■■■■■
帯とけの枕草子〔百九〕原は
言の戯れを知らず「言の心」を心得ないで読んでいたのは、枕草子の文の「清げな姿」のみ。「心におかしきところ」を紐解きましょう。帯はおのずから解ける。
清少納言 枕草子〔百九〕原は
原は、あしたのはら、あはづの原、しの原、萩原、その原。
(原は、朝の原、粟津の原、篠原、萩原、園原……盛り上りのないのは、吾下の腹、合わずの原、しおれの原、端木はら、その腹)
言の戯れを知り言の心を心得ましょう。
「原…山ばの無いひら野…盛り上がりのないところ」「はら…腹…心のうち…腹のうち」「あした…朝…吾下…わが身の下」「あはづ…粟津…合わず…和合できず」「しの…篠…細竹…なびいているさま…しんなりしたさま…しおれたさま」「はぎ…萩…端木…木っ端…おとこ」「ばら…ども…複数・軽蔑の意を表わす」。
「盛り」の次には「盛り上がりのないはら」を並べた諧謔。これを、唯の原の名の羅列と決め付けては、「心におかしきところ」が聞こえないので、味気ない文と貶めたくなるでしょう。
「心深く」はないけれど、男に腹立つ事あれば、これを口ずさむと、女たちの溜飲、少しは下がるでしょう。
伝授 清原のおうな
聞書 かき人知らず (2015・9月、改定しました)
原文は「枕草子 新日本古典文学大系 岩波書店」による