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ストレスのない生活を楽しむシニア

映画「ペルシャン・レッスン 戦場の教室」を観る

2023年04月07日 | 映画

池袋の新文芸座で「ペルシャン・レッスン」(2020年、ロシア・独・ベラルーシ、監督ヴァディム・パールマン)を観た。新文芸座は改装のため休業していたのでしばらく行ってなかったが改装後初めて行った。ロビーのレイアウトが大きく変っており、良くなった、明るくて良い雰囲気になった。映写室内もシートも立派になったような気がするし、スクリーンも大きくなったような気がする。高級感が出てきた感じで好感が持てた。値段は1本観てシニア1,100円。

今日の映画はドイツとロシアとベラルーシという今となっては異色の組み合わせの映画で、しかも戦争映画だ。2020年の映画だからまだウクライナ戦争前だ。この映画の監督はウクライナ生まれの人だ。ドイツの映画はやはりナチスものが多いと感じているが、今回の映画もナチスものだ。ナチスものは悲惨な話が多いのであまり観る気がしないのだが、レビューの評価がまあまあなため見てみようと思った。

ストーリーは(ネタバレ)、ナチに捉えられたユダヤ人が森の中に連れて行かれ、銃で射殺される、もうダメだと思った直前、1人のユダヤ人ジルが撃たれたふりをして倒れた、それを見破られると言い逃れとしておれはペルシャ人だと言う。上司のコッホ大尉からペルシャ人は殺さずに捉えろと言われていたので大尉のところに連れて行くと、大尉はペルシャ語を教えろと言う、ペルシャ語など本当は何もわからないため、処刑者のリストを見ながら適当なペルシャ語をでっち上げてレッスンする、この大尉の夢は戦後、兄弟のいるテヘランで料理店をすることである、連合国が攻めてきて現地を撤退するタイミングでイランに逃走したが、入国審査の時に自分が習っていたのはいい加減なペルシャ語であることがバレてとられられ、偽ペルシャ人は生き延びてナチの殺害を告白する、というもの。

この映画の主役は偽ペルシャ人のユダヤ人だが、もう1人の主役とでも言って良いのがこの大尉だ。映画ではこの大尉も含めた将校たちが現場の悲惨さなど無いがごとく酒や食事を満喫し、虎の威を借りてユダヤ人たちに対して残虐に、居丈高に振る舞う小人物ぶりがいやというほど映される。組織の命令とあらばこうまで下劣な行為をするのが人間だ、と思わせる、ナチスものの一つの教訓なのだろう、本映画もその点、例外ではない。人間の愚かさだろう。この映画は実話に基づくとも説明があった。

出演

ナウエル・ペレーズ・ビスカヤート(37、アルゼンチン):ジル(ユダヤ人、偽ペルシャ人)
ラース・アイディンガー(47、独):コッホ大尉


映画「僕たちは希望のいう名の電車に乗った」を観る

2023年04月06日 | 映画

ロシアによるウクライナ侵略に関連して過去のロシア、ソ連の恐ろしい悪行の歴史が再確認されているが、1956年に起きたハンガリー動乱もその一つだろう。そのハンガリー動乱に影響された東ドイツ側の高校生たちの行動と葛藤を描いた映画「僕たちは希望のいう名の電車に乗った」(2018年、独、ラース・クラウメ監督)を自宅で観た。原語のタイトルを直訳すると「静かなる革命」(THE SILENT REVOLUTION)となる。

戦後、ドイツが東西に分割されソ連と西側諸国で分断統治された時代、まだ、ベルリンの壁ができる1961年より前の1956年、西側の飛び地ベルリンは一時東側により封鎖されていたが、この頃封鎖は解除され東西の行き来は電車でできた。そんなとき、東側の高校生2人が電車でベルリンにある祖父の墓参りに行き、そこでハンガリー動乱のニュースを聞き驚く、ハンガリー民衆が勝利しそうな雰囲気だったからだ。

東側に戻り、学校の教室で生徒たちにその話をし、西側のラジオが聞ける生徒のおじさんの家に集まり情報収集をすると、ソ連が再び侵略を開始してハンガリー側に多くの犠牲者が出たことを知り愕然とする、そして、ある日、教室で授業が開始される前にハンガリー民族の犠牲者を悼んで授業の最初の2分間黙祷を捧げようとなり、それを実行すると、それが反革命分子の行動になるとされ、学校内だけでなく教育大臣まで出てきて大問題になり、首謀者捜しが始まる、首謀者が明らかになれば退学、明らかにならなければクラスは閉鎖され全員卒業できなくなり、エリートコースから外れることが決定する、という事態になる、そして仲間割れの可能性、家族に対する当局の圧力、家族からの説得、その他、ありとあらゆる困難な状況に見舞われ、生徒たちはどう行動しらたよいか悩む・・・・・

これは実話に基づくと、冒頭のテロップに流れる。さもありなんと思わせる展開、どうなってしまうのだろうとハラハラドキドキの連続。自分だったらどう判断して行動するか、考えさせられる映画だ。

ハンガリー動乱後もソ連は1968年のチェコのプラハの春の武力弾圧、ロシアになってからの2008年ジョージア侵略、2014年にクリミア半島侵略、2022年ウクライナ侵略と悪辣さをあらわにしている。こんな時期にこの映画を観て、いろんなことを考えるのは有意義であろう。良い映画だった。

出演

レオナルト・シャイヒャー(テオ)
トム・グラメンツ(クルト)
ヨナス・ダスラー(エリック)
ロナルト・ツェアフェルト(テオの父)
ブルクハルト・クラウスナー(国民教育大臣)


「ロイヤルメドウゴルフ倶楽部」でゴルフ

2023年04月05日 | ゴルフ

栃木県芳賀郡のロイヤルメドウゴルフ倶楽部でゴルフをした。まだ桜が満開で楽しめた。何度か来たことがあるコースだが、久しぶりである。

ワングリーンでリモコンカート、コースは石川遼が改造の監修をした、距離もたっぷりあり、グリーンスピードも10ftと早いほうだ。そう極端なアンジュレーションはないがこれだけ早いと傾斜の影響をかなり受ける。アップダウンはほとんどなく、ドッグレッグホールもあまりない。8番ロングホールが一番印象的で、セカンド地点から見るとコースをクリークが横切り、グリーン前まで続いているのでセカンドの正確性が求められる。

バンカーも結構多く、深いバンカーもある。全体的にコースの手入れは良く、グリーンの状態も良い、ハウスもきれいにしており好感が持てる。今日は4月からの新年度の最初の出勤日となっている企業も多いので休みが取りにくいのだろう、コースは空いていた。プレーの進行も良く、ハーフ2時間程度でラウンドできた。

また来たいコースだ。費用は夫婦2人で15,100円だった。

お疲れ様でした。

 


映画「NTLive かもめ」を観る

2023年04月04日 | 映画

池袋のシネ・リーブルで英国ナショナル・シアターの演劇を映画化した「かもめ」を観た。土曜日ということもあって結構客が入っていた、比較的若い人が多かった、文学部の学生かと思われる若い女性たちも目立った。特別料金で3,000円。

作:アントン・チェーホフ
脚本:アーニャ・リース
演出:ジェイミー・ロイド
出演:エミリア・クラーク(36、英)、トム・リース・ハリーズ、ダニエル・モンクス、ソフィー・ウー、インディラ・ヴァルマ(49、英)

「かもめ」はロシアの作家チェーホフの同名の戯曲、イギリスのどこかの劇場(ナショナル・シアターだと思うが)で演じられた舞台劇。原作の「かもめ」は一度読んだことがあったが「桜の園」ほどの印象はなく、あらすじなどもうろ覚えだった。時間は3時間弱と長い。実際の舞台は4幕だが、映画では1幕から3幕までが同じ舞台設定だったので一気に放映して、その後休憩があり、舞台転換の後の第4幕を後半に放映した。

舞台は別荘の一室を想定しているが、何の飾りもない壁に取り囲まれた殺風景な舞台。そこに登場人物が椅子に座り、最初から全員勢揃いして会話をする。これも一つの演出方法だろうが、退屈さは免れない、出演者が台本を持って朗読しているのを聴いているのと大差ない気もした。

ストーリーはとりとめもないもので、劇作家の主人公の青年が別荘の近くに住んだいる若い女優志望の娘に惚れて、振られる、若者は娘に銃で撃たれたかもめを渡し「今に僕はこんなふうに自分を撃ち殺すのさ」と意味深なことを言う、母親は若い人気作家を愛人としているがその作家が息子が惚れてる若い娘と愛し合うようになり結婚する、若者は自殺を試みる、何年かたって若者は売れっ子作家になったところにむかし惚れた若い娘が夫も子供も失って戻って来て「私はかもめ」と言うが・・・・

映画を観た後で、ネットでいろんな説明を読むと、この劇はシェークスピアの「ハムレット」を意識して書かれたものだとか、太宰の「斜陽」にも「かもめ」を意識して書かれている部分があるなどの指摘があった。なるほどそういう部分もあるかもしれない。

この映画で報じられている演劇では、俳優たちはマイクを使っていた、劇場が広い場合、これで良いのではないか、日本の場合、広い劇場でもマイクを使わず、俳優たちが大きな声で怒鳴っているような発声で演技をしているケースも多いように思える、マイクを使い普段の会話のように話した方が良いと思うのだがどうであろうか。

さて、3時間にもなる映画を観るときは事前に綿密な予習が欠かせないなと思ったが、それにしても自分にはあまり迫ってこなかったな、というのが感想である。

 


「京都南座吉例顔見世興行 女殺油地獄」を観る

2023年04月03日 | 歌舞伎

テレビで放映されていた令和4年12月の京都南座吉例顔見世興行、近松門左衛門作「女殺油地獄」(おんなごろしあぶらのじごく)を観た。実はこの顔見世興行、私も観に行ったが観たのは別の演目だった。

この作品は人形浄瑠璃で初演され、歌舞伎でも上演されたが評判が良くなかった、明治42年に再演され大絶賛された、江戸時代享保年間、大阪中を震え上がらせた殺人事件がベースになっているが詳細はわかっていないそうだ。

主人公の与兵衛は片岡仁左衛門の当たり役で平成21年、仁左衛門が65才の時、一世一代の舞台を務めるとあとは多くの役者が挑戦している役で、今回は愛之助が演ずる。

簡単なストーリーは、大阪天満の油屋のバカ息子河内屋与兵衛が放蕩をしつくし、親をも足蹴にする有り様となる、遊び金の借金の取り立てに追われ、同業の油屋豊嶋屋の女房お吉に金を無心して断られると、ついに金ほしさにお吉を殺してしまう、というもの。

複雑な家庭環境、放蕩息子とその息子に対する親の情愛、息子の狂気などを描く人情もの。最後のお吉の殺害場面での修羅場が一番の見所。油まみれになりながら逃げまわるお吉に襲いかかる与平衛、舞台の上にも油に見立てた液体がビシャビシャと飛び散る様は迫力がある。

愛之助は与平衛を良く演じていたと思う。仁左衛門の与平衛も観たことがあるが、私の考えは普段の学者然としたイメージの仁左衛門にはこのような放蕩息子の役は似合わないというものだが、愛之助はインテリのイメージはなく、どこが愛嬌のあるところもあるので、このような役はぴったりはまると思った。

配役は

母)おさわ   中村
義父)河内屋徳兵衛 嵐橘三郎(番頭上がり)
河内屋与兵衛  愛之助
兄太兵衛    中村
妹おかち    千之助
山本森右衛門(おさわの兄)  松之助
芸者小菊    壱太郎


豊嶋屋七左衛門 片岡進之介
お吉      孝太郎

小栗八弥    鷹之資
口入小兵衛   市村橘太郎


再度「焼き鳥丼」に挑戦する

2023年04月02日 | グルメ

吉祥寺に行く用事があったのでまた南口のいせや総本店に寄って焼き鳥を買って帰り、家で焼き鳥丼を作ってみた。前回は野菜がなかったので、今回はネギ串も買った。焼き鳥7本で850円。1本100円だが手羽先が250円する。

どんぶりにご飯をよそり、刻みのりと鶏そぼろをかける、その上に電子レンジで温めた串から外した焼き鳥をのせる、その上に焼き鳥のタレを少しかければ完成だ。

2回目だったので前回よりはうまくできた。大変おいしかった。客に出せば1,200円くらいは取れるかな。


学士会館「旬菜寿司割烹 二色」で昼食をとる

2023年04月01日 | グルメ

国立近代美術館で展覧会を見た後、近くで食事と思い、学士会館内の「二色」という和食の店に行った。学士会館の1階は誰でも入れ、レストランが3,4軒入っている。ランチタイムはリーズナブルな値段設定になっているので入りやすい。学士会館のビルは昭和3年に完成した西洋建築で非常に趣のある歴史的建造物だ、平成15年には国の有形文化財に指定されたとのこと。丸ノ内の日本工業倶楽部のような趣の重厚な建物だ。

入った店は寿司屋だが和食も出しているようだ、店に入ると板前の前のカウンター席に案内された、店内はカウンター席も含めスペースに余裕のある配置であり、高級感がある。メニューの中からお寿司をたのもうかと考えたが天ぷら定食1,550円にした。

天ぷら定食は、衣の色が白に近い薄い色で、自分の好みはこの逆でごま油で少し濃い色をした衣が好きなのであるが、食べてみたらおいしかった。かき揚げがついていたが、これもこの店独特の仕上げになっていて自分の好みにはちょっと合わなかったが合格点ではある。

店内は落ち着いており、ゆっくりくつろげる雰囲気であり、客層も良い感じだ。予約しています、と言って入ってくる客も多かったが自分が店を出るときもまだ席が余っていたので予約なしでも大丈夫だ。

最後にシャーベットが出てきて、すっきりした。ごちそう様でした。

 


国立近代美術館「重要文化財の秘密」展を観る

2023年04月01日 | 美術館・博物館

国立近代美術館の企画展「重要文化財の秘密」展に行ってきた。改装のためか一時閉鎖されていた国立近代美術館が再開され、初の展覧会だ。事前予約で1,800円で、企画展と常設展示が観られる。

観た絵画の中で特に印象に残った絵について、その一部を書いてみる

  • 菱田早春「王昭君」・・・自分を描く絵師に賄賂を渡さなかったため醜く描かれ、匈奴への貢ぎ物とされた王昭君の引渡しの時、美人の王昭君を王が初めて見て後悔する逸話、悲しむ王昭君と側近女性を描いた絵
  • 百福百穂「豫譲」・・・自分か仕える王を殺害した者を物陰に隠れていざ討とうとする瞬間を描いた絵
  • 鏑木清方「築地明石町」、「新富町」、「浜町河岸」・・・美しい絵、江戸の風物を描く
  • 和田三造「南風」・・・ジェリコーの「メデュース号の筏」を思い出す(写真参照)
  • 萬鉄五郎「裸体美人」・・・解説にゴッホとマチスの影響があると書かれていたがまさにその通り、ゴッホのタッチとマチスの色彩、その両方を描いた絵だ、素晴らしい(写真参照)
  • パウル・クレーの絵・・・所蔵作品展にクレーの特集をしたコーナーがあり、新収蔵作品「黄色の中の思考」をはじめ多くの絵が展示されているが、その色彩感覚が素晴らし(写真参照)

全体的な感想

  • 最近しばらく来てなかったから以前はどうだったか知らないが、展示室内は原則撮影自由となっていた。これは有難い、他の美術館もファンサービスの観点から同じ扱いにしてもらいたい。
  • 1,800円で企画展から常設展示まで、4階から2階まですべての展示室が観られる、今日は約2時間で全部見たが、疲れた。午前中に行ったが、昼食を食べて午後から見た方が体力的には良いかもしれない、最後の方は疲れてどうでも良くなった。1時間見ただけでもなぜか美術館というのは疲れる、同じ1時間でも散歩ではそんなに疲れないのに不思議だ。とにかく圧倒される量の素晴らし作品群の展示であり、1,800円は安いと言えよう、しっかり腹ごしらえしてからじっくり時間をかけて見るべきだと感じた
  • 今日は比較的空いているように見えた、よってそれぞれの絵をゆっくり観られたのは良かった、また、館内もかなり広いのでゆったり観られたのは良かった。来てる客層は老若男女、多岐にわたっていた
  • 美術館の展示で常々不満に思っていたのはそれぞれの絵に作者名やちょっとした解説が書いてあるプレートが表示されているのだが、文字が小さく、かつ、館内も薄暗いので非常に読みづらい点だ、特に近視の人は。ところが今回の展示では、比較的読みやすい文字の大きさ、プレートの作成の仕方、照明、そして幅広の絵では絵の左右の両端に同じプレートがあり一カ所に客が集中せずに流れが非常に良かった。良く工夫していると思った。
  • 常設展示室では重要文化財に選ばれた作品を書いた作家の別の作品を展示している、面白い展示だ、中には重文より優れているとか人気があるという作品あるとの説明だ

いろんな面で関係者の創意工夫がなされており、かつ、展示作品の内容的にも十分行く価値がある展覧会だと感じた。