映画「オークション、盗まれたエゴン・シーレ」を観た、2023年、91分、フランス、原題Le tableau vole(絵は飛ぶ)、監督パスカル・ボニゼール
パリのオークションハウスで働く競売人アンドレ・マッソン(アレックス・ルッツ、1978、仏)は、1939年に失踪したエゴン・シーレの絵(ひまわりを描いた風景画)が工業都市ミュルーズの労働者の家にあるので鑑定してほしいという手紙を受け取り、興味をそそられる、それは先の大戦でナチスに略奪され長らく行方不明となっていた作品、元妻で相棒のベルティナ(レア・ドリュッケール)とともにミュルーズにある化学工場に勤める青年マルタン(アルカディ・ラデフ)と未亡人の母が2人で暮らす家を訪れた、現物を見てシーレの傑作であることを確信し、風変わりな研修生のオーロール(ルイーズ・シュビヨット、Louise Chevillotte)に助けられながらオークションで高値で売ろうとするが・・・
この映画は実話がベースになっている、第二次世界大戦中に略奪され、最近になって再発見されたエゴン・シーレの絵が、思いがけない発見と鑑定人やオークション会社の対決のきっかけとなる話
鑑賞した感想を書いてみよう(ネタバレあり)
- 久しぶりに観たフランス映画だったが、良い映画だった、ただ、途中で眠くなってしまい、ところどころ観てない部分があるので正確なストーリーは把握できていない、最近これが多いので弱っている、ガムを持っていくのを忘れたのが痛い
- ストーリーが実話をもとにしているが、人間模様についてはフィクションである、どこまでが実話かわからないが、主役のマッソンは初めはあまり好きになれなかったが、だんだんと応援したくなってきた、彼は一流の衣服を身にまとい、高級車を乗り回す一見スノッブで鼻持ちならない人物であるため女性研修生とうまくいかないが、実は自己抑制の効いた熱血漢であることがだんだんわかってくる
- 彼のもとで働く研修生の女性オーロールが一つの大事な役割をこの映画では果たしている、最初はマッソンと衝突して、マッソンの人間性に嫌気をさして退職を申し出るが、最後はマッソンを応援することになる、その理由が良く分からなかった、そして、彼女はマッソンにこの映画のキモとなる重要な情報をもたらす、これもなぜ彼女がその情報を把握したのかがわからなかった
- そして何よりも最後にこの映画で感動したのは、絵画を保有していた青年マルタンの生きざまである、それまで慎ましい生活を営んでいた工場労働者の青年が多額の金を手に入れれば生活が一変し、人生を狂わしかねないのに、金は母親に家を買ってあげたことと自分のエレキギターを一つ買うのに使っただけで、あとは手をつけず工場労働者として以前と変わらない生活を続け、多額の金を手に入れたことは工場の同僚にも話していない、と最後のテロップに出るのである、素晴らしいことだ、自分が想定外の金を手に入れてもそうありたいと思うような生き方だ
絵画をめぐる物語を映画にした「黄金のアデーレ 名画の帰還」を以前観たことがあり、良い映画だと思った、今回の映画も絵画がらみで楽しめた、よくわからない点があったのでもう一度観ても良いと思った
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