木・うんちく

木材と人間の関わりを考えて思うままに・・・

262.アマゾンジャラ(マニルカラ)とウリンとイペではどちらが耐久性があるか

2023-06-29 12:35:58 | ウッドデッキ
屋外設置のデッキ材として最も耐久性があると言われているのはウリン材です。
以前はイペが上と思われていましたが、今はウリンの方が耐久性があると認識されています。
JISの腐朽促進試験の結果はウリンがベストでしたし、実際に地面に埋めた試験でもそうでした。
しかしデッキ材として使われる他の材、アマゾンジャラ(マニルカラ)と比較するとどうなんだろう。

と言うことで、14年前に、弊社の役員の家の庭に敷石として設置したウリンと6年前に設置したアマゾンジャラを掘り出して確認をしてみました。
どちらも毎日、水をかけて半分地面に埋まっていますので、木材としては最も過酷な環境に置かれています。



6年前に掘り出した時は、同じ時期に埋めたウリンとイペとの比較では圧倒的にウリンの勝ちと言う結果が出ましたが
その時に腐朽したイペ材はすべて廃棄し、代りにアマゾンジャラ材を埋めておきました。
それから6年経過して、14年経過したウリンと6年経過したアマゾンジャラを比較したのがこれです。
左の薄いグレーがアマゾンジャラで、右の濃いグレーがウリンです。
地表に出ている表は両者とも問題ありません。



ひっくり返すと、ウリンは14年しても何ともありませんが、アマゾンジャラの方は6年で少し腐朽が進んでいます。



グレーになると材種が識別できなくなるので、カットして木口面で確認しましたが、このとおりです。

今回のことと、6年前にウリンとイベの材を外した時とから分かることは
■ウリンはやはり耐久性が一番であること
■アマゾンジャラとイペの比較では、地面に埋めた結果ではアマゾンジャラの方が耐久性があるようだ。

・・これまで何となく、イペの方がアマゾンジャラよりも耐久性があると思っていましたが、(価格が一番高いのでそれなりの値打ちがあるのかと思っていた先入観があります)
実際の試験を見ると直接対決ではないものの、間接的な比較で言うとアマゾンジャラの方がイペよりも耐久性があるようです。

念のために、保管されている14年前にJISの腐朽促進試験を研究機関に出した時の試験結果報告書を確認しました。
その腐朽促進試験の結果は次のとおりでした。
■ウリンの耐久性は他の屋外用木材と比較してもベストであること(人工木材よりも上でした)
■アマゾンジャラとイベと比較すると、2種類の腐朽菌の内、1方はアマゾンジャラが上で、もう一方の菌はイペの方が上と言う結果でした。
つまり、設置場所や状況によって、イペとアマゾンジャラではどちらが上とは何とも言えないと言うところです。

以上の結果からお客様へのお勧めは、やはりウリン材となり、
イペかアマゾンジャラとの比較であれば、耐久性的にはどちらも同等だが、
イペの方が価格がかなり高いので、イペを使う理由があまりないと言うところです。


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261.木製遊具の補修見積もり

2023-06-01 14:12:21 | ウッドデッキ
お客様の造園会社様からマンションに設置されている遊具の修理見積もり依頼がきました。
かなりの年数が経過し、木部の痛みがはげしいので、木部だけを取り替えたいと言うことでしたが、
確認すると、基本躯体は金属で、木製部分は、針葉樹では一番耐久性のあるセコイアのようです。
(30年ぐらい経過しているようなので材質は推測のところがあります)。

一見するとシンプルな構造で、木製遊具の基本「簡単に取り換えることができる構造」・・・のはずでしたが、
接合方法をよく見ると、・・・アーチの部分は基礎を壊さないと金属が外れず、
金属が外れないと木部が外れないし、取り付けるがことができない構造になっていました。
さらに、壁は、工場でパネルにした後、そのパネルをリベットで取り付けているため、リベットを壊さないと木部が外れない。

・・・と言うことで本来であれば、安くメンテナンスできるものが、作業手間が本来の何倍もの費用がかかる構造になっていることが判明。


恐らく販売した施設メーカーとしては、工場でほぼ完成品にして持ち込むことで品質を安定し、
コストは安くなり、組み立ては簡単となり、このような設計にされているのだと思いますが、
施設メーカーの顧客の大多数は官公庁なので、メンテナンスは施設メーカーの管轄外となり、
将来木部を取り替えることについてはメーカーの責任はないがために、
設置した後の木部の取り替えについては、考える必要がないのだろうと思います。

実際にマンションの管理組合さんが設置した施設メーカーに問い合わせたところ、法外な取り換え費用の見積もりがきたそうです。
・・・今回については、造園業者さんを通じて管理組合さんには、いくつかの補修取り換え方法を提案し、検討して頂いていますが、
施設メーカーさんの屋外での木製施設に対する考え方を変えて頂かないと、一般のお客様は木材を使わないようになってしまうと心配します。

問題は、施設メーカーさんとしては、木材の評価が下がり、木材を使わないようになれば、
それを理由に他社を排除できる金属や樹脂に材料を変更していけるので、
かえってありがたいと言うことです。

ですから、法外な取り換え費用を見積もりすることは、
国全体でみると金銭的にもエコの観点からも間違えていても、
メーカーの立場から見ると長期的にみて正しい営業戦略になってしまうことです。
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