神様は、光で結界をはり他の木々には聞こえないように梅の木を選んだ理由を梅の木だけに告げました。
「私の大切な友達の猿が傷ついていたとき、自分のことより、私の友を助けてくれた梅くんの優しさに心を打たれました。」
梅の木は、それを聞いて畏れ多い気持ちになりましたが、とっさに神様に気持ちをお伝えしました。
「神様、私は老ぼれて、花も実も今ではつける力がなくなりました。猿が神様の友達とは知りませんでしたが、あまりにも痛々しい姿で私のそばに倒れていました。何とかして助けたいと思っただけです。
それが、この山に長い間根を張らせて生かしていただきました、せめてもの恩返しなのです。残りの命をこの山に縁があるものに譲るのは当然です。
しかし、私は神様をお支えする木としては、あまりにみすぼらしく神様に申し訳なく思います。」
すると、
神様の友達の猿は、梅の木に住みついたキノコに腰掛けていいました。
「お山の神様は、変わりゆく景色の中で一番譲り合う自然の姿、与え続ける姿をみるのが好きなのさ。自分の心にピッタリと合う木じゃないと、降りて来れないのさ。」
神様は笑っていいました。
「私の山の木々は、どれも凄く美しい。若い木はエネルギーにみちあふれ、年とった木はまたその風格に心を惹かれます。
沢山の年老いた木々の中でも、夜、私が友を救うために、月からとばした胞子を梅くんだけは受け入れて包んでくれました。
それは、見た目の美しさ以上に私には光って見えたのですよ。この猿は、お山の猿神様で私の道案内をしてくれる昔からの友なのですよ。」
すると、猿は腰かけていたキノコから降りて梅の木に生えたキノコをどんどん食べていきました。
「お山の神様を色んな他の山に道案内しているうちに、悪い蛇に噛まれたんだ。君のキノコが無かったら僕はこうして生きていけなかった。有り難かったよ。」
そう言い終えるとすぐに、猿は神様の隣にちょこんと座りました。
お山の神様がそっと梅くんに息を吹きかけると、枯れかけた梅の木はとても綺麗な味わいわい深い形の御神木へと姿をかえました。月も優しく見守ります。
「これからは、私の良い友となってくださいね。そして、あなたがこれから毎年つける梅の実は、沢山の人を健康にするでしょう」
神様は梅の木にそう言うと、また三日月に乗って次のお山に向かっていきました。
梅の木は、それから仲間と話すことは出来なくなりました。しかし、寂しさはありませんでした。鶯やメジロが飛んできては歌をうたってくれましたし、毎年沢山の人が嬉しそうに梅の花を愛でてくれました。
何よりも、立派な梅の実をつける事が出来るようになったので、その実を梅干しにして食べてくれる人の喜ぶ姿を見ることが幸せでした。また、神様に会う日まで、お役目を精一杯頑張ろうと思いました。
他の木々はなぜ梅くんが選ばれたのかをまた次の100年考え続けることになりました。
おしまい
私の拙い創作童話を終わりまで読んでいただきありがとうございました。
ほっこりしました〜🤗
ありがとうございます。
そんな風に言っていただけて
こちらこそほっこりをいただきました。
ありがとうございました😊