新国立劇場で歌劇「アイーダ」を観てきた。座席はC席、4階の中央よりやや左側、一番後ろの席、値段は高齢者割引で10,450円でちょっと高め。C席は一番後ろの方がかえって舞台がよく見える気がする。平日の昼間なので来ている客はシニア中心だが若い人、特に女性も少し目立った。人気の演目だからか。
『アイーダ』は1871年12月24日、カイロ劇場で初演、1998年に新国立劇場開場記念公演としてフランコ・ゼッフィレッリを演出に招いて制作したプロダクションで、以降節目の年に再演を繰り返してる。『アイーダ』はヴェルディ後期の大作で、スエズ運河開通を記念し建設されたカイロ歌劇場で初演された。
あらすじは
【第1幕】
エジプト軍の将軍ラダメスは、王女アムネリスに仕える奴隷アイーダを敵国エチオピアの王女と知らず愛し合う。ラダメスはエチオピア征伐軍総司令官に任命される。アイーダはラダメスと祖国エチオピアへの想いの間で苦しむ。ラダメスが「清きアイーダ」、アイーダが「勝ちて帰れ」を歌う。
【第2幕】
ラダメスを愛しているアムネリスはアイーダにラダメスは戦死したと嘘を言う、アイーダの動揺を見て嫉妬する。エジプトが軍が凱旋。有名な「凱旋行進曲が」が流れる。捕虜の中にアイーダの父エチオピア国王の身分を隠したアモナズロがいる。エジプト王は戦勝の報奨としてラダメスにアムネリスとの結婚を命じる。
【第3幕】
夜のナイル河畔に、アイーダがラダメスと密会、父アモナズロが現れて祖国のためにラダメスから軍事機密を聞き出すよう命令。アイーダに情報を流したラダメスは謀反人として投獄される。アイーダの「おお、わが故郷」が歌われる。
【第4幕】
アムネリスは自分を愛せば命を救うとラダメスに迫るが、彼は応じず、やがて裁判で死刑宣告。地下牢でラダメスの前にアイーダが現われ、二人は永遠の愛を誓いながら死を待つ。アイーダとラダメスの二重唱「運命の岩がとざされた」が歌われる。地上ではアムネリスが死者の冥福を祈る。
鑑賞しての感想
- 全4幕で休憩時間が1幕毎にあった、それぞれの幕が1時間以内などで休憩は2幕目が終わったところで1回取れば十分な気がするが、何か舞台設定上の理由があったのだろうか、ワーグナーのオペラなどもっと長いものは多くあるが、どうも最近は集中力が持続しなくなっているので4時間近くになると辛い
- 一番の見せ場は2幕目のエジプト軍の凱旋行進だが、あまりに派手に大人数でやり過ぎなのではないか、どうもビジネスマン経験が長いと、こんなに出演者が多くなるとチケット代を少々高くしても出演者等に十分な給与が出せないのではないか、などと心配してしまう、映画でも大人数の大きなロケで戦争場面などを作る場合も少なくないが、あまり好きになれない。
- ヴェルディーの音楽がそんなに好きなわけではないが1幕目や2幕目のような派手目なストーリー・演出の時はそれなりに楽しめる音楽だ、ただ批判的に言うならば、やかましい音楽だと感じる。やたらうるさい、レクイエムでも途中で非常に大きな音の演奏がされるが、如何なものかと感じてしまう。
- バレエの椿姫はジョン・ノイマイヤーが振付けをした作品だが、音楽はベルディーの音楽は使わずショパンの音楽を使った。繊細さと甘美さを重視し、自分の振付けにはベルディーの音楽は合わないと考えたのだ。だからベルディーの音楽が劣ると言っているわけではない。
- 記憶は曖昧だが、映画「アマデウス」でモーツアルトが宮殿で皇帝に謁見し、楽長のサリエリから何か作曲するなら当時ヨーロッパで主流だったイタリア流の作品を作れといわれた時、モーツアルトは「あんな音楽はうるさいだけのもので自分はもっと素晴らしい作品ができます」と言った。もちろん、ベルティーはモーツアルトより後の作曲家だから彼のことを言ったわけではない。モーツアルトが作曲したらどんな音楽になるだろうと考えてみるのも楽しい。
- 2幕目までの派手な音楽の後、3幕目、4幕目は一転して静かな音楽となるのはストーリーからして当然なのだが、終幕までずっとそんな基調が続くのが前半と対照的である。最後のフィナーレくらいは盛り上がる音楽で終わってほしいと思うが。
- セレーナ・ファルノッキア、ロベルト・アロニカ、アイリーン・ロバーツらの主役級はいずれも素晴らしい歌唱力であった。
【指 揮】カルロ・リッツィ(62、伊)
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
【演出・美術・衣裳】フランコ・ゼッフィレッリ(2019年、91才没、伊)
【再演演出】粟國 淳
【舞台監督】斉藤美穂
【アイーダ、エチオピア王女】セレーナ・ファルノッキア(50、伊)
【ラダメス、エジプト将軍】ロベルト・アロニカ(伊、テノール、新国立初登場)
【アムネリス、エジプト王娘】アイリーン・ロバーツ(40、米、メゾソプラノ、新国立初登場)、ユディット・クタージから変更
【エジプト国王】伊藤貴之(バス)
【アモナズロ、エチオピア王】須藤慎吾(バリトン)、フランコ・ヴァッサーロから変更
【ランフィス、司祭長】妻屋秀和(バス)
【伝令】村上敏明(テノール)
【巫女】十合翔子
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