懐中時計の修理で多いのは落下による故障です。
天真のホゾ先は頭髪より細い上、この頃の機械には未だ耐衝撃装置が無かったので、
天真折れは落下による典型的な故障です。
写真の手前の短い方が折れた天真。方眼は5ミリです。
修理すると成ると、機械の種類も多く、サービスセンターも無く、天真の入手は不可能な時代でした。
天真別作は時計師としては避けて通れない仕事でした。
技術向上や修練も必要ですが、その前に大きな壁が在ります。
時計旋盤が無ければ、いくら腕が有っても作れません。
時計旋盤で思い出しました。
古い写真に未だ若い父がボーレイ(ドイツ製の最高級時計旋盤)と一緒に撮った記念写真が有った事を
その写真の父の笑顔から、嬉しさと誇らしい気持ちが判ります。
私が2年前に時計旋盤を手に入れた時の気持ちと同じです。
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