木・うんちく

木材と人間の関わりを考えて思うままに・・・

126. 人工木材(合成木材・樹脂木材)の欠点その4:熱くなる(冷たくなる)

2016-12-20 10:28:44 | ウッドデッキ


ものが熱くなるかどうかは熱伝導率で決まりますが、
この熱伝導率は木材の場合比重で決まります。

合成木材の場合、素材そのものの比重はおおむねが1.3ぐらい。
これがデッキ用木材でも重い部類のハードウッドの場合は比重が1ぐらいです。
これが軽いレッドシダーになると0.35ですから、

夏場一番熱くなるのは合成木材と言うことになります。
もちろん、塗装している色が黒いとレッドシダーでも太陽の熱を吸収しやすくなり熱くはなりますから、
表面温度だけの比較では分からないところがありますが、素材の中に蓄積されている熱で言うと、
合成木材は圧倒的に「熱のかたまり」です。

体感的に言うと、
夏に合成木材の施工をしていると、フライパンの上で仕事をしているような気になります。
当然裸足では火傷しますし、靴下だけでは熱くてちょっとの間の作業しかできません。

この欠点についてはどの合成木材のメーカーも
「夏場は火傷しますから裸足では歩かないで下さい。」と記載していますし、
設置された一般のお客様もすぐに気づかれることですので、
合成木材の欠点として一番認識されているところです。

・・・しかし、この欠点はそんなに大きな問題ではありません。

夏場のプールサイドやビーチを考えて頂ければ分かりますが、
これらの温度も裸足では火傷するぐらいに熱くなりますが、
やけどするまで立っている人はいません。

それよりも物理的な問題として熱くなることによって熱膨張して変形したり、
強度不足になって割れたりすることの方が問題です。
また、一般の方が重要視する木材の雰囲気のために色あせのないものを希望して設置したつもりが、
確かに色あせはないものの、薄汚れてデッキの上でくつろごうと言う気にならない・・・。

と言うことの方が問題であると思っています。
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125. 人工木材(合成木材・樹脂木材)の欠点その3:強度がない

2016-12-19 12:26:39 | ウッドデッキ


合成木材の素材は重量的には建築で使われるヒノキの材料と比較すると2倍以上の重さがありますが、
木材のように繊維がありませんので、重い割には強度的には弱くなります。

そのため強度をアップするために、中を空洞にしてデッキとして使えるようにしていますが、
何か硬いものが当たったりすると割れてしまいます。





また、素材の膨張収縮があったりすると、
ビスの周りの強度が不足して割れてしまうことになります。


これらを解決するたに、中空のデッキ材の中に発泡性の樹脂をつめたりして強度を上げる工夫をされているメーカーもありますが、そうするとまた、別の欠点が発生します。

理解すべきは、木材が欠点があるのと同様に合成木材にも欠点があり、
すべてのデッキを合成木材にすることは無理があると言うことです。

ムクの木材と比較して合成木材の方が優れている「ひび割れがない、とげがささらない」
と言うことを何よりも優先する幼稚園や遊園地には適合した商品ですが、
強度面から言うと、多くの人がどんな使い方をするか分からないような公園等には使うべきではありません。
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124. 人工木材(合成木材・樹脂木材)の欠点その2:汚れる

2016-12-19 10:50:22 | ウッドデッキ
合成木材(人工木材)は本物の木材と比べて色あせが少ないと言う長所があります。
そのため施工する業者にとってはクレームがなく良い商品なのですが、・・・

これが数年経過すると何とも汚くなってきます。



原因は、合成木材が完全なプラスチックではなく木粉と半々に混ぜて作っている関係で
(そのため木材の雰囲気も出ます)、
多孔質で吸水性があり、汚れが染み付いてしまうことと、
プラスチックが半分ですので静電気でゴミを吸着し、
余計に汚くなってくるからです。

そのため、数年経過すると木材のように色あせてもそれなりの風情あるものと、
写真で撮ると綺麗だが近くで見ると薄汚れたものとを比較すると、
デッキとしてどちらを選ぶかと言われると本物の木材の方が良いと言うことになります。



しかし施工業者にとってはこの汚れると言うのはクレームにはなりませんので、
販売上は合成木材を勧める方がベターと言うことになります。

合成木材も色んな欠点はありますが、
住宅に使う場合は、この欠点が問題があるのではないかと思います。
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123. 人工木材(合成木材・樹脂木材)の欠点その1:変形するその2

2016-12-16 18:01:10 | ウッドデッキ


これは会社の近くのハイキング道の入り口の手摺です。

木材であれば、手摺の横木として全く問題のないところですが、
合成木材は、木材のように繊維がありませんので、支えがないと日照による熱で段々変形してきます。

合成木材は一般の木材にはない長所(ささくれやひび割れがない)がありますが、
この2点以外は高耐久の木材と比べると欠点の方が多いと言う素材ですから、
使う場所とを使い方を合成木材に合わせた使い方をする必要があります。

この施工例だと、スパンを飛ばさずに、柱の本数を増やすか、
もしくは柱のみを合成木材にして、横木はムクの木材にするか
等の方策をすべきだったと思いますが、
恐らく、採用された時は、売り込むメーカー側にも欠点の認識がなかったのだと思います。
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122. 人工木材(合成木材・樹脂木材)の欠点その1:変形する

2016-12-15 14:14:26 | ウッドデッキ


これは社内で在庫していた合成木材(人工木材)です。

両方とも同じ材料ですが、
奥の短い材料は2本を結束して、ちゃんと保管していたので、曲がっていませんが、
手前の長い床板は単に立てていただけで、支持する部分がない状態でしたので、
何もしていないのに、このように曲がってしまいました。

しかし実際にこの材で施工する時は元に曲げながら施工しますので、トラブルにはならないのですが、
問題は設置後に曲がった場合は、補正ができないと言うことです。

つまりデッキの床板の場合、一旦設置してしまうと常に上からの荷重がかかりますので、
合成木材の場合は、大なり小なりこのように曲がってしまい、もとに戻ることがありません。

木材の場合は繊維が長いので、設置した後、荷重で曲がってくると言うことはないのですが
(スパンを3mぐらい飛ばすと曲がりますが)、
合成木材の場合は木材の時よりも根太と根太の間をずっと小さくしないと、このような欠点が出てきます。

そのため、設置して数年経過すると、合成木材特有の汚れと相まって、みすぼらしくなってきます。

これら合成木材の欠点は(色あせの汚さ、強度的に弱いこと、夏は裸足だと火傷するぐらい熱くなること)
弊社が受注する時は必ずお客様に説明しますが(木材の場合もそれぞれの材種の欠点を説明します)、

一般的にエクステリア業者さんはお客様に、
材料の長所は説明されていますが、
欠点を説明されることが少なく、
またエクステリア業者さん自体もご存知ないケースが多いのが実情です。
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