地元の人とか鉄道マニアの人でないと知らないかも。福井駅から海に向かう三国芦原線。その先には断崖絶壁の東尋坊がある。福井駅から山に向かう勝山永平寺線。勝山市と福井市を結ぶ「通勤・通学の足」としても頼られる存在らしい。この2つの路線からなる えちぜん鉄道 は全長60キロにも満たない典型的なローカル線だ。
一度は廃線の憂き目をみたこのローカル線が復活している。しかもたいていが1両編成でコトコト走る車両に、お客様をもてなすためにアテンダントを配しているという。この本はアテンダントが自分たちの仕事について語っているドキュメントだ。
目次は
第1章 時速50キロの職場
第2章 小さな鉄道の大きな奇跡
第3章 「アンタは要らない」
第4章 仕事は、自分で作るもの
第5章 目配り・気配り
第6章 業務連絡は楽し
第7章 支えてくれる人たち
第8章 笑顔の力
鉄道は好きだし、目次を見ると社員教育の参考になりそうだと思って軽い気持ちで即購入。で、読んでみてびっくりした。
当初は「何でいるの?」みたいに扱われたり、「税金の無駄遣いだ」と言われたり(えちぜん鉄道は三セク)、慣れないが故に、よかれと思ってやることも お客さんからは喜ばれないことも多い。車内を巡回すれば「靴の音がうるさい」と怒られたり、黙って立っていれば「何もしていない」と言われたり・・・。
さらに現代社会でありがちな事態にも遭遇する。
携帯で話したり、ヘッドフォンから音楽がもれて迷惑になっている学生を注意しても無視されたり、他のお客さんから「しっかり注意しろ」と言われたり、靴を履いたままシートが汚れる姿勢で座っている子どもに注意すると 親から「うちの子の躾に口をださないで」と怒られたり・・・。
こんなとき、普通誰だって、「いい加減にしてくれ、もういやだ」と言いたくなる。先輩もいない、ノウハウも乏しい、かなり困難な状況だと思うけど、そこを見事に「工夫」と「チームワーク」で乗り越えていくのだ。
停車時間にゴミを拾ったり、鉄道ファンが乗りにくることがわかると 車両系の知識を仕入れたり、「おもてなしの心」ってこういうことなんだなぁ、と感心させられることしきり。でも、本当にすごいと思ったのは、すでに「臨機応変の個別対応力」まで到達しているところ。
観光客なら喜ばれる観光ガイドのアナウンスも、通勤客には睡眠の邪魔になる。
同じ「ありがとう」をいう言うにしても、いつも乗ってくれる人には「いつもどうもありがとうございます」。この「いつも」がポイントなのだ。定期の学生たちが学校帰りに乗車してきたときは「お帰りなさい」だったりする。
アテンダントとして必要な知識や気配りをみんなで情報共有しながら身につけ、さらに それらの基本がしっかりしているからこそできる「個別対応力」が素晴らしい。またアテンダントの活動から 彼女たちを支える経営陣が素晴らしいこともうかがい知ることができる。なんと言われても「お客様をもてなす」ということで軸がぶれていないし、だから人材が能力を発揮できるのだと思った。
アテンダントの失敗談や仕事観を淡々と綴っている感じで読みやすいし、写真も多いから すぐに読めます。でも中身は濃いです。
美しい車窓が連想できたり、笑顔で頑張っている仕事風景も連想できたりして、読み物としても楽しいです。
追 :
去年の夏、家族で東尋坊と永平寺を訪ねるツアーにでたけど、なんせ時間がなかっったので、全部自動車で回ってしまった。「えち鉄」、乗ってみたかったなぁ。う~ん、また福井に行く理由ができてしまった (^^;) 。
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今日は、短い時間で、あまりお話ができなかったですが、また、ご一緒できたら嬉しく思います。
ちなみに、私はまだ窯にいますよ~。
いろりがとてもいい感じでしたね~。ぜひまたゆっくりおじゃましたいです。それから焼津の方にもぜひお越し下さいね。
楽しみにしてま~す。