今は亡き父と
昔
こんな会話をした
「お金の価値なんてどうなるかわからんから、体力と知力を養っておかなければね」
「そうだね」
父は、極貧だった子供の頃から、青年期に至るまで
あらゆる残酷さや過酷さを味わった
人の汚さや、心の冷たさも そして温かさも
ひときわ、いつも感謝の言葉を述べていたのは
自分を養子として引き取ってくれた家族についてだ
食糧難の中、子供一人をひきとるという
決断をするには、葛藤もあったろう
それでも ひきとってくれ、
人間らしい生活とはなにかを教えてくれた
養い親を、生涯 忘れず感謝し続けた
俺の人生は感謝でできているんだ
と
晩年かたった。
認知症と言われる診断名を受けながら、
最後まで おむつをしないで
トイレまで行っていた
いつまでも いると思ってた父と
もう、野菜の買い物にいくこともないんだなあとか
ふと思う
あっという間に時間は過ぎていく。