日本で尊敬する経営者はたくさんいますが、知名度的に「誰でも知っている」という規模の会社で 特に尊敬しているのは 京セラの稲盛和夫さんとソフトバンクの孫 正義さん。
今回はその京セラの稲盛和夫さんが、経営の原理原則を述べておられる「稲盛和夫の実践経営塾」(PHP文庫)をご紹介。
この本は「盛和塾」の塾生である若い経営者からの質問に、塾長である稲盛和夫さんが答えたものを、盛和塾の事務局の方が編集したもので、「社長業の要諦」、「業容拡大の要諦」、「人心掌握の要諦」、「事業継承の要諦」、「新規事業進出の要諦」、「経営よもやま話」という6つのカテゴリに分け、、合計34の問答集の形にまとめられている。
稲盛さんのことを全然知らないというレベルの人は、経済界では少ないはずで、そうであれば どこから読んでも、スッと自然に理解できるし、身が引き締まると同時に励まされる素晴らしい内容だと思います。
経済環境が変わったからとか、時代が違うからとか、そういうことで変わってしまうものは「原理原則」とは言わないわけで、いつの時代も変わらない「人としての生き方」、「経営者としての心の持ち方」を学ぶことができる本です。
小手先のテクニックではなくて、もっと深い、哲学的ところから気づかせていただけるので、業種の違いや、企業規模の違いなど、本当にそういうことに左右されず、普遍的に納得できるアドバイスをいただけます。
稲盛さんの経営哲学を知っている人の中には、とてもストイックで窮屈だと感じている人もいるかもしれません。
人間には失敗もあり、だからこそ「ウチの社長は人間的だ」と慕ってもらえたり、幹部社員が育ったりする。またそういう社長だからこそ、部下の気持ちもよくわかり、失敗も認めてあげることができる。
稲盛さんのような生き方は四角四面で度量が狭く、部下からも怖れられるのではないか。
もっともらしい発言で「一理ある」と思えてしまったりする。だけど稲盛さんは「そうではない」とおっしゃる。「目標が違うのに、そのプロセスを比べても意味がない」。一見 耳ざわりがいい 上のような話をする人の会社の多くは 、売上高も伸びておらず、利益もあるかないかで半世紀やっているようなところが多い。稲盛さんのように0からスタートして、30年で売上高5,000億円、従業員も3万人の企業にしょうと思えば、「稲盛哲学」に基づくストイックな生き方が必要なのだとおっしゃっている。
ようするにまず「目標ありき」。目標が違えば、そのプロセスは自ずから変わってくるし、その違いを議論しても意味がないということ。
エベレストに登るのと小さな丘に登るのとでは 技術の修練の度合いも、切磋琢磨にしてもレベルが違う。まず「どの山に登るのか」、会社の中で議論すべきだとおっしゃっている。
さらに、その目標をどうやって社員と共有していくか。どうすれば社員がその目標達成のために動いてくれるのか。もっと実務的なところでは会計についての考え方や新規事業の見極め方など、いずれにしても「原理原則」もたくさん気づかせていただける。
おもしろかったのは「健康法」について聞かれたとき。
「健康法は何もやっていません」と言い切られている。「強いて健康法といわれると、心をいつも明るく持っているということ、そして、毎日よく感謝をして生きているということ、それかな、という気がします」とのことでした。まさしく「病は気から」。これも「原理原則」だと思う。
書かれているすべてのことに大いに共感し、これから実践していこうと心に誓った一冊でした。文庫本だし、これからいつもかばんの中に入れておいて、ことあるごとに取り出しては、読もうと思っています。
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プロセスの大切さを否定するものではありませんが、目標があって、その目標を達成したorしないでは、本当に大きな違いがあると思います。
久しぶりに『実践経営塾』読んでみようかな?
そうですね。プロセスもとても大切ですね。でもやはりその前に「目標の共有」なのですね。その部分ができていないと「プロセス」の話しがうまくかみあわない。納得でした。
月曜日の朝礼で、社員のみんなに、もう一度、自分の目標を伝えて、共有を進めようと思っています。