五、「教会とわたしたち」(428) 5.近代から現代へ(宗教改革とその後)
はじめに、近代への萌芽としてアウグスチヌス著「神の国」(1968.教団出版)(その68)
最終篇に入ります。
第二十二篇 神の国の永遠の浄福に
7.この世がキリストを信じるに至ったのは、人間的な説得の結果ではなく、神の力の結果である。
8.この世をキリストの信仰へと獲得するためになしとげられ、世界が信ずるに至った今でもなされている
奇跡について。
聖書正典はひとたび制定されると、昔の奇跡を世界のすみずみにまで知らせることとなり、いたる所で人々の
記憶に強い印刻を与えることとなった。しかるに、もっと最近起こった奇跡は、それが行われた町とその近郊で
ようやく知られているに(前回はここまで)過ぎない。その場合でさえも、きわめて小数の者だけがそれを知っ
ており、他の者は何も知らない。これは特にある大きさの町においてそうである。物語りが広められたときで
も、直ちにこれを信ぜしめるに足るほどの権威による裏打ちを欠いているので、ただキリスト信者の間でだけ
次々と伝えられるだけである。
わたしがミラノに住んでいたころに、そこで起こった奇跡―盲人が視力を回復するという奇跡は、もっと広く
知られている。ミラノが大都会だからである。皇帝もそこに居合わせていた。出来事はプロタシウスとゲルヴァ
シウスという二人の殉教者の栄誉をたたえるためにやって来た多くの群集の目の前で起こった。彼らの遺骸
は全く失われてしまったのち、司教アンブロシウス〔三三九頃ー三九七、四教会博士の一人〕への夢の
(つづく)(「神の国」出村彰訳)