池袋の新文芸座で「ペルシャン・レッスン」(2020年、ロシア・独・ベラルーシ、監督ヴァディム・パールマン)を観た。新文芸座は改装のため休業していたのでしばらく行ってなかったが改装後初めて行った。ロビーのレイアウトが大きく変っており、良くなった、明るくて良い雰囲気になった。映写室内もシートも立派になったような気がするし、スクリーンも大きくなったような気がする。高級感が出てきた感じで好感が持てた。値段は1本観てシニア1,100円。
今日の映画はドイツとロシアとベラルーシという今となっては異色の組み合わせの映画で、しかも戦争映画だ。2020年の映画だからまだウクライナ戦争前だ。この映画の監督はウクライナ生まれの人だ。ドイツの映画はやはりナチスものが多いと感じているが、今回の映画もナチスものだ。ナチスものは悲惨な話が多いのであまり観る気がしないのだが、レビューの評価がまあまあなため見てみようと思った。
ストーリーは(ネタバレ)、ナチに捉えられたユダヤ人が森の中に連れて行かれ、銃で射殺される、もうダメだと思った直前、1人のユダヤ人ジルが撃たれたふりをして倒れた、それを見破られると言い逃れとしておれはペルシャ人だと言う。上司のコッホ大尉からペルシャ人は殺さずに捉えろと言われていたので大尉のところに連れて行くと、大尉はペルシャ語を教えろと言う、ペルシャ語など本当は何もわからないため、処刑者のリストを見ながら適当なペルシャ語をでっち上げてレッスンする、この大尉の夢は戦後、兄弟のいるテヘランで料理店をすることである、連合国が攻めてきて現地を撤退するタイミングでイランに逃走したが、入国審査の時に自分が習っていたのはいい加減なペルシャ語であることがバレてとられられ、偽ペルシャ人は生き延びてナチの殺害を告白する、というもの。
この映画の主役は偽ペルシャ人のユダヤ人だが、もう1人の主役とでも言って良いのがこの大尉だ。映画ではこの大尉も含めた将校たちが現場の悲惨さなど無いがごとく酒や食事を満喫し、虎の威を借りてユダヤ人たちに対して残虐に、居丈高に振る舞う小人物ぶりがいやというほど映される。組織の命令とあらばこうまで下劣な行為をするのが人間だ、と思わせる、ナチスものの一つの教訓なのだろう、本映画もその点、例外ではない。人間の愚かさだろう。この映画は実話に基づくとも説明があった。
出演
ナウエル・ペレーズ・ビスカヤート(37、アルゼンチン):ジル(ユダヤ人、偽ペルシャ人)
ラース・アイディンガー(47、独):コッホ大尉