樹も存在します。
実際、そこまで追い込まれているのかと思うと、カラ松の落葉した林は哀しげな雰囲気があります。
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45. 広葉樹を会社として考えるとどうなるか

2013-11-09 10:03:55 | ウッドデッキ

広葉樹は字のごとく葉っぱが広いですが、これを会社として考えると分かり易くなります。

会社の社員を葉っぱと考えると、広葉樹は、太陽と言うエネルギーをたくさん集めることができ、
水と炭酸ガスから光合成をする能力に秀でた、会社で言うと営業成績の優秀な社員をたくさん抱えていることが分かります。

針葉樹にくらべてはるかに大きい利益が上がるので、会社としては内部留保を厚くし(木を堅くします)、広告宣伝に使うこともできます(果実と言うのが木にとっては広告宣伝です)。

しかし良いことばかりではありません。
優秀な社員だけに給料が高いのです。

そのため、広葉樹と言う会社は二通りの方策を取ることになりました。

一つは社員をリストラすることにし、秋になって日照時間が少なくなり、会社の収入が少なくなると葉っぱをリストラして、落葉させてしまうことにしたのです。
もちろん、春になって新たに社員を雇うのは費用もかかりますが、
それでも冬の収入のない季節に社員を雇う維持費よりは費用はかかりません。
これが一般的な落葉樹と言う会社です。

これに対して冬の厳しい季節も社員をリストラせずに維持しようと言うのが常緑広葉樹と言う会社です。
落葉する桜の木のような華やかさはありませんが、
常緑広葉樹には社員を大事にする地道な経営路線を行く落ち着きがあります。
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