木・うんちく

木材と人間の関わりを考えて思うままに・・・

207.新人教育(木材の知識基本編):木材を腐らないようにする。その2

2019-01-22 14:56:29 | ウッドデッキ
木材を腐らないようにするには、
腐朽菌が繁殖しないようにすれば良いのですが、そのためには
水が滞留しないようにしなければなりません。
そのためには柱の頂上部を斜めにして、水が流れ落ちるようにしますが、
意匠上、どうしても斜めにできない時は、金属等のキャップをつけて雨がかからないようにするか、もしくは、
それができない場合は、樹脂等で頂上部を塗装します。しかし、これは本来は完全なものではありません
(木がひび割れるとそこから水が入りますから)
しかし、しないよりはましの一つの方法ではあります。


屋外に設置した柱が腐りやすいのは地面と柱が接する部分です。そのため、これも意匠上は良くないかもしれませんが、
地面より上にコンクリートを出して、柱と地際の部分に水が滞留しないようにすることです。
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206.新人教育(木材の知識基本編):木材を腐らないようにする。その1

2019-01-18 13:57:39 | ウッドデッキ
木材は水が滞留しなければ腐りません。

そのための工夫が外国で当たり前のようにされていますが、
日本では屋外での木材施設の施工に慣れていないところがあり、
欧米ほど、その工夫はされていないところがあります。

下記の写真はアメリカの屋根付きの橋です。
昔「マディソン郡の橋」と言う、屋根付きの橋を撮影しているカメラマンと地元の既婚女性との恋愛映画がありましたが、これがその舞台の橋です。
このような橋がアメリカに多いのは、アメリカの郡部では、自分たちでやろうと言う意識が強く、コンクリートや鉄骨で橋を作るよりも木が作った方が安くて簡単。
でも腐ったら困る。
それでは橋に屋根をつけてしまおうと言う発想からです。


この橋のように屋根をつけて、水がかからないようにすれば、
木が腐らないようにする方策としてはベストですが、
水がかかってもすぐに流れ落ちるようにすれば、やはり木材は腐りません。

かくてこの柱のように頂上部に傾斜をつけて水が流れ落ちるようにします。
欧米に行くと、屋外に設置する柱にはまず、何らかの傾斜をつけて水が流れ落ちるようにしています。


その横の板材は、弊社が大阪府の自然公園のデッキに使っている床板です。
防腐処理もされていますが、あらかじめ、このように上の面をアールを取ることで、
水が流れ落ち、耐久がアップすると共に、
先のブログで説明のように木は乾燥すると木表側に反りますから、
あらかじめその反りを見込んでアールをつけておくと、
年数が経過するとわずかに傾斜しているだけで見た目も綺麗なデッキ材になります。

水が滞留しなければ木材の耐久性は2倍以上アップしますし、
水がかからなければ木材は腐りません。
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205.新人教育(木材の知識基本編):木材の構造と乾燥その3

2019-01-15 17:35:38 | ウッドデッキ

先に説明のように木材は乾燥すると細胞が変形して収縮します。
この時にどの方向も均等に収縮すれば問題ないのですが、
年輪方向は直径方向よりも2倍収縮します。
(樹木が一体になるように常にテンションをかけながら、木は年輪を増やして成長しますので)
これがために、芯持ちの丸太は乾燥すると必ず割れますし、
板材にすると、木表側にカップ反りするか、
もしくは木表側はひび割れて、そのつじつまを合わせようとします。
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204.新人教育(木材の知識基本編):木材の構造と乾燥その2

2019-01-12 17:19:01 | ウッドデッキ

木材の含水率は、その中に含まれている水の重さを絶乾状態の木の重さで割った比率で表します。
(食塩水の濃度のように含水率の上限は100%と言うことはありません)
例えば、国産の杉であれば、立木の時はこの図ように、水が細胞の中に一杯ある状態であれば、
含水率は200%を超えます。

木材の細胞はパイプ状の構造をしていますが、生木の時は上図のように水は細胞のパイプの中に一杯たまっています。
これを自由水と言いますが、ここから乾燥をしていくと、このパイプの中の水が抜けていきます。そして含水率が25%~30%の時点で、
次の図のようにパイプの中の水が完全になくなった状態になります。この状態を繊維飽和点と言い、
これを境に木材の性質が変わります。



この繊維飽和点の含水率でも生木の状態に比べるとかなり乾燥していますから、これで加工ができると思われると大間違いです。
この状態からさらに乾燥をすると、こんどは、細胞壁自体の中の水が抜けていきます。
つまり細胞と言うパイプそのものの中の水(結合水と呼ばれます)が抜けていきます。
すると、細胞の結合水が抜けたことにより変形収縮します。
そのため、これが木材の割れや反りになります。



含水率が15%程度になった時。つまり廻りの湿気との兼ね合いで、つり合いが取れた状態を平衡含水率と言います。
これは同じ木材でも日本と外国では湿度が異なるので、この平衡含水率も変わります。

空調のない住宅では、天然乾燥された木材を使って住宅内装や家具に加工しても問題なかったのですが、
空調がきいていると乾燥はさらに進み、木材の含水率は10%ぐらいまで下がります。
と言うことは日本で100年天然乾燥させた木材でも、室内にもってくると、
さらに乾燥してひび割れや反り・曲がりが発生します。
そのため、室内用に使う木材は、人工乾燥をしてわざと自然状態よりも低い含水率にする必要があります。
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203.新人教育(木材の知識基本編):木材の構造と乾燥その1

2019-01-11 14:48:54 | ウッドデッキ

これは木材を輪切りにした断面です。
誰でも知っているように木材には年輪があります。
年輪があるかどうかは、木材の成長にとって必要な太陽光線と水があるかないかで決まります。
つまり常時水があり、太陽光線がある場合、木は年輪を作りません(作る必要がありません)。

この年輪の内、木目の薄い色の部分は春に成長します(春は水も太陽光もありますから大きく成長します)。
この年輪の濃い色の部分は夏の成長の部分です(夏は太陽光はありますが、水がありませんので)。
よく勘違いされて年輪の堅くて濃い堅部分は冬に成長しているところと勘違いされている方が多いですが、
秋と冬は木は成長しません(太陽光がありませんので)。


木の周りの白いところは辺材と呼ばれますが、この部分が細胞としては生きていて、養分や水分の通り道になっています。
この程度の丸太であれば、若い木ですので、辺材部分の比率は割とありますが、
丸太が大きくなると、辺材部分はまさに廻りだけですので、辺材の比率はずっと小さくなります。

中の色がついているところは心材と言い、ここは木材が腐朽菌から身を守るために、毒をため込んだ部分です。
(この毒の部分は木の味わいのある色ですが、人によってはアレルギーを生じさせます)
水も養分も通しません。つまり細胞としては死んでいます。
ですから、木の中で心材は腐りにくいと言うことになり、辺材はこれら毒物が入っていないので、すぐに腐ります。

しかし、加圧防腐処理をすると、何も詰まっていない辺材は防腐剤が中まで完全に入るので、腐りにくくなります。
反面、心材は細胞の中が詰まっているので、防腐剤を注入することができず、加圧防腐された辺材と比較すると
今度は心材の方が腐りやすいと言うことになります。
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