アメリカのプロ野球 メジャー・リーグにおいて、弱小チーム、貧乏球団と言われていたオークランド・アスレチックスでは、せっかくいい選手を育ててきても、FA(フリー・エージェント)制度により、選手との契約金に大金を使える強豪チームに引き抜かれてしまう。そこで一般的には「使えない」とか「もうピークを過ぎた」と言われるような選手たちを、独自の理論に基づいて集め、監督さえも無謀だと言う寄せ集めチームを率いて、大金でスター選手を抱え込んだ強豪チームに挑むストーリー。
結果は、公式戦20連勝という記録的偉業を達成する!!
一方で悲願のアメリカン・リーグ優勝やワールドシリーズでの優勝はならず、苦闘中。
ストーリーはほぼ実話で、オークランド・アスレチックスのGM(ゼネラル・マネージャー)ビリー・ビーン(主人公)が採用した統計データを重視した独自の分析システムは、2003年「MONEYBALL」という名前で書籍化され、べストセラーになっている。
既存のやり方にとらわれず、新しいやり方にかける
金権的な既存の権威に果敢に挑む
というところは、自分も大いに共感するところで、こういうのは大好きだ。アメリカで言えばヤンキース、日本で言えば読売(一般的には巨人と呼ばれている)のような球団は、よって好みに合わないので応援していない。だからこの「MONEYBALL」はとても痛快なストーリーで、オススメ!!って、そんなに単純な話しではありません。
ちょっと困惑したのはやはり日米の仕事の進め方の違い。主人公のビリーの仕事の進め方、電話の対応などがあまりにもビジネスライクに描かれていて、自分としては感情移入できなかった。電話で、選手をモノのように扱い、値踏みしたり、売買(トレードというより売買って感じ)したりするのは、どうなんだろう。選手は個人事業者で、社員ではないから、そういうことになるのかもしれないけど、日本ではそういう球団運営はしてほしくないと思ってしまった。もっとも選手の方も、帰属意識は高くなくて、高い契約金額を出してくれる球団があれば、これまで育ててくれた恩とかは置いといてFAでどんどん別の球団に移っていくのだから、どっちこっち言えないのか。もう少しドライじゃない人間関係は築けないものなのか。運命共同体のような組織でのサクセスストーリーは描けないものなのか。そんな風に思っていた。
良きにつけ悪しきにつけ、アメリカンな映画。いかなるビジネスであれ、プロフェッショナルである以上、勝つこと、効率を上げることは当然求められるだろう。その観点から言えば彼らのチャレンジは当然ながら大いに賞賛されるべきだ。一方で今の日本の中小企業の家族経営みたいな感覚は非効率な部分も多く、変えていく必要がありそうだ。ただ、だからといってこういうアメリカンな感じを志向するよりも、もっと日本的な良さを活かした上での効率的な経営に進化させるさるべきと感じた。
ということで、野球の勝ち方を追求してみたい人、野球を通してビジネスのあり方を考えたい人には最適な映画です。
ドラマチックな、かっこいいシーンもあるので、そのあたりも必見です。あと、パンフレット(上の写真)には「MONEYBALL」理論の概要が解説されていて、これ、ビジネスで強烈に参考になります。
藤枝のシネマコンプレックスにて。
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